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第71話 落ち着いてきた日常

 レボルシオン領の運営も安定してきた。


 一番大きい要因というのは、間違いなく参式となってくれた獣人族の皆さんの頑張りだ。


 レボルシオン平原から取れるスモールボアの肉の量が圧倒的に多いレボルシオン領。


 レボル街から領内の全ての街に凄い速度で流れるようになっている。


 運営を任せているシランさんの物流ルートを確立してくれたからである。


 荷を運ぶ御者を雇ったり、護衛も冒険者ギルドから雇ったりと、スムーズな物流を確立したのだ。



 そして、嬉しい事がもう一つ。


 先日フィリアの双剣が完成させてくれたガイアさんだが、今度はガイアさんの弟子の方々だ。


 弟子の方々が次から次へと、弐式と参式の装備をしっかり整えてくれたのだ。


 今までは弱い装備をだましだまし使っていたのだけど、そういう装備はすぐに壊れてしまう。


 それを解決してくれたのだ。


 更に各装備のメンテナンスの為に、弐式1パーティーと参式1パーティーでハイオークの平原に出向いて貰って、オークを倒して『オークの心臓』を集めて貰っている。


 それだけで装備のメンテナンスが格段に楽になるからね。


 弟子の方々は弐式と参式の装備が整ったので、今度は来年の弐式向けに更に装備を続けて作って貰う事となった。


 彼らはこんなに鍛冶が行えると喜んで次々装備が出来上がった。



 それと、遂にクラン『蒼い獅子』から土地売買の件で連絡が来た。


 クランマスターからセグリス町を擁する『自由領』の買取はいつでも応じてくれるそうだ。


 しかも、通常値段の7割の値段で良いとまで言われた。


 ここまでの好待遇は珍しいとミリシャさん談。


 現在は貯金もどんどん貯まる一方なので、レボルシオン領から近い街から買収を行う事にした。


 冒険者ギルドを通して早速買収も始まった。



 そんな中、冒険者ギルドから嬉しい知らせが届いた。


 レボルシオン領のダンジョンである『石の遺跡』の二層フロアボスの『グレートボア』。


 レボル街の古参パーティーが倒せるようになったとの事で、これから定期的に狩りに出向いてくれることとなった。


 これも二層の『攻略情報』を売ったおかげなので、『グレートボア』のような高級肉もレボル街を中心に広がる事となるだろう。




 ◇




 その日は、珍しく俺とフィリア二人で狩場にやってきた。


 狩場である必要性はないんだけど、何となく休日にデートも兼ねて。


「フィリア、新しい双剣はどう?」


「うん。とても快適だよ! 何といっても、この包帯が便利ね!」


 すると、フィリアの腕から双剣に繋がっている包帯が現れた。


 普段は消えて見えなくて、何なら風呂に入っている間もこの包帯は繋がっているそうだ。


 あの双剣を自身の一定距離内に置かないといけないらしいけど、おかげで何処からでも引っ張って来れるので便利だそうだ。



 そんな緩い雰囲気の俺達の前に大きなボア――――グレートボアが現れた。


「さて、試してみようか」


「うん!」


「では、行くよ! ルー! ラビ!」


「ぷー!」「ミヤァァァ!」


 ルーの鳴き声から青い光の波動がグレートボアを包む。


 グレートボアの全身が振動により動けなくなった所で、ラビの魔法が炸裂してグレートボアがひっくり返った。


 最後に、双剣を抜いたフィリアが、目にも止まらぬ速さでグレートボアを通り過ぎる。


 ここまでたったの三秒。


 俺とフィリアの連携技である。


「うんうん。これなら実戦でも十分通用しそうだね」


「そうだね~それにしてもラビちゃんとルーちゃんのおかげで、攻撃がとても楽になったわ」


「それじゃもう一つも試しに行こうか」


「そうね。でも、まずは肉を運ばなくちゃね」


「そうだね。ラビ! ルー! お願いね!」


「ぷー!」「ミヤァァァ!」


 二匹の召喚獣が返事をすると、魔法の力で倒した『グレートボア』を空中に浮かせた。


 これで荷馬車がいらなくなるので、ものすごく便利なんだよね。


 そのままダンジョンを出て、ラビとルーには屋敷まで『グレートボア』を運んで貰った。


 俺とフィリアはそのまま北に向かう。


 北に進んだ所にレボル山という場所があり、厄介な魔物が出現するのだ。


 猿型のCランク魔物を倒しつつ、奥に進む。


 奥から一際大きな吠える声が聞こえる。


「そろそろね」


「うん。ラビたちもそろそろ向こうに着いた頃だろうから、再召喚するか」


 実は召喚士の強みの一つ。


 それが再召喚である。


 ラビたちがグレートボアを屋敷まで運んで待っているはずだ。


 その場所から俺がいる場所に真っすぐ再召喚を行い、連れて来る。


「ラビ、ルー、お疲れ。大丈夫だった?」


「ぷぅー!」


 敬礼ポーズのラビ。


 どうやら大丈夫そうね。


 すると、奥から聞きなれない声の主が現れる。


 大きい狼型魔物である。


 Bランク魔物、ガルムウルフである。


 一応フロアボスではあるけど、Bランクでは弱い部類で、倒すと再度現れるので、それほど強い魔物ではない。


「ではいくよ!」


「うん!」「ぷー!」「ミヤァァァ!」


 今度はルーの水魔法が炸裂して、ガルムウルフを水の糸のようなモノで動けなくする。


 その瞬間にラビの魔法で、フィリアを後ろから吹き飛ばす。


 フィリアはその勢いのまま、双剣と一緒にぐるぐる回りながらガルムウルフを通り過ぎた。


 通り過ぎるまで、たったの三秒。


 一瞬でガルムウルフが消え、その場に牙や尻尾の素材が残った。


「これも大丈夫そうね」


「ふふっ、その速さなら移動にも使えそうね」


「そう言われればそうだな。帰り使ってみようか」


「いいかも!」


「ラビ、お願いしてもいい?」


「ぷぅー!」


 俺達は初めての試みとして、ラビの風魔法に乗って、凄い速度で空を飛びレボル街に帰って行った。

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