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第102話 Aランクダンジョン狩り開始

「ソラくん。諜報隊からの連絡だけど、グレイストール領が本格的に動いたそうね」


「意外と早かったですね」


「ええ。あと一か月って所みたい」


「分かりました。では、俺達もこれから『Aランクダンジョン』に潜りましょう」


「ええ。肆式のみんなは、例の作戦で行きましょう」


 本日から『Aランクダンジョン』に潜る事になった。



 一度、孤児達が過ごしている一帯の近くに来ると、影に同化している肆式のみんなが、俺達の影に入って来た。


 既にレベル8ともなれば、綺麗に隠れられるね。


 これなら余程の強者じゃないと、まず気付かなさそうだね。


 そして、俺達は『Aランクダンジョン』の入口に向かった。




 …………どうしてだろう。


 待ってましたと言わんばかりに、『亡者の墓』でも会ったパーティーと鉢合わせになった。


「ほぉ…………」


 そのリーダーさんが唸り声をあげる。


「あ、あはは……こ、こんにちは」


「今日からここに移すのだな?」


「え、ええ。頑張ってレベル9を目指します」


「9か…………うむ。精進するといい。それと一つ言っておくと、現在ここで狩りを行っているパーティーはいない。自由にするといいだろう」


「えっ? は、はい。ありがとうございます」


 これは…………絶対バレているよね…………。


 強者にはさすがに隠し通せないし、寧ろますます怪しいよね。


 でも見つかってしまったからには、仕方ないから、広めないでくれる事を祈りながら、俺達は『Aランクダンジョン』に入って行った。






「ふふふっ、例の転職士は特別だったという事だな」


「ん? リーダー、どうしたの?」


「いや、何でもない。みんなも彼らをよく覚えておくことだ」


「確かに数か月でここまで来れたのは凄いけど…………強そうには見えないけど?」


「まだ修行が足りんな、あれは――――――化け物だぞ」


「え? リーダーが化け物って言うなんて…………」


「取り敢えず、良い土産話が出来た、急いで()へ帰るぞ」


「え! やっと帰れる! やった!」


 そのパーティーは急ぎ足で、『Aランクダンジョン』を後にした。




 ◇




「みんな、ダンジョンに誰もいないそうだから、出ておいで」


 影の中から六十人の肆式メンバーが現れる。


「ダンジョン内で狩りを行っているパーティーはいないらしいから、みんなで狩りに行こうか」


「「「「はーい!」」」」


 ピクニックにでも行くかのように、みんな手を上げて、歩き出した。


 六十人のうち、四十人がメイン職能アサシンで、サブ職能闘士だ。


 アサシンの足りない力と体力を闘士でカバーしている。


 残り二十人は、メイン職能魔導士で、サブ職能ローグにしている。


 これは動きが弱い魔導士にロークを付ける事で、戦場でも速やかに動けるようになるのだ。


 進む前にルーから『万能能力上昇魔法』を受けて、道を進むと、すぐに巨大サソリと出くわす。


 一体の巨大サソリに、肆式のアサシン部隊四十人が飛びかかり、後方から魔導士部隊二十人が詠唱を唱える。


 一回尻尾で攻撃したサソリだが、直後飛んできた二十の魔法を全部払い切れず、そのまま魔法を受け燃え尽きた。


「早いな…………」


「魔導士が二十人いるんだもの……こんなもんよ……」


 ミリシャさんが大きく溜息を吐いて、肆式にこのやり方で戦うように伝えると六十人が美しいくらい揃って移動し始める。


 みんな普段から一緒に過ごしているし、元々孤児の頃から用途は違えど、連携の訓練を受けていたから、とても様になっている。


 彼らこそ『シュルト』と呼んでも差し支えないかも知れない。


 最近一緒になって訓練をしているルリくんとルナちゃんも、どこか嬉しそうだ。


「さーて、俺達も負けてられないね。頑張りますか!」


「「「「おー!」」」」


 俺達も急ぎ足で、先を進める。


 数体の巨大サソリを、あっという間に倒した俺達は、『Aランクダンジョン』の二体目の魔物を見つけた。


「炎氷フェニックスだね」


 身体の半分が炎と氷で出来ている大鳥形魔物だ。


 巨大サソリより数段強いとの話――――だったんだけど……。


 魔導師となったカールとミリシャさんの阿吽の呼吸て、それぞれ半身に弱点属性魔法を叩きこむ。


 地面に落ちた炎氷フェニックスに、みんなで袋叩きにして一瞬で倒した。


 炎氷フェニックスは両半身に一定値の弱点属性――――炎には水か氷、氷には火の魔法を当て続けると、全身が硬直したうえに炎と氷が消えて、ただの大鳥になって地面に落ちてバタバタするだけになる。


 実はこの炎氷フェニックスは、属性を纏ったまま倒したら消えて何も残らないけど、両半身の魔法を消して倒すと全身が残る魔物で、この肉が非常に美味しくて、高額で有名である。


 職能『交渉者』を持つシヤさんは、スキル『アイテムボックス』というモノを持っており、そこに素材を入れられるので、大鳥肉を収納して貰った。


 経験値を沢山得られるのもあるんだけど、大鳥肉も高額で売れるし、味も美味しいのでとても良い魔物だ。


 ただ、両半身の弱点属性で硬直させるには、最上級職能『賢者』が二人いると言われている。


 うちは、スキル『ユニオン』により、カールがスキルだけで賢者級の魔法を、ミリシャさんがスキルのおかげで二つの魔法を同時展開して当てられるので、弱点属性をすぐに当てる事が出来た。


 さらにはラビのおかげで、相手の攻撃は全て跳ね返されるのだ。


 数分後、大量の大鳥肉を持って来た肆式がとても逞しかった。

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