評判
即位式から4ヶ月が経ったが新皇帝の評判は上々であった。
「新皇帝にうちの娘を嫁がせたい!!!」
「あんな美丈夫…側女でいいから置いてくれないかしら。」
「おうさまのおひめさまになりたい!」
「…だそうですよ。皇帝陛下。いくら評判を聞いてみても側女にしてくれ、愛人にしてくれ。あなた見た目の評判しかないです。いっそのことどうです?後宮に召し上げては。」
皇帝の側近であり、乳兄弟でもある舒頴達は書き物をしている主人へそう告げる。
皇帝 醒月はため息をつきながらそれに答える。「なんだそれは…税金や政策についての民衆の意見を聞いて来いと言っただろうに」
自らも主人に劣らずの美貌を持つ側近は淡々と告げる。
「聞きましたがそれが大半の意見なんです。」
醒月は苦笑しつつも筆を置き、「見た目しか話題に出ない…男としては充分であるし、それなら言うほどの不満は出ていないと言うことか。」
「でどこの娘を召し上げます?」
「私には有鄰だけで充分だ!!!わかってるだろうお前も!」
「あら、嬉しいことでございますわ。」
「有鄰!」
ころころと笑いながら現れたのは、皇帝のたった1人の妃、赤鴦妃こと有鄰である。
ふわふわとしたこげ茶の髪に、赤鴦妃の色である柘榴石をつけた簪を指した、齢19歳の歳若い彼の寵姫は2歳になる娘を抱えて部屋に入ってきた。
「私もこーんな美丈夫に見初めていただきありがたく思いますわ。」
彼女は耳飾りをしゃらんと鳴らしながらそう笑う。
「もう準備はできたのか?」
「ええ、公主も準備万端でございます。」
「では向かうか、宴へ」