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暗殺公女は聖女をやめさせていただきます~聖女を酷使するブラックな王国と王子から自由になったら、いつの間にか王子が王国もろとも「ざまぁ」されてました~  作者: ケロ王
第1章 偽聖女の奮闘

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閑話2 悪徳領主の凋落

「くそっ、あの見習い聖女め! ここぞとばかりに吹っかけおって!」


ナルビリアの領主、デューク・ナルビリアは先日の出来事に怒りを募らせていた。その出来事というのが、領内の湖に瘴気が発生している問題の解決を国に依頼したのだが、それを解決した見習い聖女が神に仕える者にあるまじきことに、多額の金銭を要求してきたのである。


「そもそも、聖女のように神に仕える者は金銭など要求してはいけないはずではないのか?!」


聖女は元より、神に仕えるからと言って金銭を要求してはいけないという決まりはないし、慣例としてお布施という形で金銭の授受は行われているのだが、そのことを知らない彼はタダで解決してもらうつもり満々で依頼したのである。


「まったく……。この程度のことに50万ゴールドも要求するとは。本当に金にがめつい奴らだ!」


そう言って憤るが、まともに依頼した場合は500万ゴールドかかってもおかしくない規模の依頼であることを考えると、むしろ良心的とも言えた。しかも、領民から現在進行形で搾取している領主の方が金にがめつい奴なのだが、それを指摘する者はここにはいなかった。


彼は、このことを国に訴えるつもりであったが、いきなり直訴したところで取り合ってもらえる可能性は低いため、まずは親交のある貴族に協力を依頼するために手紙をしたためることにした。


「なんだと! 全員から協力を断られただと?!」


それなりに親交を持っていた貴族に絞って協力を依頼したつもりであったが、彼に協力する者は誰一人現れなかった。それもそのはず、この依頼を解決したのが王国内で知名度が急上昇している公爵令嬢リーシャ・インディゴムーンなのだから。


ただでさえ、王家と親しい間柄のインディゴムーン公爵家である。それに加えて、彼女の知名度を考えると、わざわざ事を荒立てるようなことをする者がいるはずもなかった。その上、彼の訴えはまともに領地を運営しているものであれば安いくらいの金額であったし、教会がお布施という形で報酬を要求することも知っているわけで、彼に味方するようなものは誰一人としていなかった。


「くそっ、小娘の分際で儂に逆らうなど……。必ず痛い目に遭わせてみせるぞ! ……ん? この臭いは……」

「ご主人様、大変でございます。」


憤懣やるかたないデュークの元に、執事のロバートが駆け込んできた。


「どうした? それと何だ、この臭いは?」

「それです。屋敷の中の排水溝が詰まっており、汚水が逆流しております!」

「なんだと?! どうにかならんのか?」

「申し訳ございません。手を尽くしたのですが、全く効果がなく……」


依頼の時に、リーシャが対処した「瘴気の原因」のお陰で、領主の屋敷の排水管を完全にふさがれており、屋敷の排水が湖に流れず全て逆流するようになっていたのである。


「むむむ、仕方ない! ここは一旦引き上げるぞ! 早く馬車の用意をしろ! それと宿の手配もだ!」

「かしこまりました。ご主人様」


こうして、ナルビリア領主一家は逃げるように屋敷を後にしたのだが……。


「宿を取れないだと?! どういうことだ?」

「はい、ご主人様が提示した金額では部屋を用意できないとのことで、交渉は試みたのですが、全滅でございました」

「ふん、こんなボロ宿に1泊10ゴールドも出してあげてやると言うのに、酷い奴らだ」


ちなみに、1人10ゴールドでなく、全員で10ゴールドと指示したため、当然ながら拒否されたのであるが、彼はそんなことすら理解できていなかったのである。


「わかった、金額は言い値を払う。だから、至急宿を用意しろ。なるべくいい部屋をな!」

「かしこまりました、ご主人様」


そういって、無事に宿を確保できた領主一行は早速、馬車を向かわせた。


「ふん、この程度で1泊2000ゴールドだと? しかも、1人あたり。どんだけぼったくる気だ?!」

「お言葉ではございますが、ご主人様。これが相場でございます」


ロバートの言葉に渋々納得した領主は、屋敷の問題が解消するまで宿に滞在することにしたのだが……。


「デューク・ナルビリアはいるか?!」

「なんだ、うるさいな! 儂がデュークだ」

「我々は王国第一騎士団である! デューク・ナルビリア、貴様には不当な圧政と資金隠しの疑いがある。大人しく出頭してもらおうか!」

「何を馬鹿な! 儂はそんなことしとらん。証拠もなく儂を犯罪者扱いなどしおって!」


激高しながら反論する領主に対して、騎士団長は静かにため息をつきながら、首を横に振った。


「もうすでに証拠は挙がっている。領民への税率が60%であることは既に裏が取れている」

「それは……。これでも領地の経営は苦しいのです! この税率は一時的なもので、安定したら下げるつもりでした」

「では……お前の隠している資産はどう説明するんだ?!」

「資産ですと? 確かに屋敷やお金はありますが、それ以上の資産などは……」

「とぼけるな! それならば、あの森の中にあるミスリルの塊は何と説明する? ここまで明確な証拠があって、誤魔化せると思うなよ!」

「そんな! それは冤罪です。何者かが儂を貶めようと!」

「まあいい、言い訳は王都で訊く。全員連れていけ!」


こうして、ナルビリア一家は王都へと連れていかれ、当主であるデュークは不当に高い税をかけたことと、その利益を森の中に隠したということで、処刑された。

それ以外の家族は爵位を失い平民落ちしたものの、彼の妻の実家からの支援もあり、つつましやかではあるものの、それなりに幸せに暮らしたのだった。


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