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第101話 クランの方向性

 上級職能に転職出来るようになった日。


 俺の言葉にミリシャさんはつい気を失う事件となり、ミリシャさんとカール以外はものすごく盛り上がり、宴会となった。


 出来れば、レボルシオン領に集まって、みんなで祝いたいけど、往復出来る距離じゃないからね。


 みんなで宴会をしながら、俺は自分のサブ職能をどうしたらいいか、悩んでいた。


 『召喚士』を出来ればレベル最大まで上げたいんだけど、出来れば上級職能もレベルを上げたい。


 既に実証したのは、ラビとルーを召喚したまま、サブ職能を転職させても、召喚しているラビとルーはそのまま残せる事までは確認出来た。


 また召喚で呼ぶには、一度『召喚士』に戻さないといけないけど、大した手間ではない。


 それはともかく、俺達は宴会を楽しんだ。




 次の日。


 げっそりしたミリシャさんが、まだ顔が真っ青で部屋に入って来た。


「ミリシャ姉……大丈夫?」


「う、うぅ…………だ、だいじょ…………」


 全然大丈夫じゃなさそう。


「ミリシャ姉、上級職能に転職出来るってそんなに凄いの?」


「…………弐式から肆式まで……千人を超えているわ…………『魔導士』千人……と言えば分かるかしら」


「あ~、それは凄そうだね~」


「す、凄いってもんじゃないわ…………王国が……世界が滅ぶわよ」


 いやいや、滅びまではしないと思うけど……。


「ミリシャさん。ではその力を正しい(・・・)方向に導いてください。ミリシャさんは『銀朱の蒼穹』の『指揮官』ですから!」


「え、ええ……そうね……私がしっかりすれば……大丈夫よね……」


 ちょっとだけ元気出たみたいだけど、何となくミリシャさんの負担が凄まじそうだ。


「では、さっそく弐式と参式と肆式の転職を済ませるね!」


「ソラ、頑張って!」


「俺は暫くここで転職の作業に入るから、みんなは自由にしてきて~多分夕方くらいには終わると思うから」


 メンバー全員が頷いて、それぞれ休みの日を過ごしに出掛けた。


 ミリシャさんとカールだけは、一緒に部屋の中で過ごすけどね。


 転職はスキル『ユニオン』でどこからでも出来るので、まず全員をそのまま上位職能に引き上げて、サブ職能は一旦そのままにする。


 予定としては、全員レベルを8にして、サブ職能を変えてサブ職能を9まで上げる予定だ。


 それが予定より早く終わった場合は、『Aランクダンジョン』でレベルを9にするかも知れない。


 それは残った時間次第だが、出来れば多くのメンバーを9にしてあげたいよね。


 ミリシャさんが言ったように、上級職能持ちが千人並ぶとどうなるんだろうか…………いつか『魔導士』にして、『Aランクダンジョン』でレベルをあげる日も来たりして…………まあ、そこは『指揮官』のミリシャさんに任せるとして、俺はみんなの職能を上位職に繰り上げる作業に勤しんだ。




 夕方。


「やっと終わった~」


「お疲れ様、ソラ。はい」


 フィリアが持って来てくれた甘い果実水を飲み込む。


「ふぅ……仕事した後の飲み物は美味しいね~」


 ミリシャさんが覚悟を決めたように、俺の前にやってきた。


「ソラくん。こうなったら、寧ろ割り切って『銀朱の蒼穹』を全力で動かしましょう?」


「ミリシャさん? 全力で動かすってどういう事ですか?」


「今は戦争が起きる事が確定しているから、一旦全員レベルを上げられるだけ上げて、戦いに備えましょう。弐式、参式、肆式、みんなもきっと()と戦えるはずだから」


「…………戦争に加担するという事ですか?」


「加担はしないけど、傭兵にはなるわ」


「傭兵?」


「ええ。戦争が起こると、各国というか、各陣営が傭兵を雇う場合があるの。その時に『シュルト』として、みんなの顔を隠して参戦すれば、『銀朱の蒼穹』としては参戦していないからバレないと思うの」


「なる……ほど?」


「既に両方のトップに『シュルト』の力は納得して貰ってるから、傭兵として雇って貰うのも簡単なはずよ。『シュルト』として参戦するメンバー全員をアサシンと魔導士にすれば、意外にもバレないかも知れないわ」


 ミリシャさんの構想が何となく理解出来た気がする。


 元々暗殺集団として向こうには認識されているはずの『シュルト』。


 そんな集団だからこそ、同じ職能で揃えた人材を揃えていると思わせる。


 アサシンを増やして、暗殺をさせつつ、魔導士で殲滅をさせる。


 それだけで、『シュルト』としての強みを売れると思う。


「ミリシャさん。その案で通しましょう! 出来れば、『シュルト』にも所属するメンバーを募集しなくちゃ」


「それは私がやるわ。この場合、あまり多くても困るもの……それに、実は既に宛はあるの」


「え? もう!?」


「ええ。肆式のみんなよ。彼らはルリくんと仲良いし、ルリくんに続きたいとずっと言っていたからね」


「えっ!? 全然知りませんでした……」


「ふふっ、彼らにとって、ソラくんは神にも等しいからね」


「神!?」


「シヤちゃんや彼らを救ったのは他ならぬソラくんだよ? だからソラくんの為なら何でもしてくれると思う。それは弐式も参式も一緒ね。せっかくだから弐式からも数人誘ってみるかな~」


 俺が知らないうちに、『銀朱の蒼穹』がそんな事になっているみたい。


 フィリアは既に知っていたみたいで、隣でニヤニヤしている。




 次の日からまたコボルトの森でレベルを上げる日々が始まった。


 それから一か月狩りを続け、全員がメイン職能レベル8、サブ職能レベルも8まで上がって行った。


 俺はというと、みんなから経験値を貰っていないので、メイン職能はそのまま8で、サブ職能は精霊騎士をレベル8まで上げた。

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