表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生黙示録  作者: 水色つばさ
1章  転生と出会い
8/63

6話 一緒に特訓……そして、能力判明?

「よし、到着。今日は邪魔が入らないといいね」

「そうだな」


 昨日はゴブリン達が突然現れたため、今度はちゃんとできると、正直な感想嬉しい。

 

「さてと、さっそく始めよう」

「ああ」


 流石に本物の武器で戦う訳にはいかないので、木で作られた武器を取り出し、お互い構える。

 

「そういえば、カエデ君の武器って刀っていうんだっけ?」

「そうだけど?」

「見たことない武器だよね。だけど、すごくかっこいい」


 前に俺の武器が特殊だという話になって、俺はその時に、この武器の名前を教えた。

  刀という武器はココナも聞いたことが無かったようで少し驚いたが、ゲームやっていた時でも、珍しい武器だったため。ココナが知らないのも無理はない。と納得した。

 

「ありがとう。でも、今はその刀じゃなくて、刀の形を木で似せた物だけどな」

「いずれは、ちゃんとした武器で戦ってみたいね」

「いや、流石に危ないだろう」

「実力ある人なら、実物の武器で模擬戦とかしてるよ?」


 そうなのか。でも、やっぱり危なくて俺はやりたくない。

  何より間違って相手を傷つけてしまったら大変だからな。

  模擬戦で重症とかシャレにならない。

 

「それでも、俺はいやだな」

「そうなんだ……じゃあ魔物との戦いで見せてもらおうかな」

「その時が来ればお見せするさ」

「期待してるよ?」

「あぁ……」


 そして、お互いに無言になる。ここ1週間近くやっているんだ。お互いに雑談タイムと模擬戦タイムの切り替えのタイミングくらいは、わかってきている。

  俺はジッとココナを見つめる。ココナも俺の事を見つめている。

 

  瞬間――ココナが動きだす。攻撃が来るのを察知して、後ろに跳びココナの攻撃を避け、着地と同時に、左足に力を入れて踏み込み木刀を下から上へ振り上げる。

  だが、ココナは体を捻り紙一重に俺の攻撃を避ける。

 

「むむ。今のはいい攻撃だったよ」

「避けるの結構余裕にみえたけど!!」


 横に木刀を振る。すると今度はしゃがみそのまま俺の足を払う。

  足払いを反射でその場で飛び、避ける。

 

「あぶね!?」

「お。前より反射神経良くなってるね」


 確かに……。前も同じ様に足払いされて決着がついたからな。そう思うと、良くなっているのかもしれない。まぁ、今も結構ギリギリだったが。

 

「だけど、避けた後の追加攻撃はどう対処する?」


 俺が地面に足が触れると同時に再び攻撃が来る。

  木刀を前に出して何とか受け止めると、防いだことに安堵する暇もなく。連続で攻撃を仕掛けてくる。

  右から左へ左から右へ、受け止めるのが精一杯でこちらが攻撃を仕掛ける隙はない。

 

「どうしたの? さっきから防御ばかりだよ?」

「わかってる!」


 俺はココナの武器が木刀に当たると同時に横にずらす。

 

「お?」


 そのままココナの懐に飛び込む。その際に少し驚いた顔をするが、すぐにニヤリと笑う。

 

「カエデ君忘れてないよね? 私の武器は二本あるって」


 腰に付けていたもう一つの武器を左で取り出し横に振る。

  俺は先程と同じくギリギリのところで避けることができた。

 二本あることは忘れているわけではなかったが、その取り出すタイミングが完璧だ。これが経験の差、か。

 

「おーよく避けたね?」


 余裕な表情をしながら、賞賛の言葉を俺に送る。

  そして、再びココナは動き出すと右手の武器を振るう。まるで三日月を描く様に鋭い攻撃が迫ってくる。

  武器が迫りくる一瞬で俺は思考する。これを受け止めても、左手の武器で攻撃されてしまう――となれば、一度距離を取った方がいい。そう思うと同時に俺は後ろに大きく跳ぶ。

 

「へー防御しても無駄だって判断して、距離を取ったのね」


 全部お見通しと言った風に笑顔を向けてくる。

  その笑顔を見てると、なんだか、あの子と剣道している時の事を思い出させる。

  あの子も俺の行動一つ一つを心を読んでいるじゃないかというほど、俺の考えやその行動の意味を理解していた。

 

「はぁ……まったくなんでもお見通しだな」

「あはは。そう落ち込まないで? 結構いい判断しているから。あのまま受け止めてたらしてたら間違いなく、それで終わってたと思うし」

「確かにあのまま受け止めてたら、俺は負けてたと思うけど……そこまで自信満々に言われると腹立つな」

「いいよいいよ。その怒りを糧に私を倒してごらん?」


 めちゃくちゃ余裕な顔してやがる。なんとか一泡吹かせたいな。

 

「ふー」


 俺はゆっくりと息を吐き自分を落ち着ける。焦ったらダメだ。焦らず、ゆっくり落ち着いて敵を見るんだ。

 

「ふーん」


 ココナはそんな俺の姿を見て、少しうれしそうな顔をする。

  そして、ココナが動く。そう思った瞬間――紫色の線がまっすぐ俺の方に伸びているのが見える。俺は何故かそれを避けなければいけないと思い体を横にずらす。すると、その線が伸びていた場所にココナの突きが来た。


「え!?」

「え!?」


 攻撃したココナも攻撃を避けた俺自身も驚きの表情を浮かべる。

  俺自身も良くわかってない。今、俺は紫の線を避けるようにしただけだ。そしたら、ココナがその場所に攻撃仕掛けてて……。

 

「うそ……今の結構全力で攻撃したのに避けられるなんて――あと、なんでカエデ君も驚いているの?」


 どうやら、今のは全力だったみたいだ。

  どおりで攻撃が見えなかったわけだ。

  しかし、なんで俺は避ける事出来たんだ?

 

「いや……俺にもわからない」

「そ、そうなんだ。でも、カエデ君すごいよ!! よく避けれたね!」

「いや……正直避けれたの偶然だと思う」

「え? 何で?」

「えっと実は――」


  とりあえず戦闘を一度中断して、何故避けることができたのか説明をする。

 

「なるほどね……紫の線が見えて、それを避けたら私の攻撃を避けていた」

「うん。だから俺が避けれたのは偶然だと思う」


 ココナは少し考える素振りをする。

 

「もしかして……」


 そして、何かに思い至ったのか顔を上げて俺の目を見てくる。

  しばらく見つめ合っていた。

  な、何なんだ? 俺の目、何か変なのか? それともどこかの漫画みたいにさっきと違う目をしてるとか?

 

「目を逸らさないで!」


 俺が耐え切れなくなり目を逸らそうとした時、止められる。

 

「ジッと私の目を見てて」


 本当に何なんだ……とりあえず言われた通りに目を逸らさず、ココナをジッと見つめる。

  一筋の風が吹く――その瞬間、再び紫の線が見える。そしてココナが武器を振るい、俺の顔ギリギリで止める。

 

「ッ!?」

「……」

「な、なに!? なんでいきなり攻撃してきたの」

「……カエデ君」

「何?」

「何か見えた?」

「あぁ……紫の線また見えたけど」

「そう……」


 また、考える素振りをする。本当に何なんだ。いきなり攻撃してきたり、何か見えなかったとか聞いてきたり……。

  あれ? 今、ココナが攻撃した時に紫の線が見えたんだよな? それってもしかして――


「その顔。カエデ君もなんとなく気が付いたみたいね」

「あぁ、俺が見えてる紫の線って――」

「そう。それは私の攻撃する場所が紫の線として見えているんだよ」


 そうだ、よく考えてみれば、さっきも今も紫の線が見えたらココナが攻撃来たんだ。

 

 …………そういえば、俺はこの紫の線を転生した時に一度見たことがある。4

  あれは、たしか――ゴブリン達が俺を襲ってきていて、それから……リリーが助けてくれたんだ。で、助けてくれる瞬間にゴブリン達の身体に紫の線が出ていのを見たんだ。


「まさか俺にそんな力があるなんて」

「うん! 凄いことだよ! 相手の攻撃してくる場所がわかるんだから!」


 確かにすごい事なんだけど……。俺は今避けられなかった……。

  つまり、たとえ攻撃してくる場所が見えていても、それを避ける力がないとこの力は宝の持ち腐れ状態になってしまう。

 

「そうだな。すごい力だだけど、俺は避けれなかった……もっと経験積まないと。この力が意味がなくなる」

「そうだね。なら、これからもっともーっと鍛えよう」


 ココナは満面の笑みでそう言う。

  少し怖いな。ココナは意外とスパルタだから、俺がぶっ倒れるまでやりそうだ。

 

「お、お手柔らかに」

「任せて!」

「あ。そういえば」

「ん?」

「ココナはなんで紫の線がいわゆる未来予知的なものだと気が付いたんだ?」


 そうだ、俺はココナが言うまで気が付かなかった。だけど、ココナは直ぐに気が付いたんだ。それは何故だ? 一番可能性があるとすれば、それは、俺が知らないだけでこの世界には、そういった力が存在している事。

 

「あれ? もしかして、カエデ君は知らないの?」

「何を?」

「その力」

「全然知らない」

「そっかーなら教えておくね。まず、その力の名前だけど、大体剣の才能持っている人が持っていることが多いから、『剣聖の予知』て呼ばれているよ」


 剣聖の予知? 随分と安直な名前だな。

 

「剣聖の予知……」

「そう……さっきも言ったけど、剣の才能を持っている人が持っていることが多いんだよ」


 剣の才能を持っている者が持つ力……それってつまり俺には剣の才能があるってことなのか? というか、剣聖って剣を極限まで極めた人の事言うんじゃないのか? 才能があるからって手に入れられるものなのか?

 

「つまり俺は剣の才能があると?」

「そういう事になるね」

「だけど、良く俺が剣聖の予知持ってるってわかったな」

「最初はカエデ君の話を聞いただけだったから半身半疑だったけど、楓君の目を見て確信したの」


 目? 剣聖の予知って目に何か現れたりするのか?

 

「目を見てわかるものなのか?」

「うん。剣聖の予知が発動してると、その人の目に輪っかが出てくるの、さっきカエデ君の目をじっと見てた時、それが現れた。だから攻撃した」


 なるほどな。だけどそれって俺を攻撃する必要はあったのだろうか? 目に輪っかが出てたわけなんだし、今の説明をしてくれればよかったんじゃないのか?

  まぁ、確信を得るために攻撃したんだろうけど、いきなりは流石にびっくりする。

 

「んー、ならその説明をしてくれれば良かったのでは? なんで攻撃した」

「あ――まぁ、そこはなんとなく」


 なんとなくだったのか……確実な確信を得るための攻撃だと思った俺の考えを返して。

 

「なんとなくで攻撃しないで欲しいけど……まぁこの際置いておくとして。この力をちゃんと使えるようにならないとな」


 あのゴブリン達に襲われた時以来、今まで発動することがなかった……つまり俺はちゃんとこの力を扱えてないってことだ。

  ならば簡単だ、俺はまずこの力を自分の意思で使えるように頑張ればいいんだ。

 

  何故俺に剣聖の予知があるのかは分からない、ココナは才能を持っている人が多いと言ったが、俺も才能があるのだろうか? そのへんははっきりしたことはわからないが――だけど、これは俺がこの世界で生きていくには大切な力だ。その力をしっかりと使えるようにならなければいけない。

  アテーナ様の願いを叶えるためにも、な。

 

「そうだね。私もそのお手伝いするよ!」

「ありがとう」


  俺は感謝の言葉を述べて、少し休憩してから、再度特訓という名の決闘を開始した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ