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第75話 チェキの導入

 御影は大きめの魔法石にドローイングの魔法を付与する作業を行って居た。

今回はそこまで複雑な魔法式ではない。

割りと簡単に付与することができた。


「よし、これで大丈夫なはずだ」


 御影はそう呟くと部屋を出た。


「杏、出来たぞ。ちょっと試してみてくれ」

「あ、もう出来たんですね」

「何ですかこれは?」


 同じリビングに居たクラリスとアリサが覗き込んできた。


「あ、クラリスとアリサは知らなかったよな。これはな、脳内にイメージしたイラストを一瞬にして転写することができる魔道具だ」

「また、凄いもの作っちゃいましたね......」

「そうか? 今回は通信魔法の時より簡単だったぞ。それより、試してみてくれないか?」


 樹は杏に言った。


「分かりました。では、御影さんを書いてみます」

「おう、分かった。まず、この魔法石に触れて、軽く魔力を流してみてくれ」


 そういうと杏は魔法石に触れ、軽く魔力を流した。


「流しました」

「うん、そうしたら、今度はその横に置いてある紙に描きたいものを転写するイメージをしてくれ」

「はい」


 そういうと杏は目を瞑ってイメージしていた。

すると、真っ白だった紙に下の方から徐々に色が付いていく。

やがて、紙にはスーツのジャケットを脱いでいる御影の姿があった。


「やった。成功です!」

「おう、ちゃんと使えるみたいだな」


 御影は魔道具がきちんと作動するのを見届けると少し安心した。


「はい、これなら新しいサービスとしてもメニューに載せられますね」

「ああ、そうだな」


 その後、クラリスとアリサも試したみたが、無事に出来たようだ。


「みんな出来たみたいだな。早速、明日から本店の方でメニューに載せてみよう」


 料金は銀貨一枚として御影は新たにメニューに加えた。


「おお、沢山出るなぁ」


 翌日、その物珍しさからか、常連さんはもちろん、新規のご主人様方までチェキもどきとなるサービスを注文してくれた。


「はい、皆さん面白いって注文してくれます」

「そいつは良かった」


 その日は結局、用意していた紙がなくなり、完売となった。


「完売かぁ。まさかここまで反響がいいとは思わなかったな」

「この世界に一瞬で絵が描ける魔法なんて使える人少ないですからね」

「まあ、そうだよな。俺の場合、魔法石にプログラムしてあるからある意味チートだけどな」


 その日の夜、御影は紙を大量に仕入れてきた。

この世界では紙もそれなりに貴重品という扱いだ。

チェキの料金もそれなりに高く設定するしかなくなってしまうのだ。


「もう少し色々考える必要がありそうだな」


 そんなことを考えながら御影は屋敷までの帰路に就いた。

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