第39話 バレンタインイベントをします。
二月十四日、世の中はバレンタインというイベント一色である。
この時期になるとチョコを売り出す店も増えてくる。
「こっちの世界でもバレンタインっていう文化あるんだよなぁ」
御影はこの世界と元いた世界で共通するイベントも多くある事に気付いていた。
「バレンタインイベントやるかぁ」
御影はバレンタイン限定メニューを出すことを決意し、杏とクラリスを呼び出した。
「もうすぐ、バレンタインだろ? だから、バレンタイン限定メニューを出したいと思うのだけど」
「そ、そうですね! いいと思います」
「私も異論はありませよ」
店長、副店長の了承を得た所で御影はメニュー考案に入った。
「ドリンクはチョコレートリキュールを使ったアルコール、ノンアルコールドリンクを考えてるんだけど、他になにかある?」
御影は杏とクラリスに意見を求めた。
「それなら、デザート系としてガトーショコラを出しましょうか」
「私は、ワッフルをチョコレートソースでお絵かきできるプレートとかが出したいですかね」
「お、それいいと思う! やろっか!」
御影は料理担当の従業員に限定メニューを出せるか確認を取った。
問題ないとの事で、御影はバレンタインイベントを実行する手配を整えた。
「さて、もう一つやりたいことがあるんだよなぁ」
御影は紙を3センチ四方の正方形に切っていく。
そこにA賞~C賞とハズレの文字を書いていく。
限定メニューを頼んだお客さんへの特典である。
A賞はメイドさんからのメッセージカード付きミニチョコ、B賞は板チョコ、C賞はミニチョコとした。
「あとはイベントをやる事を告知しなきゃ。やる事を多いなぁ」
ポスターを作り、店舗に掲示したり、ギルドにも掲示してもらったりした。
そして、イベント当日がやって来た。
今日はイベント日ということもあり、フルメンバーの出勤である。
「みんな、今日はイベント日だ。普段よりお客様も多いと思うが、よろしく頼む」
「「「「「「はい!」」」」」」
御影はcloseの札をopenに変えた。
予想以上に店舗の前には列が出来ていた。
一応、休日に合わせて企画してみたのだが、これはオープン当初以来の事である。
「今日、キッチンスタッフを増やしといて正解だったな」
一階の店舗部分は満席となってしまった。
「杏ちゃん、バレンタイン限定カクテル二つ!」
「はーい、かしこまりました。じゃあ、このくじ二枚引いて下さいね」
「はい、うぁハズレかぁ」
「残念でしたー。また挑戦して下さいね」
杏もクラリスも大忙しの状況である。
「天音さんで、お絵かきプレートお願いします」
「何描きましょうか?」
「え、好きなの描いてくれるの? うーん、お任せで!」
天音さんはチョコレートシロップで器用に『Happy Valentine』の文字を書いてゆく。
「おお! 凄い! ありがとう」
そんなこんなでバレンタインイベントは好評であり、夕方までお客さんが絶える事が無かった。
「はぁ、疲れたぁ」
「お疲れ様です」
「みんなもお疲れ様! 今日は帰ってゆっくり休んでくれ」
御影は閉店の準備を終えると店を後にした。
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