最終話 メイドの品格
何も変わらぬ日常。
御影は屋敷のリビングで休んでいた。
「平和なもんだねぇ」
最近では、陛下も御影を頼ることは少なくなってきた。
他の冒険者や騎士で対応できるならそれに越したことは無い。
趣味のつもりで始めたメイドカフェもだいぶ繁盛してた。
「最近は大きな事件もありませんから、御影さんもメイドカフェの方に専念出来ていますね」
「だね。俺がわざわざ出張るような事件は起きないに限るからね」
御影に出撃命令が下るということは、それだけの緊急時なのだ。
「さて、今日も営業時間だ。行くぞ」
「「はい!」」
クラリスは2号店に、杏は本店にと出勤する。
「じゃあ、私はここで」
2号店の前でクラリスと別れる。
「おう、俺も後でそっちに行くから」
「分かりました! お待ちしています」
クラリスは笑顔で頷いた。
そのまま、歩くこと数分、本店の方へと到着する。
扉の前には、天音とルシールが居た。
「おう、待たせちゃってすまんな」
「いえ、私たちが早く来過ぎましたの」
「おう、今開ける」
ポケットから鍵を取り出すと、店舗の扉を開けた。
「はい、どうぞ」
「ありがとうございます」
「どうも」
軽く頭を下げ、彼女たちは店舗に入って行く。
「では、私は在庫の確認をするので、お二人は店舗のお掃除をお願いします」
「はい」
「分かったわ」
杏の指示で、二人は仕事に取り掛かる。
メイドカフェというものも、だいぶ定着し、常連さんも獲得できている。
御影としては、充分すぎる成果である。
「では、今日もよろしくお願いします」
オープン時間が近づき、それぞれ、メイド服へと着替えていた。
「「よろしくお願いします」」
カフェがオープンし、しばらくは落ち着いた時間が流れる。
しかし、2,3時間した頃から、徐々に忙しくなってくる。
「おかえりなさいませ! ご主人様!!」
接客する声が、店舗に響く。
「よし、こっちは大丈夫そうだな」
御影は、杏にひと言かけ、2号店の方へと向かう。
「おお、結構にぎわっているな」
既にオープンして、時間が経っている為、満席状態になっていた。
「調子どう? 大丈夫そう?」
バックヤードで、クラリスに尋ねた。
「はい、今のところは、在庫にも問題ありませんし、大丈夫です」
「そうか、なら良かった」
今日は、このまま2号店で閉店まで過ごすことにした。
外は暗闇に包まれ始め、閉店時間が迫っていた。
「さて、今日もお疲れ様でした」
御影は、お客さんが居なくなったことを確認すると、店を閉めた。
「「お疲れ様でした」」
クラリスとメレーヌは少し疲れたような顔をしていた。
「うん、お疲れさん」
2号店前で、杏と合流すると、皆で屋敷への帰路に就いた。
御影たちの日常。
メイド喫茶セルヴァントの日常は、こうして続いて行くのであった。
――完――
久しぶりの更新で申し訳ございません。
最終話ということで、驚いたかもしれませんが、ここでこの物語は一区切りとさせて頂きます。
最後までお読み頂き、誠にありがとうございました。
他の連載作品はまだ続いていきますので、何卒宜しくお願い致します。
津ヶ谷