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第七話 逢着!!

 千絵はまた暗闇の中にいる。

 彼女の時空転移機能は失われたわけではなかった。いま、こうしてプール空間を漂っているのだから。

 しかし、いつもの時空転移ではない。今回は自分の意思で転移したわけではない。イツキが目の前でトラックに轢かれて、あまりの衝撃に頭が錯乱するうちに、いつの間にかここにいた。こんなことは初めてだった。

 プール空間は時空転移の一時的な緩衝地帯である。つまり、ここは時空旅行における単なる道中に過ぎない。しかし、旅には必ず目的地があるはずだが、もちろん千絵は目的地の座標を設定していない。この先、どこへ繋がるかわからない。

 そのとき突然、左腕を掴まれた。

──また……。まるで同じことの繰り返し。一体誰が……。

 目を閉じたままぐいと引っ張られ、脇によろめくと同時に、左腕に強く圧がかかった。どうやら千絵は空に浮いていて、掴まれた左腕に釣られる格好のようだ。

 顔に凍り付きそうなほど冷たい風が吹き付ける。いや、それだけじゃない。何か小さくて固い粒がチリチリとほっぺに当たって……これは、雪!?

 目を開けてやりたかったが、まるでまぶたの上下が張り付いてしまったかのようにぴったり閉じられている。自由になっている右手で目元を擦ると、睫毛に引っかかっていた雪の結晶がぱらぱらと落ちた。

 うっすらと目を開けると、横に細く切り開かれた視界には、人影が見えた。

 その人影がイツキだとわかると同時に、千絵の身体は思いっきり引っ張り上げられ、新雪がカーペットみたいにふわふわに積まれた場所に乗り上げた。

 千絵は知らぬ間に息を切らしていて、少し呼吸を落ち着ける必要があった。仰向けになったまま深呼吸をすると、身体が持つ暖かさを全て洗い流してしまいそうなほど強烈な冷気が肺に流れ込んできた。

 そのまま灰色の天を仰いでいると、視界の隅にイツキの顔が見えた。

「また会ったね」

 と、彼は言った。

 千絵はここがどこなのか、今度もすぐに悟った。

 結晶の世界。

 千絵は再び、別世界にたどり着いたのである。


これにて、第一部「鏡写しの世界」、完です。

読んでくれた方はありがとうございます。

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