第27話 王様たちがご帰宅しました。
翌日、王様たちが来るというので貸し切りにしていた。
そして、今日はフルメンバーの出勤である。
もともと、杏は休みだったが、急遽来てもらった。
「みんな、今日は王様たちが来るから貸し切りにした。気合を入れて頼む」
「「「「はい!」」」」
王様たちは昼過ぎに来ると言っていたので、まだ30分ほど時間がある。
御影は在庫の整理をしていた。
しばらくすると、店舗の扉が開く音がした。
「「お帰りなさいませ。ご主人様」」
杏と天音が接客に入った。
「お、来たか」
御影はキッチンの方から覗いていた。
「おお、ここが御影のみせか。なかなかだな」
王様、公爵様、宰相さん、ギルド本部長まで来ていた。
国の重鎮たちが勢ぞろいじゃないか。
「こちらのお席にどうぞ」
杏が四人掛けの席に案内した。
「ご注文がお決まりでしたらお近くのメイドにお申しつけください」
王様たちはメニューを見たり、店内を見回したりしていた。
見慣れているはずのメイドさんもここで見るメイドさんは新鮮な感じがするのであろう。
「失礼します」
クラリスがお冷を出した。
「注文いいかね?」
「はい、お伺いします」
「アイスティーを三つとアイスコーヒーを一つ頼む」
「かしこまりました。少々お待ちください」
クラリスが注文を取ってキッチンに戻ってくる。
その間、天音とルシールが陛下たちと話している。
「このリバーシというのは何なんだね?」
「あ、これはですね、御影オーナーが持ってきたボードゲームですわ。お好きなメイドさん対戦できるのですわ。もし、ご主人様が勝ったら手書きメッセージカードをプレゼントさせて頂きますわ」
「ほう、そんなこともやっておるのか。面白そうだな」
陛下と公爵様は乗り気になっている。
「お待たせしましたー。アイスティー三つとアイスコーヒーになります」
クラリスが注文された飲み物をテーブルに置いた。
「おう、ありがとう。よし、このゲームをやろう」
王様は杏、公爵様は天音さんと対戦をするようだった。
「じゃあ、簡単にルールを説明しますね」
杏が王様たちにルールを説明し、対戦を始めた。
「なるほど。斜めでも取れるのか。なかなか面白いな」
王様たちがうちのメイドさんたちにルールを教わりながら、リバーシを楽しんでいる。
結果は、うちのメイドさんたちが圧勝していたが。
「ちょっとは手加減してやれよ……」
国の重鎮たちにも手加減は無いようであった。
それでも王様たちは笑っているので大丈夫だろう。
「ちょっと、御影を呼んできてはくれんか?」
陛下が杏に言った。
「かしこまりました」
杏に呼ばれて御影がホールに出て行く。
「お呼びですか?」
「いやぁ、久しぶりに楽しませてもらったよ。いい店だな」
「ありがとうございます」
「これは、ちょくちょく、顔を出したくなるレベルだ」
「ハマらないで下さいよ。公務も忙しいでしょうに」
「分かっておるわい。御影はいつも奥にこもっているのか?」
「ええ、男の俺が居たらこういう店のイメージが崩れるでしょう?」
「なるほどな。考えておるのだな」
「まぁ、僕の趣味みたいなもんですから」
「じゃあ、また機会があれば来るとするよ」
陛下たち国の重鎮は料金を支払ってメイド喫茶セルヴァントを後にした。
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