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19.デマントイドルート

「この光景もすっかり慣れましたわね」


学園生活にもなれ風邪をひく回数も減り、気づけば私は17歳になっていた。


「殿下もあと数日でご卒業だし、見納めと思えば寂しいような。ペリィ、聞いている?」


「聞いてる聞いてる」


パールに肘を突かれ返事をするも上の空なのはバレているようだ。


「なんか、最近変なんだよなぁ」

「遂に、ペリィにも恋の訪れが?!」

「違うわよ」


パールの勢いに押され、椅子から落ちそうになるも踏ん張り恥は回避された。


「だって貴方たったら、男性に見向きもしないんですもの! この前だって呼び出されいましたわよね?」


 最近、婚約をしたパールの背後には常に花が咲いている。勿論、幻覚である。


「なんか、ピンっとこないというか」


乙女ゲームの中だけあって、ねばならないではないものの婚約者を決めるのが早いんだよね。来年で最終学年になるとはいえ学生よ? そこから更に専門分野を学ぶ場合もあるしさ。


「面倒くさい」

「アンデシン様も卒業されて騎士団に入団していますわね」


その名は私には禁句である。


「ハァ、何故かしつこかったのよね」

「確かに騎士科の教室は正反対の場所なのに、よくこちらの校舎にいらしてたわね」

「なんか、色々と重かった」


 入学前に騎士の卵のアンデシンとは、病弱を理由に婚約解消した。とても粘着質で、何が引っかかるのか入学してから、纏わりつく視線を度々浴びていたので、解放された時には、飛び上がって喜んだわ。


「でも、悪い人じゃないのよ。ようは、恋愛も結婚も私は向いてないんだと思うわ」


 みんな、友達でいいよと口にしようとしたら強い視線を感じた。


「最近、視線に熱が加わりましたわ」


 兄からの視線をとっくに察知しているパールは、なんだか楽しそうである。


「わけわかんないよ」

「あら、彼の目は本気ですわよ。近々必ず動き出すわ」


 何でも話せる彼女には兄達と血の繋がりがない事を随分前に打ち明けてあるけど、どんなタイミングで話をしたかは全く覚えていない。


「パールは、いつから探偵になったのかな?」

「さぁ、いつからかしら?」


ふふっと笑う顔は、友達としての贔屓目でも、とても可愛い。いや、ここは食堂である。


「また後で話さない?」

「よろしくってよ」


休み時間が残り少ないという状況に気づいた二人は、ご飯をせっせと口に詰め込んだ。



* * *



「どうやら気づいているも完全に無視されているねぇ。挨拶くらいしたらよいのに」


「教室に戻りましょう。間もなく次の講義になります」

「君の妹、そんなだと私がもらっちゃうよ?」


おや?少し殺気がでているけど。護衛対象者に出すのはいただけないなぁ。


「殿下」

「はいはい。君は昔から変わらないね」


生真面目なのも過ぎるとどうかと思うよ。


「デマントイド。来月の卒園パーティーを期限としよう」

「何を」


無表情がたとえ僅かでも取り乱す様子を見れるなんて貴重だな。いや、単純に面白い。


「いいか、パーティーの日までに動かなければ私が申し込もう」


同レベルの家柄ではないからね。余程の事がなければ拒否はできないよ?


「流石に遅刻だな。行こう」


スフェーンは、退屈な授業も楽しみができたので我慢できると気分良く食堂を去った。


その背後にいる護衛の表情は、ここ最近で一番無表情だった。



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