表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/34

15.何故そのマークが!

残念ながら聞き間違いではないようだ。


じっと見つめてくる副団長さんの視線が辛い。そしてお兄様。顔見知りなのか?!と圧をかけて睨むのは止めてください。


「もぅ〜!」

「どうした?!体調がわるいのか?!」


いきなり頭を掻きむしりだして唸る私にギョッとする二人がワカメのように垂れ下がる髪の毛の隙間から見えてなんだか笑える。


いや、笑っている場合じゃない。


「……駄目だ」

「何が駄目なんだ? それよりまた熱が上がっているのか?」


お兄様、私はピンチというか選択を迫られているんですよ。はっきり言って、この人は信用できるマトモな奴なのか。


「私の脳みそでは上手い案が浮かばないので、初対面のような状態で信じてよいのか不安しかありませんが」


ワカメの隙間から副団長さんをもう一度ちゃんと見た。


騎士団というか軍人さんって短髪のイメージなんだけどこの人の前髪は長いらしくオールバックのようにしているようだ。そのせいで、目元がよく見えた。表情は、柔らかいとは言い難く隣の兄と似た雰囲気だけど格が違う。


この人は、副団長という地位だけではなくて恐らく家柄もウチより遥かに上な気がする。


「仰った言葉は、全て理解できます」


ここで嘘をつくのは後にマイナスにしかならないと私の第六感が判断した。それは副団長さんが何を考えているのか不明だとしても。


「そうか。ならば、あの時の呟きに納得がいく」


あの時とは何ですか?


「ベンチで貴方が寝ながら口にした時だ。目が微かに開いていたが、体調が悪かったのなら覚えていないかもしれないな」


なんかまずい事を言った? 覚えがない。いや、まてよ。この人の声や顔立ちにデジャブが。


「大丈夫って」


励ますような声が目の前の人と同じで。


『夢だから悲しくない』


切れ長の黒に近い茶の目に見慣れた顔立ちに安堵したんだ。


「私は、これはやっぱり長い夢だと思いたかった」


そして落胆した今、また再び違和感のある言葉の数々。


「私には姉がいたのだが、もしかしたらこの世界には私のような異なる世界の記憶を持つ者が存在するかもしれないと言っていた」


待って。姉がいたというのは過去の話?


「もしかして、お姉様は」

「一年ほど前に流行病で死んだ」


ほんの一瞬、曇った表情を見てしまい申し訳なくなった。


「すみません」

「謝る必要はない」


思わず悪いことをしたと謝罪を口にすれば、ふっと笑った。


この人、イケメン過ぎる。


その、なんとも言えない笑みから目を逸らせずにいた時。


「えっ?」


副団長さんの頭上に小さなピンクの光が見えて、点だったそれはあっという間に見覚えのある形、即ちハートマークが現れたのだ。


好感度の数字まで10%が20%になっているし。攻略可能な人って増えるの?


「ペリドール嬢?」


黒耳の人なんてパッケージにいなかったと思う。というか年の差かなりあるんじゃないの?


「実はやばい人?」

「ペリィ、口に出ている」


ハッ!


兄の言葉で両手で口を抑えたけど。


「私が何と? もう一度言って頂けますか?」


いや、一般人にドスのきいた声を出さないで欲しいんですけど。ホント、怖い。


でも、貴方が攻略対象者の一人だなんて絶対に言いたくない!




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ