表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

67/77

第66話 御影が泥酔しました。

 今夜、御影は珍しく公爵家で公爵様と酒を酌み交わしていた。


「いやぁ、御影くんとこうして酒が飲める日が来るとはなぁ」

「ええ、僕も驚いてますよ。公爵様から誘って頂けるなんて」


 この時、御影は調子に乗ってかなりの量の酒を飲んでしまった。


「じゃあ、遅いですし、そろそろ帰りますよ」

「おぉ、もうこんな時間か気をつけてな」

「ありがとうございました」


 御影はフラフラしながら屋敷までの道を歩いている……はずだった。


「あれ? どこだここ」


 どうやら反対方向に歩いてきてしまったみたいだ。


「あ、ここはマズいな……」


 そこは王都一の歓楽街。

娼館や飲み屋が建ち並んでいる。


「お兄さん、凄いカッコいい。どう? 私と朝まで遊ばない?」

「あれ? お兄さん最強賢者様じゃない? そんな女より私とどう?」


 二人の綺麗なお姉さんに言い寄られた。

二人とも綺麗目な和服姿であった。

いわゆる、遊女というやつであろう。


「私が先だったでしょ?」

「賢者様は私がいいよね?」


 御影はだいぶ酔っていた為か最初に声を掛けてきた女の子の誘いに乗ってしまった。


 遊女に連れて行かれた先は和室の個室であった。


「改めまして、夕霧と申します。よろしくお願いします」


 夕霧と名乗った彼女は綺麗に挨拶をしてくれた。


「お兄さん、さっき最強賢者様って言われていたわよね?」

「ああ、まぁそう呼ばれていたかな」

「へぇ、そんな凄い人がこんな所ウロウロしてたんだぁ」

「今はただのメイドカフェのオーナーだよ」

「え、じゃあ、セルヴァントってお兄さんのお店なの?」

「まぁな」


 そこから夕霧と何があったかは説明するまでも無いであろう。


 気づくと御影は上裸の状態で目が覚めた。


「ここは……? 俺は何してる?」

「あれ、やだ、お兄さん忘れちゃったの? 昨日は凄かったのに」

「てか、今何時だ!? 朝……だよな?」

「ええ、もう朝だけど」

「帰らなきゃマズい!!」


 御影は急いでスーツに袖を通すと屋敷まで全力で走った。

屋敷の前まで着くと玄関の鍵を開け、そーっと中に入り、階段を登ろうとしていた。


「御影さん!!」


 後ろから杏の声がした。


「は、はい!?」

「朝帰りとはいいご身分ですね? 今までどこで何してたんです?」

「そ、それはちょっと友達と飲んでて」

「正直に言いなさい! 御影さんは嘘が下手なんです!」


 杏はいつも御影の嘘を簡単に見破ってしまう。


「酔った勢いで娼館に……」

「はぁ、そんな事だろうと思いました」


 杏は呆れた顔をしていた。



「いいですか、別に御影さんがどこで何をしてようと子供じゃないんだから文句は言いませんけど、帰らないなら帰らないと連絡くらいしてください。どれだけ心配したと思っているんですか?」

「すみません……」


 何故か杏には頭が上がらない。


「私は寝ます!」

「あ、ああ、おやすみ」


 杏は階段を上がり、自分の部屋へと入って行った。


「あの子、何か引っかかる……」


 御影は相手をしてくれた女性が何となく気になっていた。

お読み頂きありがとうございます。

『面白い』『続きが気になる』という方は、ブクマ、評価をよろしくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ