第五十六話「これがあたしの夢♪」
第五十六話 「これがあたしの夢♪」
(主人公 ブルー最終話)
バラレンジャー解散から4年以上が経った。
パチ…パチ…
グツグツグツ…!
コポコポ……コト……
みどり「ふー、ふー……ゴク……う~~ん!やっぱサイコウ!!毎日こんなにゆっくりとコーヒータイムを迎えられるなんて、幸せ~!」
アンシィ「毎日同じの飲んで飽きないんか?」
みどり「飽きないよ~!むしろこれが無いと一日が始まらない!」
アンシィ「ほ~ん…でも少しくらい味変えたらええのに…それか銘柄変えるとか…」
みどり「これはあたしが長年研究して作り出したあたし専用のブレンドコーヒーなんだよ?変えるだなんてとんでもない!」
アンシィ「あーさいですか…」
みどり「ゴクッ……でもたまには変えてみてもいいかもね♪これからずっと同じ味じゃつまんないもんね。思い切ってハーブでも入れてみちゃおっかな♪」
アンシィ「ハーブって庭で育てとるやつか?ありゃ、料理に入れる用やないけ。コーヒーには合わんと思うけどなぁ…」
みどり「んーま、確かに合わなさそうだけど…合う銘柄探したり、ブレンドしたり…それかハーブもなんかイイ感じに調合したり!ちょっとおもしろそう♪」
アンシィ「新しい飲み物ができそうやな」
みどり「そうだね!名付けてみどり流ブレンドコーヒー!せっかくだからお店でも出しちゃおっかな~♪」
アンシィ「こんな山奥に人が来るわけないだろ!いい加減にしろ!」
みどり「そこはまぁ…秘境のカフェ的な…ね♪」
アンシィ「にしてもキツすぎる!オフロードバイクでナビも無しで来いゆうんか!?しかも冬は雪で埋もれて、夏は闇に覆われる店に人が寄り付くわけないやん!!」
みどり「それはしょうがないじゃん!夏でも火使いたいし。あの薪が燃える音と匂いが好きなんだよね~つい焚いちゃうのよ。」
アンシィ「そんで酷い時は山全体が闇に覆われるっちゅうんか。」
みどり「はい♪」
アンシィ「はいじゃないが。はぁ~~…ま、店は無理や。変な噂も立っとるし…」
みどり「…? 変な噂って?」
アンシィ「あの山にはUMAがおる!とか、魔女が住んでて近づいたら呪われる!とか色々や。」
みどり「魔女ぉ!?アッハッハッハ!!それいいかもね!怪しい草も生えてるしwww」
アンシィ「怪しい草生やすな。てか、剣振り回してサバイバルしながらバイク乗り回すファンキーな魔女がどこにいんだよ!」
みどり「アハッ!魔女も時代と共に進化したんでしょ!今は魔女もバイク乗り回す時代になったのよ!」
アンシィ「そんな魔女は世界でみどりちゃん一人や」
みどり「あれ?いつの間にかあたし、魔女になっちゃってるの?」
アンシィ「そういえば不老不死やしな…バラレンジャーの頃から人間よりは魔女の方が近いのは間違いないね。」
みどり「そーだね。…じゃ、魔女は魔女らしく庭のお手入れでもしますか。ちょうど青い薔薇も咲いたしね♪」
*
ブルルルゥウウウウ!!!ブゥンブゥン!!!
みどり「は~!一仕事終えた後に感じるこの風…やっぱたまんないね!」
アンシィ「こいついつも同じこと言ってんな」
みどり「だって好きなんだもん♪それに、こうして声に出すと幸せを実感できるんだよ?たしか何かの本に書いてあったような……ま、いっか!」
みどり(………………この子に乗ってると、何もかもを振り切ってくれる気がする…。初めは好きでもなんでもなかった……ただモヤモヤした気分が変わるかもって思っただけだったけど…予想以上だったなぁ…。
このエンジンの音、風を切る音が他のことを考えさせないようにしてくれる…
そして、一秒ごとに変わっていく景色…。まるで「こっちを見ろ」と訴えかけているみたいにあたしの目を奪っていく…。
何度も見たはずの景色も、似たような場所でも変わらずに……それがまた不思議でさらに見てしまう。あたしはもう、すっかり心を奪われてしまったんだろうな…。
そんな景色の中でも特に好きなのがやっぱり、青い海と青い空!綺麗な青を見ていると「あたしは今地球にいるんだ」って思える。そうすると、それもまた不思議で、地球の神秘を感じるような気がする。
バラレンジャーで「ブルー」を担当してからはより一層この青色の景色が大好きになっちゃった♪)
ドゥルンブルルルル……
みどり「夕焼けが綺麗だね~!」
アンシィ「おっ、そうだな!」
みどり「青い海も好きだけど、茜色に染まった海も乙だね~。さ、コーヒー飲んで一休みしよっか…な…」
アンシィ「ん?」
黄昏の少女「はぁー…………」
みどり「ど~したの?こんな所に一人で。何か悩みごと?」
少女「あっ、え?まぁ…ちょっと……」
みどり「学生?海を見ながら悩みごとなんて青春してるね~。何の悩み?あっもしかして恋の悩みかな?」
少女「いえ……進路で悩んでいて……」
みどり「ふ~ん…それで?」
少女「……わたし…歌うのが好きで…将来は歌をお仕事にしたいんですけど…やっぱり音楽の世界って厳しいみたいで…わたしなんかがやっていけるのかなって悩んでて…」
みどり「ふ~ん…そっか………あたしもね、子どもの頃は魔法少女になりたかったの。」
少女「え?」
みどり「でも魔法少女なんて仕事はないでしょ?だから普通に大学行って、普通に就職したの。でも実は、その夢を諦めたわけじゃなかったんだよ?いつか魔法を使いながらキラキラした楽しい生活がしたい!って思い続けてたんだから。そしたら突然チャンスがやってきてね…今ではその夢が叶ってる…♪」
少女「………」
みどり「だ・か・ら、あなたもその夢が大切ならいつまでも追い続けなさい。夢は見続ける限り終わらない…たとえ現実に何を言われてもね。」
少女「……!」
みどり「…はい♪これ!」
少女「わっ…これは…薔薇…?」
みどり「そ!プレゼント♪」
少女「ありがとうございます…」
みどり「…さっき言ったことは本当だけど、夢を見続けると疲れちゃう時があるわ。それに、現実としっかり向き合わなきゃいけない時もある。そのバランスをイイ感じに保っていけるようになることを大人になるって言うのよ。」
少女「…あのっ!お姉さ…っ!?」
みどり「んじゃ!あたしはもう行くね~!がんばってね、おじょーちゃん♪」
少女「…!!……いつの間にあんなとこに………」
ブゥン!!ブゥゥゥウウウ……!!
少女「………行っちゃった………ホントに…魔法使いだったのかな…………綺麗な青い薔薇………すぅ~~…はぁ~~………うん!…もう少し頑張ってみようかな…!」
*
少女「…………ふぅ……今日から学校かぁ…緊張するなぁ……ホントにわたし、やっていけるのかな……」
みどり「きっと大丈夫だよ!」
少女「!!!」
バッ…!
少女「…………気のせいかな…………っ!!」
机の上に置かれた青い薔薇。
「入学おめでと♪学校生活楽しんでね!」
少女「………ありがとう…!わたし、夢、叶えるよ…!」
*
母「もう準備はできた?…ってあら?どうしたのその青い薔薇?」
少女「これもつけてく。」
母「そ……良いお守りを見つけたわね。」
少女「…うん!」
アンシィ「…あの子になんかあったんか?」
みどり「んー?別にぃ~たまたま出会っただけの子だよ。……でも、なんとなく応援したくなっちゃったのよ。アンシィもあたしにそうしたでしょ?」
アンシィ「ん~まぁそうやな。」
みどり「ま、直感よ♪あの子は支えがあれば大成しそうだし!それを影で見守るのも面白そうだしね♪」
アンシィ「…直感ね………ま、そういうことにしときますか。」
みどり「?なにその言い方?」
アンシィ「別にぃ~?」
みどり「ふ~んま、いいけど。じゃ、気分もイイし久々に朱祢ちゃんのとこ行ってクレープでも食べよっかな~。」
アンシィ「あ~いいっすね~」
みどり「おっ!乗り気だね~!じゃあ朱祢ちゃんのとこまで道案内やってくれる?」
アンシィ「やりますねぇ!」
みどり「よし来た!じゃ、早速行こうか!」
アンシィ「エンジン全開!」
みどり「ミュージックスタート!!ブッ飛ばすわよ~♪」
ブゥウン!!
ズギャァアアア!!!キュルキュルキュル!!ブゥウウウウン……!!
~END~




