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暗殺公女は聖女をやめさせていただきます~聖女を酷使するブラックな王国と王子から自由になったら、いつの間にか王子が王国もろとも「ざまぁ」されてました~  作者: ケロ王
第1章 偽聖女の奮闘

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第12話 ダンジョン

無事にアイネスの街に到着したリーシャは通りの左右に並んだ領民の歓待を受けながら宿へと向かっていた。


「ねえ、この暗黒姫の噂って、どのくらい広まっているの?」

「聞いた話だと、王国内では知らぬものは、ほとんどいない程ですね」

「なんで通信技術が碌にない王国で、そんなに情報が広まるのが早いわけ?」

「それは盗賊を排除したからですね――王国内を移動する商人たちにとって、盗賊は脅威ですから、それをあっさり排除した挙句、大人しくさせたということで、商人たちによって瞬く間に噂が広がったようです」

「うわー、それはやっちまったわー」

「ただ、それだけではなくて、暗黒姫の話をすると盗賊から守ってくれるという迷信もあるようでして、それが余計に噂を広めている原因になっているようですね。すでに一部の商人たちは商売の神と崇める者がいたり、暗黒姫にあやかったグッズを製作しているとの話もございます」

「えっっ?! グッズ? 聞いていないんだけど」

「ああ、お嬢様には黙っておくように当主様より言付かっておりますので……。ですが、ご安心ください。グッズ販売の収益の一部は公爵家に入ってくることになっております。当主様も思わぬ収入源ができたということで、お嬢様を大変賞賛しておりましたよ」

「あのタヌキ親父め。こういうことだけは目敏いんだから!」


知らぬ間に自分のグッズで金もうけをしていた父親に辟易していた。おそらく、ナルビリアで掲げられていた横断幕や振られていた旗もグッズの一つなんだろう。そのうち握手券付き書籍とか販売したりして――などと考えてから、彼女は早いうちに手を打っておかなければと決意を新たにしていた。


そんなことがありつつも、リーシャたちは宿に到着した。宿に入って少し落ち着いたところで、マリアを呼んで変装してから、二人で街の酒場へと繰り出した。酒場には一仕事を終えた領民や、冒険から帰ってきた冒険者たちが酒を飲みながら騒いでいた。二人は店の奥にあるカウンターまで行くと、酒とミルクを注文してからマスターに近くのダンジョンについて訊いてみた。


近くのダンジョンは廃鉱山だったところがダンジョン化したものらしく、内部は迷路のように複雑な上に、出現するモンスターがオーガやゴブリンなどの人型とキラーアントやジャイアントスパイダーなどの虫系が多く、さらには、元が廃鉱山だったため、採掘しても碌なものが取れないことから、ほとんど人気が無いダンジョンであった。そのため、ダンジョン化してから、あっという間にマナがあふれ出し、大氾濫を起こしそうになっているとのことだった。


大氾濫を起こしたダンジョンは、モンスターの出る勢いで入り口が壊れてしまうことが多く、大氾濫によって出てきたモンスターを倒すとダンジョン自体も消滅するらしい。ただ、大氾濫が発生してしまうと、近隣の街に大きな被害が出てしまうため、現在は報奨金を出して冒険者にダンジョンの攻略をさせている状況であった。しかし、報奨金も無限に捻出できるわけでもないため、あと数日で報奨金が尽きてしまうらしい。そうなったら大氾濫まっしぐらなので、暗黒姫と名高い彼女が指名されたとのことである。


「うわー、勝手に不名誉な二つ名を付けておいて、名指しとかひくわー、まじひくわー」

「お嬢様、そのような言葉遣いはいけませんよ!」

「暗黒姫様を不名誉とは失敬な! あのお方を侮辱したら、たとえ王族だったとしても領民が黙っておりませんぞ! くれぐれも言葉には気をつけられよ」


自分の二つ名に文句を言ったら、関係ないマスターに逆ギレされ、リーシャは困惑していた。いっそのこと自分の素性を明かそうか迷ったが、ここで明かしたところで信用される保証もないし、信用されたらされたで面倒なことしかならないため、適当に流しておくことにした。


「ところで、そのダンジョンにはどうやって行けばいいのかな?」

「はっはっは、お嬢さんみたいな華奢な人間がダンジョンなんて行ったら、あっという間にやられちまうよ。悪いことは言わねえ。全部、暗黒姫に任せて家で大人しくしてな」

「いいから、教えろ!」


あまりにもマスターが馬鹿にしたように言ってくるので、思わず殺気が少しだけ漏れてしまった。その殺気に周囲の空気が凍り付く。目の前のおっさんも目を見開いて震えながら彼女を指さした。


「これは、まさか――あなた様は暗黒姫様?!」

「そう、でも静かにしててね。手短にダンジョンの情報だけくれればいいから」


彼女がそう言うと、すぐにマスターは首を縦に振る機械となった。

彼が言うには、街を出て北東に向かって20分ほど歩くと、小高い丘のようなものがあり、その麓に廃鉱山の入り口があり、そこからダンジョンに入れるということだった。


翌朝、リーシャたちは再び馬車に乗り、ダンジョンへと向かう。マスターの言う通り小高い丘の麓に鉱山の入り口のような穴が開いていた。周辺は開けており、かなり遠くからでもダンジョンの入り口を見ることができた。一行は100m程離れたところに馬車を止め、ダンジョンの入り口の様子を窺がう。しかし、30分ほど様子を見ても、特に異常があるようには見えなかった。


「うーん、特におかしい所はなさそうなんだけどなぁ」

「それはそうですよ。大氾濫は魔力の歪みで検知することはできても、見た目には発生するまで異常がわかりませんからね。かつて、魔力を調べられなかった頃は大氾濫が多かったそうですよ」

「なーるほど。じゃあ、ある日突然、あの穴から大量のモンスターが沸き出てくるわけ?」

「そうなんですけど、正確には違いますね。ダンジョンごと破裂するようにしてモンスターが溢れてくるんです。遠くから見ると噴水みたいに見えることもあるらしいですね」

「へー、そうなんだ。でも、そんな事したらモンスターも死んじゃうやつがいるんじゃない?」

「それは大丈夫です。仮に10%死んでも、モンスターの発生率が1000%になれば誤差ですから――大氾濫というのは、そういうことですよ」

「なるほど、そういうことなのね」


その例えは、前世で人口が多すぎて、平然と国民を大量に虐殺するような国が近くにあったせいか、何となくだが理解できた。


「まあ、それじゃあ。ダンジョンが壊れてもOKってことね。了解了解」


そう言って、リーシャは鞄を置くとダンジョンの入り口へと歩き出した。

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