第8話 メイドの面接をします。
募集が終わった連絡を受け、御影とクラリスは王都ギルドへと向かった。
杏は屋敷でお留守番だ。
ギルドに入ると視線が一斉に向けられる。
これも慣れたものだ。
「この前出した依頼、募集が終わったと聞いて来ました」
御影は依頼を出した時に手続きをしてくれたお姉さんに話しかける。
「は、はい。少々お待ち下さいね」
そう言ってお姉さんは奥へと向かった。
「えっと。こちらがエントリーされた方の一覧とエントリーシートになります」
「え、こんなにたくさん……?」
ドサっと、御影の目の前に紙の束が置かれた。
ざっと見ても百枚近くあるようだった。
「はい、時給も高いですし、何より、最強の賢者として名を馳せた御影さんの元で働きたいという人がかなり沢山応募されまして」
「なるほど。とりあえず、持ち帰らせて頂きますね。ありがとうございました」
「お役に立てましたら幸いでございます」
御影とクラリスはギルドを後にした。
屋敷に帰り、クラリスは自分の部屋へと向かう。
本当について来ただけであった。
「さてと、まずは書類選考と行きますか」
一覧表で確認すると、応募者は合計で106人であった。
そこから御影は独断と偏見により、30人ほどまで絞った。
翌日、面接を行う事をギルドを通して知らせてもらった。
一週間後、面接当日。
御影は自分の屋敷の一室を面接に使った。
面接にはクラリスと杏も同席している。
「えー、うちの喫茶店で働きたいと思ったきっかけは?」
「そ、それは、憧れだった御影さんの元で働きたいと……」
面接により、なんとなくその人の人となりは分かったが、志望の理由などは皆、似たようなものであった。
「さて、どうしたものかね」
面接を終えた御影は疲れきっていた。
中には、著しく態度が悪い者や接客業には向かないだろうと思える者もいた。
「えっと、この子とこの子は不採用でいいな。クラリスたちは何か意見ある?」
「は、はい。この方は少々、人間として難があるかと」
そう言って一人のエントリーシートを指差した。
そりゃ、可愛くて愛想がいい子がベストなんだが、そんな条件のいい子はそうそう居ない。
結局、10人程度の募集であったが、採用したのは三人だけであった。
メンヘラ系、元気っ子、クールなお姉さん。
この三人の採用を決定した。
メイドカフェのメイドはキャラが重視される為、没個性とならないような人を選んだつもりだ。
「じゃあ、この三人に採用通知を出しますか」
御影は採用通知をギルドを通して出した。
それから数日、呉服店からメイド服が出来上がったとの連絡があったので、クラリスと杏を連れて行った。
「あ、御影先生、頼まれてた物はできてますよ」
店主は奥へと入って行った。
「どうですか? サイズはそちらのお嬢さん方に合わせて作りましたよ」
「はい、ぴったりです」
「凄く着心地もいいです!」
二人は随分と気に入ったようであった。
それから新たに雇う事になった三人分を発注して呉服店を後にした。
「あとは、肝心のメイドカフェの名前を考えないとなぁ」
そんな事を考えながら御影は新たにメイドカフェをオープンする店舗へと歩いた。
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