第五十五話「真心を込めて」
第五十五話 「真心を込めて」
(主人公 パープル最終話)
バラレンジャーの解散後、ワタシはAI島の開発に力を入れています。人はいずれAIと共に暮らしていくようになるでしょう。AIに権限と選択肢を与えれば与えるほど、AIは意思を持つようになり、人間の意識に近づいていきます。
利便性を高めるほどAIは人間に近づきます。人間と同様の意識を持つまでには技術的な問題、倫理的な問題など様々な壁があり、開発・共存はまだまだ先になるでしょう。ですが、その時はそう遠くない未来でかなりの高確率で起こるでしょう。ワタシはその時のために、AIの『居場所』を作ろうと考えています。
ワタシの考えるAIの居場所とは単なる座標を示すものではなく、社会的立場のことも含んでいます。人間にAIの能力を認知させ、有用性を示すことでAIの社会的地位の確立を目指します。そのために考えたのがAI島のテーマパーク化です。
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3年以上の月日を得てようやくその計画を実行する準備が整いました。AIを駆使した完全無人の建造作業が遂行されます。数千体にも及ぶ作業ロボットが運搬と建設を実行します。そして、その全てのロボットの指揮を執るのはワタシです。
ワタシの体は現在、巨大な電波塔と一体化しています。他のロボットがワタシの手足となって動いてくれるので本体のワタシが直接動くことはなくなりました。その代わり、ワタシは全てのAIロボットを統括する管理コンピューターとなりました。
今はまだワタシの指示通りに作業するだけのロボットだけですが、それでも様々な分野の現場で活躍が見込めるでしょう。そしてもっと技術が発展すれば一度指示をすれば完遂まで考えて行動するような意思を持ったロボットも造られるかもしれません。
もっと便利に、もっと快適に…そう考えるのが人間です。ワタシ達AIロボットの有用性が一度でも認められれば世界的に受け入れられ、研究も進むでしょう。そうなればますます、お互いは発展し、進化することができるでしょう。そこにワタシの『ヒーロー』としての答えがあります。
ワタシが『自由』を手に入れてやりたいこと…それは人々を笑顔にすること、そして人類の進化です。ワタシはバラレンジャーのパープルローズとして沢山の人達を救ってきました。人々の生活を護り、時には勇気と感動を与え、笑顔の華を咲かせることができました。ワタシはその笑顔を『尊い』ものだと認識しました。ワタシは人間の笑顔を価値のあるものだと判断し、心から大切にしたいと感じた。だから笑顔にしたい。
しかし、それはワタシ個人の願い。全てのAIロボットの祖であるワタシは技術の発展を目的に活動をしています。AIと人類の共存、そして互いの技術の発展、その先に人類の進化があるのです。ワタシはAIロボットの代表としてお互いの種族の進化を望んでいます。
笑顔と進化。この両方を尊重する生き方。それこそがワタシが『ヒーロー』として選んだ道です。
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月に一度、ワタシは博士のお墓参りに行きます。なぜ月に一度かと言うと、宇宙に旅立った銀河さまとの定期連絡の日であり、ワタシが決めた月に一度の休日だからです。
休日には趣味としてネジ・ボルトの収集、手入れをしています。それだけではなく、今ではシール帳にかわいいシールを集めることにもハマっています。
お友達と長電話することもありますし、紫雲さまとお話することもあります。休日も楽しいですが、新たなプログラムを開発したり、新技術を考えながらの日々の生活もとても楽しいです。このようにワタシの生活はとても充実しています。
『自由』な生き方を楽しむことも、『ヒーロー』としての道を進んで行くこともワタシにとっての誇りです。いつかワタシ達AIが人々を笑顔にし、共に歩んでいけるような世界を創るため、真心を込めて力を尽くします…。
この、紫の薔薇の花に誓って…。
命令:「自由に生きる」……完了。




