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転生黙示録  作者: 水色つばさ
3章 ヒダの町の天才剣士
47/63

6話 楓VSサナエ勝者はどちらか?

 静かにお互いを見つめ合い武器を構える、俺とサナエ。

  お互い距離が少し離れているが、呼吸すら聞こえて来そうなほど静かだ。そしてどちらも一歩も動かない。

  そんな俺達を見守るのは二メートルはある大男と、その隣には心配そうな顔しているロングの金髪が綺麗な少女――アリアがいる。

  ゆっくり、静かに、そして、隙ができないように息を吸う。

  今ここで隙を出せばサナエにまた負ける。

  落ち着いて、焦らず、相手がしびれを切らしてこちらに来るのを待つんだ。

  サナエが口の端を上げる。

  その瞬間俺は「くるっ!」と思い、俺は動く。

  俺が動いたわずかコンマ一秒後に動き出す。

  ここ何週間の特訓でわかった事。

  俺は速さではサナエには勝てない。

  俺とサナエが同時に動けば間違いなくサナエが勝つ、だからこそ俺は相手の動きを先読みして動かなければいけない。

  そして今回はその先読みが成功して。

 

 二人の刃が同時に振られる。

  お互いの刃がぶつかり合い、風すらないこの場に大きな音が鳴り響く。

  そのまま後ろには引かず、二撃目、三撃目と刀を振るう。

  合計十回は繰り返した辺りでお互いに距離を取る。

 

「流石だな。サナエ」

「楓君こそ、流石だね」


 お互いに褒め合う。

 何週間も一緒特訓していれば、お互いの事がわかって来るものだ。

  そして、俺は改めて実感した。

  サナエは間違いなく天才だと、そして俺よりも実力が上であると。

  だが、俺は諦めるわけにはいかない。

  やらなければならない事があるのだから。

 

「ありが――とう!」


 俺はお礼の言葉と共に動き出し、再び刃を振るう。

  サナエはその動きを読んでいたのか、軽々と斬撃を受け止めると、そのまま横にずらしこちらに刃を振るってくる。

  紫色の線が三日月を描くように伸びてきている。

  その線に合わせて体を捻る。

  すると線が伸びていた場所にサナエの刀が通過した。

  今度は横に一振りする。

  サナエは受け止めることをせず、後ろにステップを踏んで避けると一歩踏み込み同じ様に斬りつけてきた。

  反射的に受け止める事に成功する。

 

  激しい攻防を十分ほど続く。

  たった十分。しかし俺はまるでフルマラソンを完走した時のように、大量の汗と体力の限界を感じていた。

  だが、一瞬でも気を抜くこともできない。

  そんなことをすれば、決着はサナエの勝利で決まってしまうから。

 

「なかなか粘るね。もう体力限界なはずなのに」

「それはそっちも同じじゃないか? 随分と汗をかいているぞ」


 そう――体力の限界を迎えているのは俺だけではない。

  サナエもまた体力の限界を迎えているのだ。その証拠に最初と比べて乱れている息と、額に大量の汗が流れている。

 

「わたしは、このくらいがちょうどいいんだよ」


 そんな強がりを言いながら、サナエはニヤリとする。

  そして再び武器を構える。

  それを合図に俺も再び武器を構える。そして息を深く、深く肺に送り込む。

  次はサナエはどう攻撃をしてくるか、俺はそれをどう捌くべきか。

  頭の中を一つ一つ整理していく、その為に使用した時間は1秒。

  ――――動く。

  思ったその瞬間動いた。紫の線が弧を描きこちらに向かって伸びてきている。

  線に重ねる様に刀を動かし、斬撃を受け止める。

  俺の刀をサナエの刀に滑らせ、サナエに近づき斬りつける。

  こんな事ができるのは、おそらくこの刀が不壊が付いているからだろうな。

  もし一般的な武器で使えば、切れ味が落ちて使い物にならなかったかもしれない。

 

「ふッ」


 サナエは紙一重で俺の攻撃を避けると、一定の距離を取り霞の構えを取る。

  あの構えを取ったという事はサナエが本気になったという事だ。

  やっと、やっとその構えを取らせる事ができた。

  俺はここ数週間でサナエに霞の構えを取らせることができなかったのだ。

  しかし、今日やっとその構えを引き出す事ができた。

 

「なんだ、やっぱり限界来ているんじゃないか」

「今回は特別に出してあげたんだよーだから勘違いしないでよね」


 まるでツンデレのキャラが言いそうな言葉発しながら、俺に殺気をぶつけてくる。

 相変わらず、ふざけているのか本気なのかわからないやつだな。

  だが――何度も言ったが彼女は天才だ。

  そんな天才が本気で戦いを始めたら――

  俺に勝てるのだろうか?

  正直わからない。

  ここ数週間で劇的に強くなったと自負はしない。

  それは、サナエの動きに慣れて対応できてきている部分もあるからだ。

  だがそれはサナエが俺に合わせてくれてくれているところもある。

  だから、本当の意味でサナエが本気になったらどうだろうか?

  もし、もし、それで互角に戦えたら……その時は実力が上がっていると自負してもいいかもしれない。

 

「そうか。どちらにしても本気を出してくれたのは嬉しいな」

「ふふッ久々に見せてあげるよ」


 瞬間――目の前にいたサナエの姿が消えた。

  俺は焦らず、真っすぐに伸びてきている紫の線を避けるように動く。

  サナエが突きを繰り出している状態で姿を現す。俺はそれに合わせてサナエに向かって刀を振る。

  まさに紙一重、サナエは俺の斬撃を後ろに仰け反らせ回避する。

 

「今のを避けるか……」

「あはは。今まで言ってなかったけど、わたしも予知持ってるんだよねー」


 なるほど。まぁ予想はしていたが、サナエも『予知』を持っていたか。

  ならば――

 

「ふッ!」


 距離を少し取り、刀身に風を纏わせそのまま振るう。

  風の刃がそのままサナエの元に飛んでいく。かまいたちの様に。

  だが、サナエはそれをいとも簡単避けてしまう。

  やはりサナエのような実力者が相手だと、意表を突かないと簡単に回避されてしまうか……。

 それに、サナエの『予知』のランクは何色だ? そのランク次第では遠くからの攻撃すら意味をなさない。

  むしろ遠くからの攻撃の方が避けられやすい可能性がある。

  どうすればいい。考えろ、考えろ、考えろ。

  俺がサナエに勝つにはどうすればいいんだ。

  そういえば……ゼル師匠が俺の刀を見て、禍々しく美しい武器だと言っていた。

  『ムラマサ』ゲームでは呪いを付与する効果があった。もし、この世界でも同じだとしたら? 

  試してみるか。

  師匠は言っていた。武器は己の肉体と同じだと。己の武器の事を理解できなければ、上手く扱う事なんてできない。と。

  俺は正眼の構えを取る。そして意識を刀に向ける。

  ――――なんだ、これ。

  暗い。全てが闇に包まれている。

  声が――聞こえる。「やめてくれ」「殺さないで」「命だけは助けてくれ」と。

  なんなんだ、これ……これがムラマサなのか? そして不意に映像が流れてきた。人に慈悲を与えず一方的に虐殺を繰り返す。そんな映像が頭の中に――

  ん? 死体の山の中に一人の髪の長い女性が立っている。その女性が持っている武器は刀だ。

 刀は黒紫色のオーラを放っており、その 刀身からは血がぽたぽたと地面に――いや、骸に落ちていく。

  怖い、とても怖い映像だ。しかし、俺はその人を見て、怖いがどこか儚げで、美しい女性だと思った。

  そしてその女性はこちらに振り返り――――微笑んだ。

  俺は声を掛けようとする。が。

 

「は!?」


 ガキンっと音を響かせ、俺とサナエの刀がぶつかり合う。

  俺はどうやらサナエの殺気に強制的に現実に戻されたようだ。

 

「敵を目の前にして。放心状態になるなんて、結構余裕だね?」

「それは済まなかったな!」


 サナエを押し返す。

  そして俺は自らの刀を見る。

  あの女性が持っていた武器、ムラマサに似ていた。

  もしあれがムラマサだとしたら。あのオーラは何だったのだろう? 俺はあんなオーラを知らない。

 あんな色のオーラは俺は見たことも聞いたことも無い。となれば、あれはこの刀自身が放っていたことになる。

  正眼の構えを取り、俺はイメージする。

  あの女性が持っていたムラマサを、黒紫色のオーラを放つあのムラマサを――

 

「ん?」

「え?」

「なんですか……あれ」


 この場にいる三人が反応する。

  その理由は――俺の刀が黒紫色のオーラを放っているからだろう。

 

「まさか、本当にできるとはな」


 俺はゆっくりと刀を上に振りかぶる。そしてそのまま振り下ろす。が。

 

「横に跳べサナエ!」

  その言葉と共にサナエは反応して横に跳ぶ。

  そして突然、衝撃が俺の身体を襲い。後ろに吹き飛ぶ。

  そのまま木にぶつかり息が一瞬止まる。

 

「そこまでだ」


 そう言い放つのはルトガア・ヴェルデだった。

  彼は腰に付けていた剣を抜いて衝撃波を飛ばしたのだ。

 

「楓様!」

「師匠何をしていの!」


 サナエの言葉を無視して俺の元に近づいてくる。

  そしてその巨体が眼前まで来たあたりで、口を動かす。

 

「楓。お前は一体今何をしようとしていた?」

「なにって俺は……ただ、刀を振り下ろそうと」

「…………無意識か」

「なんなんだ一体……」

「その武器の名前は何というんだ?」

「……ムラマサだ」


 その名を聞いてルトガアは驚いた顔をした。

  そして、小さく「そういうことか」と言った。

 

「楓。アレは殺すべき相手以外には使うな」

「な、なんで」

「それほどまでに危険だからだ。そして、あのまま俺が止めなければお前はサナエを殺していた」


 その言葉を聞いて俺は目を見開く。

  確かにあの時何かに誘われるように刀を振り下ろそうとした。

  もし、あのまま振り下ろそうとしていたら、サナエを殺していた? あの、サナエに?

  俺は息を飲む。


「今日はここまでだ。そして勝者は――楓お前だ」

「え?」

「な!? わたし、まだ負けてないよ!」

「俺が止めなかったら死んでいたんだぞ? それはもう楓の勝利でいいだろう」

「う……」


 サナエも先ほどの俺に何かを感じていたのか、「それは」などと言って反論できずにいる。

 

「わかったら負けを認めるんだな」

「…………納得はできないけど、あれが危ない技だったのは気配でわかったから、今回は負けでいい」

「だ、そうだ。楓もそれでいいか?」

「え、あ、あぁ」


 どうやら俺の勝ちで決まったようだ。

  しかし、なんだろう。全く勝ったという感覚が無い。

  あの力も俺の力なのだろうか? 

  いや……あの力は俺の力じゃない。

 この刀は……。

  あれは間違いなく、この刀の力だ、

  あの暗闇がこのムラマサの本質なのだろうか? それに――あの女性は誰なんだ。

  そう思い、あの映像を思い出そうとする。

  しかし、ぞくりと背筋が冷たくなる。

  この感覚を俺は知っている。この感覚はこの世界に来た時に最初に感じた感覚だ。

  そう――恐怖だ。

  俺は先ほどの映像に恐怖を感じてしまったのだ。

 

 

「楓様?」

「ん?」


 気が付くとアリアが目の前まで来ていた。

  そしてその顔はいつもの太陽のような笑顔は無く。心底心配したと言って顔をしている。

 

「どうしたアリア」

「何処かお怪我とかされていませんか?」

「いいや。大丈夫だ」

「そうですか、なんだか辛そうなお顔をされていたので」


 顔に出したつもりは無かったが、やはりアリアには隠し通せないか。

  だが、ここで心配かける必要もないだろう。

 

「大丈夫だ。俺はこの通りぴんぴんしている、多少は戦いで体力は消耗しているがな」

「……そうですか、なら良かったです。それじゃサナエさんのところに行ってますね」


  そう言い微笑む。

  しかし、その微笑みはいつも見せるモノでは無かった。そしてそのままサナエの元へと小走りで向かっていった。

  もしかしたら、俺の心も見抜かれてしまったかもしれない。

  アリアには嘘は通じないからな。

  まぁ向こうが深く踏み込んで来ないのだから、これ以上はこちらも言い訳する必要はないだろう。助かった。

  正直アレはとてもじゃないが、今の俺には説明できない。

 

「くそ」


 一年前に覚悟を決めたはずだ――貴族と魔物を許さないと。

  あの映像は俺も通るかもしれない道なんだ。ビビっている場合じゃない。

 俺は深呼吸をして心を落ち着かせる。

 

「よし」


 俺は刀を鞘に納めると、サナエ達の元へ行く。

はい。ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

今回だいぶ遅くなってしまいしたが、その分に見合う内容になってればいいなーって思ってます。

あくまで思っているですからできてない可能性もありますがね……その時はごめんなさい。


今回は楓君がサナエに初勝利を収めましたね。楓君は納得いっていない様子でしたが。


では、長々と語っても仕方がないのでここまでにしておきますね。本当に読んでくださりありがとうございました。もしよろしければ、感想や評価お願いします。


では、次回ももしかしたら長くなってしまうかもしれませんが、よろしくお願いします。では( ´Д`)ノ~バイバイ

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