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源氏物語をよむ  作者: 滑川 慧
2/11

第一帖「桐壺」01

まずは、あまりにも有名な冒頭文から。

いづれの御時にか、

女御、更衣あまたさぶらひたまひける中に、

いとやむごとなき際にはあらぬが、

すぐれて時めきたまふありけり。


 (意訳)

 いつの時代のことだったでしょうか。

 帝(天皇)の妻として女御や更衣がたくさんお仕えしている中に、

 たいそう高い身分ではない方で、

 帝に特別に愛されている方がいらっしゃいました。



有名な冒頭文です。

実は、ここにはツッコミどころ満載。


「いづれの御時にか」と時代を濁す意味が、もうね。

神である帝の異常事態を物語化するにあたり、

当然「あの帝がモデルじゃない?ってか今の帝?」という

あらぬバッシングをかわす狙いがプンプンです。

現代でいう「忖度」です。


なぜなら、この物語は、

身分の高い者(=血筋に間違いのない者。もっというと主流の藤原家)が

必ずしも栄えていく物語ではないから。

当時当たり前だった、身分が出世や幸福度を決める社会に、

何気に反する内容だから。


「たいそう高い身分でもないのに、帝に愛されている女性」

というのが、もう異常事態なのです。


現代であれば、「シンデレラ」的なサクセスストーリーなのですが、

当時はあってはならない異常事態なのです。


もう一つの注目ポイントは、「女御、更衣あまたさぶらひたまひける」。

裏を返せば、まだ誰も絶対的な正妻「中宮」にはなっていないのです。


天皇の妻の序列は

中宮(1名)>女御(数名)>更衣(大多数)

です。

中宮は、身分が高く男子を出産した女性が到達する最高位。

この時、大臣家から入内(帝へのお嫁入り)をして、

最初の男子を生んだ弘徽殿の女御というのがいました。

当時の常識では、この方が中宮の第一候補。

それなのに、それなのに…。

まだ中宮にはなれていない。

彼女が生んだ長男も立太子(次の帝として正式発表)されていない。


今ならまだ、ワンチャン下克上あり?


そんな微妙な時に…


帝の寵愛は、それほど身分の高くない別の女性に集中。

※「いとやむごとなき際にはあらぬ」を「身分が低い」とは

 訳してはいけません。入内できるということは、

 「それなりの身分・出自」ではあるのですが…。


これは、宮中を揺るがす大事件の予感!

次話に続きます。

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