第9話 自己紹介とメニューを考えます。
採用通知を出してから数日、うちの店で働いてもらうメイドさんたちを新規オープンする店舗に集めた。
当然、クラリスと杏もいる。
店名は『メイド喫茶セルヴァント』とした。
フランス語で、メイド、女中という意味である。
「では、まず私から自己紹介をさせてもらう」
御影が口を開く。
「叢雲御影、この喫茶店のオーナーだ。皆、既に承知のことだとは思うが、この世界で最強と言われた元冒険者であり、賢者だ。よろしく頼む」
御影が話し終わると次は杏が話はじめる。
「杏と申します。御影さんより店長を申し付かりました。初めてのことで色々ご迷惑をおかけするかと思いますが、よろしくお願いします」
杏は緊張しやすい性格だが、その分、真面目で愛想もよく、何よりもかわいい。
御影は杏こそ店長として働いてほしいと考えた。
そして次はクラリスの番となった。
「クラリスと申します。北の森で御影さんに危ないところを助けて頂いたのをご縁に御影さんのお店で働かせてもらうことになりました。御影さんより、副店長を任されました」
杏が店長なら必然的にクラリスが副店長となるだろう。
クラリスは控えめな性格ではあるが、誰よりも気遣いができる優しい子である。
副店長として杏を支えてほしい。
そんな御影の願いが込められている。
次に御影が新たに雇った子たちに自己紹介を求める。
「アラベルと申します。御影さんと働きたくて応募しました。よろしくお願いします」
アラベルはクラリスと同じエルフ族であるが、メイクのせいかどこか、メンヘラのような雰囲気のある女の子である。
このキャラは一定層にはウケると考えた。
「ルシールです! メイドさんに憧れて応募しました! よろしくです」
ルシールはとても元気のいい獣人族の女の子だ。
頭には猫耳とお尻にはしっぽが生えている。
元気の良さから接客業には向いているだろうし、こういう子が嫌いな男性は少ないであろう。
話していて楽しくなるような子である。
「天音と申します。何かバイトを始めたくて、御影さんが募集しているなら是非、働きたいと思い、応募させて頂きました」
天音はほかの子とは3歳ほど年上であり、お姉さんタイプである。
大人の余裕と色気があり、メイドさんにも向くのではないかと判断した。
一通り、皆の自己紹介が終わると、メニューはどうするかという話になった。
「私は、お酒を飲めるようにしたいですわ」
「はい! 私、オムライスも入れたい」
「お酒があるなら、おつまみになるようなものも欲しいですよね」
皆それぞれ、どんなメニューがいいか話し合いを始めていた。
何はともあれ、仲良くやっていけそうで何よりである。
それから、数十分話し合い、とりあえずは『ソフトドリンク』『お酒類』『ノンアルコールカクテル』『オムライス』『おつまみになるフード類』を出したいとのことで意見がまとまったようである。
御影はその意見を元に仕入れの準備を始めた。
「さて、やっと開店にこぎつけられそうだな」
そして、御影はこれから忙しくなることを覚悟したのである。
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