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第33話 パーティー狩り開始

 フィリアは唯一『両手持ち』というスキルがある『剣士』のままが良いとの事で、フィリアだけ転職なしとなった。


 あとは、俺、カール、アムダ姉さん、イロラ姉さんのこれからクランに所属する四人。


 先輩組は、ベリンさんとその他の8人の職能を決める事となった。


 まず最初にカールは、変更なしである。そのまま魔法使いに徹して貰うのと、元々魔法使いだから、使い慣れたままの方が良いと思う。


 アムダ姉さんとイロラ姉さんには将来の為に、アムダ姉さんには武道家に、イロラ姉さんにはローグになって貰った。


 町に残る組から、ベリンさんは、より盾に特化した盾士に、他の先輩達には今まで通り慣れた弓で戦えるように弓士になって貰った。


 最後に俺はというと、回復士、魔法使い、召喚士、付与術師を試していく方向にした。




 ◇




「馬車旅なんて初めてだわ」


 おもむろにカールが言う。


「まあ、セグリス町から出た事がなかったしな」


 俺達は馬車に揺れ、全員で『亡者の墓』を目指した。


 これから思いっきりレベルを上げてしまおうと思い、それならばいっその事、亡者の墓の一層に行こうという事となった。


 初めての馬車旅というか、荷台に乗り移動する。


 今までは近場なのもあって歩いたから、こういう馬車があると移動が楽かも知れないね。――――と思っていたら、カールが、


「あ、ソラ。ある程度お金が貯まったら、馬車を購入する方向も考えた方がいいかも知れないな」


「あ~それは考えたけどね。まぁ……馬車を守るのも大変だから、こういった定期馬車で通った方がいいのかなと思ってしまってね」


「ふむ。それもそうだな。馬車の件はそのうち考えるか」


 カールとそんな会話をしていると、いつの間にか『亡者の墓』に着いた。




「「「「おおお~」」」」


 みんな初めてのダンジョンを前に歓声をあげる。


 俺も最初は驚いたけど、やっぱりみんなも驚くよな。


「さて、一層は先程説明した通りですので、スケルトンの頭を狙う事を忘れず、今日は無理しない程度に慣らしていきましょう」


「「「「おー!」」」」


 既に馬車での移動中、一層について詳しく説明を終えたので、俺達はそのまま一層に降りていった。




「フィリアは護衛をお願い」


「うん!」


 スケルトンが地面から出て来たりするので、弓士隊の防衛を任せた。


 それにしても、他は六人パーティーが多い中、俺達は十人越えのパーティーだから、とても目立つ。


 他のパーティーがクスクス笑ってるけど、弓隊の多さの所為なのだろうな。


 少し歩いていると、前からインプ五匹が突如現れた。


 現れた瞬間に、それぞれのインプの頭に刺さる矢。


 瞬く間に矢が刺さったんだけど……?


 後ろを見ると、先輩の五人が弓を引き終えていた。


「あれ? 早すぎない!?」


「ふふっ、私達で連携を決めたからね。あんなの序の口よ!」


 アムダ姉さんがドヤ顔を決める。


 いつの間に先輩達がこういう作戦を決めていた事に感心する。


「それにしても、変な矢ですね?」


「うん! ソラくんのおかげで弓士の基本スキル『魔法矢』が使えるようになったんだよ!」


 先輩の一人が教えてくれる。


 インプの頭に刺さった矢は少し光っていて、インプ本体と一緒に消えていった。


 魔法矢か…………弓士はそういうスキルがあるんだね。


「魔法矢はどれくらい撃てそうですか?」


「ん~今のところなら、十本分くらいかな? レベルが上がればもっと使えそうだよ!」


「なるほど! レベル5まで上げてしまえば、一日分は使えそうですね。とても良いスキルでいいですね! いつも矢が重そうでしたから……」


 矢を入れた筒は、意外にも重いのだ。


 それを多少解消出来るのは素晴らしい点かも知れない。


 更に、弓士の皆さんにはサブ職を『闘士』にして『腕力増強(小)』を付けて少しでも重さを軽減させているのだ。



 今度は左右からスケルトンが複数体が現れた。


 やはり、直後に頭に矢が刺さり、瞬時に倒れていく。


 ……。


 ……。


 ……。


 皆さん、めちゃめちゃ強くなってない!?


 反応速度も速いし、矢を放つまでノーモーションだし、弱点を一発で貫くのも凄い。


 弓士隊にポカーンとしていたら、隣にいた先輩が、


「ふふっ、それもソラくんに教わった事を続けていたからね、中級職能『弓士』はレベル1でもこれくらい出来るのよ」


 なるほど…………下級職能でもあれだけ戦えるんだから、中級職能ともなれば、あれくらい簡単に出来るのか。


 先輩達は既にレベルが2に上がったそうで、あれだけの速度で倒していけば、レベルもとんでもない早さで上がりそうだ。



 その日は一層だけで狩りを続けた。


 最初は俺達を見て嘲笑っていたパーティーも、弓士隊の圧倒的な実力にどんどん顔が真っ白になっていた。


 現れた魔物を一瞬で倒す弓士隊。


 …………もしかして、一層に来た時に笑われたから見返してるのかな? 少し、弓士隊のみなさんが黒い笑みを浮かべているのが気になる……。




「ふふ…………うちのソラのパーティーを笑うなんて…………ふふ…………」


 フィリアもちょっと怖いかも……。

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