第44話 制圧の前準備をします。
そして、三日後。
制圧決行の当日になった。
「じゃあ、行ってくる」
御影はいつものスーツ姿では無く、冒険者時代に着ていた黒いロングコートを着ていた。
「気をつけてね」
「死なないで下さいよ？」
杏とクラリスは心配そうな眼差しを向けた。
「大丈夫だよ。これでも、世界最強って言われてたのだし」
杏たちとのやり取りを終え、御影は屋敷を後にした。
王宮へ集合とのことだったので御影は王宮へと足を進めた。
「お、御影先生。その格好は久々に見ましたね」
王宮に入るのに門番の警備兵に声をかけられた。
「まぁな」
王宮へと入ると既に討伐部隊が組まれていた。
騎士団長のコームさんが率いる騎士団部隊。
宮廷魔法師長のリーリスさんが率いる魔法師部隊。
そして、御影が率いる冒険者部隊。
冒険者部隊はギルド本部長が実力と性格に問題無いと判断された者たちだけが厳選されていた。
「憧れてた御影さんの戦いを間近で見れるのは感動です！！」
冒険者たちは次々と話しかけられる。
「うん、ありがとうね。でも、遊びじゃないんだから、気を引き締めてな」
「「「「はい！」」」」
御影は他の部隊にも目をやっていた。
「御影先生、その姿ではお久しぶりですね」
「コームさんも気合い入ってますね。今日はよろしく頼みますよ」
「はい！ こちらこそです」
次に、リーリスさんがトコトコと近づいてきた。
「御影さん、今日はよろしくお願いします」
「はい、お願いします。頑張りましょう！」
御影、コーム、リーリスは王都の地図を広げた。
「この辺全体がレギロンの地下アジトとなっているはずです。問題はどこが出入り口になっているのか、という所です」
コームさんが言った。
「ここって、確か何もないですよね」
「ええ、そこはただの空き地になっていますが」
「なら、いい手があります」
御影は黒い笑を浮かべた。
「まぁ、口で説明するより見た方が早いですから、もう行きましょうか」
御影たちは王宮を後にし、その空き地へと向かった。
「さてと、この辺でいいかな」
空き地に着くと御影は魔法を展開する場所を見定めていた。
「皆さん、ちょっと下がっていて下さいね」
御影の言葉により、皆、少し離れたところから見ていた。
御影は自分の魔力を右腕に集中させる。
すると、白い光を纏い始めた。
「はぁっ！！！」
白く光った拳を思い切り地面へと叩きつけた。
御影の拳の破壊力は尋常では無かった。
地面はバラバラと崩れ出し、ポッカリと直径約三メートルほどの穴が空いてしまった。
「はい、皆さん出入口が出来ましたよ」
「へ……」
皆、唖然としていた。
「御影先生、何ですか今の！？」
「いや、国王陛下から何でもしていいって言われたから、出入口を作って見たんですが……」
「面白い人ですわね。あなたって人は」
コームさんもリーリスさんも、今更って感じらしい。
「さて、では、突入しましょうか」
御影は自分が開けた穴から飛び降りた。
それに続くようにして、他の制圧部隊の人たちも飛び降りて行くのであった。
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