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溢れ落とした鉄砲の数は?  作者: 白松小雪
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 ピアノを聞いているみたいな深い声が、上から下へと届ける声は耳朶を透過し、眠りの中から起きて聞こえた。母が死んだ日の幾日かが経過した日のいつかだった。

 お金の心配はしていない。もとから母が死ねば私の居場所はどかかに消える。だから、母が死ねば私も死ぬ。恨んでなどいない、恨むほど人間が落ちていないというわけではなく、単純に疲れ、眠かっただけだ。もう私の腹の底は尽きていた。考え過ぎるのもよくない。

 そうやってベッドから目覚まし時計の音を探り寄せているときに、天使の声を聞いた。天使の声の後ろに透明な不快げで鳴りやまない蝉の声を聞きながら。世界には三つの世界がある。色彩の違う毛色といったほうが妥当の世界だ。その世界の一つが壊れたらしい、2つは融合する。天使の声はずっときいていたくなる心地よさが、自明のごとく目を開けている。私が黙って問題なく聴けているのは、みとっもない心の波立ちさへないのは、階下にあった橙色のソファーにぐったりしている母のせいだろうか。脳幹の麻痺は、自死を大きなものだったあれから小さな、小鳥が雛のためにミミズをとってくるような極当たり前の、奉仕の気持ちだった。

 それにゆうあれが、一つの戒律としてそれが永遠への傍観者という、まあ、なんとも良くわからない言葉が、耳に心地よく、承諾をした。その日夢を見た。冬の寒い日の毛布でくるまり見るあのぬくもりをとってつけたような、神様を見た。


 複雑な地図をそのまま立体化した灰色の町を見下ろし、夢は夢と思った。母のぐったりした死体がなく、そのため思ったに等しい。全能感というより無駄な、開けなかったものが勝手に開いていつの間にか外にいた私は、母の愛用の煙草をくもらせ、盛大に噎せた、何度も繰り返しているうちに、吸えた。

「あははは、はははははは、」

 様に吸う。証明したような契約書をここに書いていた。飯でもつくろうそれがいい。私はインターホンの音を探り寄せているように、鳴る、音を聞いた。私は外に出ることを躊躇う足を浮き上がる心持ちで動かした、軟らかい地面。母の代わりに来客を迎える。煙草を咥えたままなのを、この執着を妙に思いながら、煙草を揉み消して、扉を開けるときに思った。

 母の愛用の煙草?体を自由に任せ扉は開く。煙草は、ーー私の愛用だった。


 目を瞬く。外には愛くるしい瞳を持った娘が立っていた。彼女は言った、

「あっ。すいません!」ちらっと横を流して見て。階を間違えたという。「いやその、すみませんでした!」茶髪の短い髪は、赤い真紅の瞳と相まって微妙な愛くるしさを付与させている。私はなぜ冷静に女を見た?

「別に、いいですよ?」

 変な匂いを感じた。しかしよく見ると女には頚筋に沿って火傷の痕がある。愛くるしさの影にでもあるそれは、隠しているようで、とても醜かった。

「はい!、ありがとうございます!」

 煙草をくゆらせ、想像にふける。天使か女神かの言葉に三つの縛りを受けた。妄想だとしても、だからこそ面白く母の······?帰りを待つ。

 一つは永遠の命を求めないことと、そもそも求められなくなっているらしいーーし、関心を求めようとして関連の出来事でも結果そうなる場合、そもそもと求められない。戒律と呼ぶらしい、天使か女神かが言うことと、天啓だよ。私は神にみそめられたらしい、上機嫌に興奮を煙でつくり、また、煙で消す。


 夕日そこそこに、仕度を始める。夕飯というより晩食で、それらをつくってあったと思い冷蔵庫を開けたが、それは別にいつもの、冷めた室だった。一人だと言う意識が濃くなる一方で、何が問題なのだといつもどうりの淋しさを、紛らわすために、1人というものが案外堪えたもので、手をかざし言う。


❬運命の放棄に❭ーー「燃えろ」。


 単純に厭な予感がし、馬鹿馬鹿しさを感じながら、底知れぬ恐怖が襲い。慌てるように下に、違うって。止まらない怒濤の放たれた。彼女の言葉がここで初めて、痛いくらい刻まれた。

 濃炎が融けた世界を太らせる。爆発的なまでに、大きく小さな女と目があった、少々の火傷の痕がある女だ。びっくりしたように私を守るようにまとわりつく、彼を見ていた。生きてるみたいな、死んだ後みたいな彼を、赤い太った彼を。見ていた。

 瓦斯が抜ける音に耳は敏感だった。

 

 

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