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第50話 二号店をオープンします。

 メレーヌが攫われた一件があった翌日、セルヴァントのメイドのみんなを二号店に集めた。

メレーヌはまだ疲れているようだったので、今日も休んでもらっている。


「みんな揃ったな。ここが一週間後からオープンさせる、セルヴァントの二号店だ」


こっちの店舗にも慣れてもらうためにもオープンは少し余裕を持って一週間後とした。


「へぇ、ここが二号店か」

「カウンターになってるんですね」

「BARみたいな雰囲気でいいかもしれませんわね」


皆、それぞれの感想を言い合っていた。


「それで、二号店の店長はクラリスにお願いする事にしたから、よろしく頼む」


クラリスは一歩前に出るとペコっと頭を下げた。


「皆さんよろしくお願いします」

「クラリスさんなら安心ですね」

「ええ、そうですわね」


皆、賛成してくれ、クラリスも嬉しそうに微笑んだ。


「杏にはこれからも本店の方の店長を任せる。二号店ではあまりお給仕しないかもだけど、よろしく頼むな」

「はい! 頑張ります!」


杏も店長の業務をしっかりとこなしてくれている。


「クラリスはこの二号店の方がメインになると思う。ここの鍵を後で渡すから、こっちの店長業務は任せるよ」

「はい、ありがとうございます」


皆は二号店の店舗内をそれぞれ見回っていた。

お酒のリキュールやその他在庫は御影が運び込んで並べて置いたし、こちらの厨房スタッフも新たに雇うことにした。

そして、皆は二号店を後にし、本店へと戻った。


「よし、後は宣伝だな」


御影はポスターを作成し、店舗の入り口に貼った。

来てくれるご主人様お嬢様方にも、簡単な地図と二号店オープンの旨を書いたチラシを配った。

これで、二号店の事もだいぶ宣伝出来た事だろう。


そして、いよいよ二号店オープンの当日となった。

オープン初日はクラリス、天音、メレーヌの三人がお給仕に入った。


「メレーヌ、大丈夫か? 無理すんなよ」

「大丈夫です、いつまでも寝ていられませんから」


メレーヌもだいぶ復活してくれて、一安心した。


「じゃあ、私、開けて来ますね」


クラリスが表の札をcloseからopenに変えた。

さすがは、オープン初日という事でカウンター席と後ろのテーブル席も直ぐに満卓になってしまった。


「こっちの店長はクラリスちゃんになったんだぁ」

「はい、オーナーから店長を任せて頂きました」


クラリスの名札には二号店長の肩書きが加えられていた。

それから閉店までの時間、客足が落ちる事は無かった。

常に満卓状態であり、長い一日が幕を閉じようとしていた。


「いやぁ、今日は疲れたなぁ。帰って風呂入って寝よう」

「そうですね。お客様途絶えませんでしたからね」


今日の御影は裏でドリンクを作ったり帳簿を付けていたりした。


「もう少ししたら客足も落ち着くとは思うけどね」


クラリスと話しながら四人で後片付けをしていた。


「さぁ、片付けも終わったし、帰ろうか」


店舗の前で天音と別れ、クラリスとメレーヌと共に屋敷までの道のりをのんびりと歩いた。

お読み頂きありがとうございます。

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