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転生黙示録  作者: 水色つばさ
1章  転生と出会い
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2話 町に着くまでの雑談

 俺はリリーさんと出会ってから、感覚で一時間くらい経過した。

  しかし、リリーか……そんな名前の登場人物は知らないが――二本の剣を使うとなると大体予想はできるかもしれない。

  俺が知っている限り、二本の剣を使うキャラは三人――

  そして、そのうち二人は名前を知っている。となると、最後はあのイベントのボス――剣聖の娘だけだ。

  イベント『剣聖の娘を倒せ』そんな名前のイベントがあった。

 そのイベントの内容は実にシンプルで、ただ一人のキャラと戦うだけ、ただそれだけだ。

  しかし、イベントには一回しか参加できず、その難易度もすごく高くそのキャラに勝てた者はだれ一人としていない。

  かくいう俺もタイムアップまで踏ん張っただけだ。

  こちらの動きを全てを読んでいるかの様な動きと攻撃。本当に頭おかしいイベントだった。

  流石にあれはネットで炎上していたな。

  そして、その剣聖の娘というキャラが使っていた武器それも黒と白の剣だった。

 しかし、彼女がその剣聖の娘だという確証はない。だが、可能性は極めて高いと思っていいだろう。

  まぁリリーが仮に剣聖の娘だとしても、俺にはどうでもいいことだが……。

  何故なら、俺が彼女の名前を聞いたのは助けてもらった恩もあるので、『お前』や『君』と言った呼び方はしたくない。だから、例え偽名であったとしても問題ない。

  何かちゃんとした呼び方をしたかっただけなのだから。

 

「そういえば、リリーさんの剣ってすごいですよね、なんて名前の剣なんですか?」

「ふふ、貴方みたいな臆病な人は知らなくてもいいことですよ?」

「……結構辛辣なこと言いますね」

「冗談です。武器の名前ですか……今は秘密ということで」


 そう言い笑顔をこちらに向ける。

  しかし、その笑顔はまるでこちらの反応を見て楽しんでいるかのようだ。

  今のでリリーの性格が少しだけ分かったかもしれない。

  彼女は人をからかい、そしてその対応で人の本質を見抜こうとしているんだ。

  こういうタイプの人間は一番面倒だ。

  そしてそういうタイプの人ほど、天才的な才能を持っていたりする。

 

「でも、もし貴方が私と互角に戦うことができたらお教えしますね」


 突然そんな事を言い出す。


「え? それって結構無理な話なのでは?」


 あれだけ、超人的動きを見せられて勝てると思うほど、俺もバカではない。

  というよりも、互角に戦える人がいてるのか? いや、いるにはいてるんだろうが――流石に少ないだろう。

  あの強さがこの世界の当り前な強さだったのなら別だが。

  しかし、そんな世界で俺は生きて行けるのだろうか?。いや――

  どんな世界だったとしても、折角の第二の人生だ、死に物狂いで人生まっとうしてやる。俺自身が悔いが残らないように。まぁ女神さまが俺に誰かを救ってほしいらしいが。

 

「ふふふ。ごめんさい。流石に無理ですよね。でしたら、私の攻撃を一撃でも避けれるようになったらにしましょう」


 それでも不可能に近いような気もするが、だが、先ほどよりは可能性はあるかもしれない。

 

「それなら、なんとかなりそうかもしれないですね」

「一撃くらいなら避ける人は結構いますからね、頑張ってください」

「はい。て、それどう頑張ればいいんですか?」

「それは自分で考えてください」


 オッドアイの瞳を細め笑う。

  これもまた何かを見定めるような目だ。

  本当に彼女は俺の何を見極めようとしている。

 

「あのリリーさん?」

「はい? なんでしょう? あとリリーと呼び捨てで良いですよ? 敬語もいりません」

「え、でも――」

「良いのです」

「わ、わかった。じゃあリリー何を考えているんだ?」


 俺のその一言。たったその一言で彼女の雰囲気が変わった気がした。

 

「へー、何故、私が何かを考えていると思うのですか?」

「何故っと言われても答えにくいが……なんかそんな気がしたんだ。この人は何かを見定めようとしてるなって」


 お互いに足が止まり、見つめあう。

  リリーは俺の瞳をジッと見る。だが、俺には瞳を見ているようには思えなかった。瞳を通してもっと深い何かを見ようとしている様に思えたのだ。

  しばらく見つめ合った後、リリーは目を伏せ沈黙する。

  目を伏せてからきっかり三十秒してリリーは目を開ける。

 

  「ふふふ。本当面白い人ですね」

 

  先ほどまでの笑顔と違う――

  そして、彼女の目を見て蛇に睨まれた蛙の様に動けなくなった。

  さっきまでの本質を掴ませない物とは違う。彼女の本質が顔に、いや――体全体から醸し出される。

  黒い――彼女の本質は黒だ。

  腹黒ともいえるだろう。しかし、それでけではない気がする。

 

「どうしました?」

「リリー、君は何者なんだ?」

「……」


 リリーは俺の質問に答えず歩きだし、俺の横を通りすぎる。

  そして振り返ると口を動かし喉を鳴らす。

 

「その質問には今はまだお答えはできません。それより、町を目指しましょう?」


 沈黙が辺りを包む。

  しかし、俺はすぐさま判断を下し口を開く。

 

「わかった。行こうか」


 この場でリリーが何者かを追求はできない。

  もし追求してしまえば俺の命は無いと思ったから。

  それからしばらく歩くと町らしき影が見えてくる。

 

「見えてきましたね」


 どうやらあれが目的地の町のようだ。

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