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源氏物語〜その時代背景
読み始めるにあたり、まずはこの物語の背景について少し整理してみます。
時は平安。
天皇を中心とした貴族の社会がその舞台。
貴族としての権力を支えるものは、
血筋、漢詩・和歌・管弦など「遊び」の才、
そして帝の寵愛。
上流貴族・藤原家は帝の目にとまりさらに出世することを望み、
そしていつかは娘を中宮(帝の正妃)とし、
孫を帝とすることを強く希望した。
※一条天皇の中宮であった定子・彰子の経緯を参考にして頂きたい。
では、女たちの幸せは、いったいどこにあったのか…。
執筆者は彰子に仕えた紫式部。
藤原氏の末端貴族の出身である彼女が、
女房として中宮に仕えながら書き記したとされる。
彼女の家系は漢文学者。
「源氏物語」には貴族社会を見てきた者の目と、
当時の女性としてはいささか高すぎる知識教養が
微妙に入り混じってくる。
だからこそ、わかれば面白いし、わからなければ意味不明…。
読み進めて、ふと執筆者紫式部の思いを考えた時、
また新たな「源氏物語」像が浮かび上がってくるのではないでしょうか。
次回から、実際に少しずつ物語を読みすすめていきます。