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転生黙示録  作者: 水色つばさ
2章 双子の皇女と黒の剣聖
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7話 悪

ショッピングを行った日から、一週間が経過した。


「上代様」

「はい? どうかしました――モニカさん」


 俺はモニカさんに呼ばれて返事をする。

 あの一件でモニカさんとは気まずくなると思ったのだが、モニカさん自身が何も気にした様子もなく、いつも通り接して来たので俺もいつも通り接することに決めた。


「メアリー様がお呼びです」

「え? メアリー様が? なんでしょう?」

「わからないです。ただ、今すぐ上代様をお呼びしろっと」

 

俺は何か気に障ることをしたのだろうか? いや……流石に心当たりがなさすぎる。

となると、俺に何か頼みたい事があるのかもしれない。

あの人が俺を呼ぶときは何かを頼む時か、何か文句をいう時だ。


「わかりました、すぐに向かいますね」


 掃除を終わらせて、最後のチェックをしていた俺は、サッと見て問題が無いことを確認して、メアリー様の元へ向かう。


「来たわね」

「あの……俺に何か御用ですか?」

「私今日ね、隣にある町に用事で出かけないといけないの」

「はい」

「だけど、タイミング悪くアランが別の仕事が入ったの」

「はい」

「なので、アンタを連れていく事にしたわ」

「は――え?」

「だから! アンタをアランの代わりに連れていく事に決めたの!!」


 別に聞こえなかったわけではない、しかし、何で俺がなんでアランの代わりにメアリー様を護衛することになったのだ? その経由が理解できない。


「えっと、何で俺なんですか?」

「知らないわよ……。アリアがアンタだったら安心だって言うから」


 それだけで、なんとなくわかった気がする。

おそらくメアリー様はその用事の為に、アランを護衛に連れて行こうと思ったのだろうが、残念な事他の仕事が入っていた。

そして、他に誰か護衛に連れていけそうな人が居ないか、アリア様に相談した、いやメアリー様なら直ぐに他の人を決めるだろう。だとすると、その場にアリア様が居合わしたと考えるのが自然だろう。


 そして、アリア様は丁度いい人が居るとか言って俺の名前を出したのだろう。

メアリー様は妹には甘いからな、仕方なく俺を連れて行く事に決めたのだろう。


「あーなるほど、正直どうですか俺に護衛を任せるのは?」

「不安しかない」

「ですよね……」

「でも、わかったって言ってしまったから」


 後に引けなくなったのか。

まぁ俺がここで他に用事があると断ってもいいのだけど、護衛にアランを連れて行く必要があるという事は相当危険を伴うのかもしれない。

それなら、俺がついていった方がまだ安全だろう。


「そういう事でしたら、わかりました。お供します」

「そ、そう……」


 少し不安そうな返事が返って来た。

まぁ仕方ないよな。とりあえず、アリア様のお姉さんだし、何かあれば全力で守るとしよう。

それで、あの時の恩を返す。俺をあの場から逃がしてくれた恩を――



「じゃあ今から二時間後に出発だから、準備だけしておきなさい」

「わかりました」


 それから二時間が経過して、俺は玄関へ向かう。

そこにはメアリー様がすでにいた、そして周りには何人かの兵士が居る。

それなりに精鋭ぽいな。それほど危険な場所に行くか、あるいは俺だけだと心ともないから、連れて行くのかのどっちかだろうな。


「やっと来た、じゃあ出発するわよ」

「はい」


 メアリー様と俺は馬車に乗る。そして他の兵士は馬に跨る。


「それで、どこに向かうのですか?」

「……」


 メアリー様は真剣な顔をしながら黙っている。


「メアリー様?」

「ルフリウス、よ」

「ルフリウス……」


 確か、この国で一番治安が悪い場所だったか? そんなところに一体なんの様なのだろう?


「その町は隣の国と何かを企んでいるみたいなの、その真意の確認ね」

「そう……ですか」


 隣の国っか。俺も一度しかいったことは無かったが、あそこは相当酷い場所だったな。まさに独裁政治。一人の女王の言葉一つで全てが決まる。逆らえば即死刑。

あの時は少し用事で行っただけだが、いずれはちゃんと足を運ばなければならないだろうな。


「この国で一番治安が悪い場所だし、怖気づいた?」

「いいえ。むしろ丁度良かったかもしれません」

「ッ!?」


 メアリー様は驚きと恐怖が混じったような顔になる。


「どうかしました?」

「いいえ、何でもないわ……」


 それからはお互いに会話もなく目的地に到着した。


「どうも、姫様よくいらっしゃいました」


 町の入り口には何人か出迎えが居た。目の前の人以外は武装済みか。


「ありがとう。でも、私も忙しいから、どこか話せる場所は用意できているかしら?」

「……もちろんです、こちらへ」


 男に案内されて一つの屋敷に到着する。そして一つ部屋へと案内された。


「さて……あらためまして、この町を取り締まっている、ロイドという者です。よろしくお願いします」

「早速だけど、ロイド伯爵、本題に入ってもいいかしら?」


 こいつ伯爵だったのか。だから、こんなに屋敷が大きいんだな。

見た目的には二十後半だろうか?


「ええ、構いませんよ?」

「では……貴方が隣の国に手を貸していると噂があるけど、それはどうなのかしら」

「……ふ」


 不敵に笑う。

こいつ――黒だな。


「もちろん、そんな事実はございません」

「それは本当かしら?」

「ええ、本当です」

「……」

「……」


 二人は無言のまま見つめ合っている。メアリー様は真剣な顔で、ロイド伯爵は笑みを浮かべながら。


「ん?」

「どうかなさいました?」


 俺が何かに反応したため、ロイド伯爵が言葉を発した。


「いえ、何でもありません」


 屋根に二人。外に二人、メアリー様の命を狙っている奴がいるな。

さて……どうするべきか。流石に今この場で刀を抜くわけにはいかない。

こういう時、魔法の方の師匠なら排除できたりするんだが、残念ながら俺は魔法はそれほど得意ではないため、そんなことはできない。


「メアリー様」

「何かしら?」

「彼は護衛ですか?」

「ええ、そうよ?」

「へー、アラン騎士団長じゃないのは珍しいですね」

「アランは今他の仕事で忙しいからね、代わりに彼を連れてきたの」

「そうですか……とても頼りになる方を連れてきましたね」

「ん? まぁそれなりに役に立つわね」


 雑用としてっと小さくメアリー様は呟いた。酷い。


「彼の事はいいわ、それよりも、貴方が隣の国に手を貸してないという証拠はあるかしら?」

「ふむ……残念ですが、そういったモノは持ち合わせておりません」


 そうだろうな。むしろあった方が怪しい。。


「そう……わかったわ、今日はそれを聞きに来ただけだから」

「おや、もう帰るのですか?」

「ええ、最初に言ったはずよ? 私は忙しいって」

「ッ!? わ、わかりました。では町の入り口までお見送りを!」

「結構よ」


 そう吐き捨てて、メアリー様は部屋を出る。俺もそのあとに続いて出る。

 そして町の入り口まで戻ってきて、メアリー様は馬車に乗る――しかし俺は乗らなかった。


「楓、何してるの?」

「メアリー様。少しだけ待っていてもらえますか?」

「は? あんた何言ってるの? さっさと――」

「本当に少しで良いので、五分で戻ってきますので」

「……わかったわ」


 俺は半ば強引にメアリー様の許可をへて町に一度戻る。


「さて……と」


 どこにいるかな――裏道か。

俺は気配を探り裏道に来た。するとそこに全速力で走っている人達と遭遇した。


「やあ」

「な!? き、貴様は!」


 この反応。間違いなくロイド伯爵のところに居た奴らだな。


「お前ら、ロイド伯爵のところに居た奴らだろ? その服装から、暗殺者か?」


 俺のその言葉に殺気を露わにする。わかりやすい奴らだな。本当にプロなのか?


「我々が違うと言って貴様は信じるのか?」

「いいや、信じない」

「だろうな」

「それで、お前らは何をそんなに急いでいるんだ?」

「それを我々が話すとでも?」

「この後お前たちは消えるんだから、教えてもいいんじゃないか?」


 俺は刀に手を掛ける。

そして俺の挑発に暗殺者達は怒りを醸し出している。短気な奴らだな。


「そ、そうだな。お前はどうせ死ぬんだ、今この場で言っても問題ないかもしれないな」


 暗殺者の奴らは武器を取り出す。

戦う気満々って感じだな。しかも暗殺ではなく正々堂々と正面からか……傑作だ。


「俺達の目的はメアリー・レイチェルの殺害だ」


 まぁ予想通りだな。これでメアリー様を殺す事が目的じゃなかったら、そっちの方がびっくりしてしまう。

そして、初めからわかっていたが、こいつらは()()いな。


「そう、でもそれも失敗に終わるかもな」

「ふッ」

「ん?」

「お前にやられるような俺たちではない!」


 その言葉を合図に一斉に暗殺者たちが襲ってくる。

ふむ、いい連携だが――遅い。

俺は刀を抜き一人の暗殺者の首を刎ねる。


「な!?」

「どうした? まさか、今ので怖気ついたわけではないよな?」

「一旦距離を取れ! こいつできるぞ!」


 いい判断だ。だが、距離を取るのが有効なのは、実力が大体同じ奴だけだ。

俺とお前らの様に圧倒的に差がある場合は意味がない。


「ふっ!」

「がっ!?」

「な、なんだ……と?」


 俺は踏み込み一気に距離を縮めて、暗殺者の腹を貫く。そしてそのまま蹴りを入れて後ろに飛ばす。

俺の動きに驚いていたためか、後ろにいた奴は反応が遅れて既に死体となったモノがぶつかってしまう。

その隙を見逃さず体を斬りつける。そのまま地面に倒れ、血の水たまりを辺りに作る。


「さて、あとはお前だけだな?」

「やっと」

「なんだ?」

「やっとココナ・エンドゥが消えて俺たちに仕事が回って来たんだ! ここで失敗するわけにはいかん!!」


 

暗殺者のリーダらしき人物がこちらに突撃してくる。こいつらココナの事知っているのか。

だけど――


「そんなイノシシみたいに突撃したら、隙だらけだ」


 俺は最後の一人を切り捨てて刀を鞘に戻す。そして地面に転がっている死体を見つめる。


「ひいき目無しにしても、ココナの方が強かったよ」


 それだけ、言って俺はメアリー様の元に戻る。


「遅い!」

「す、すみません」

「何してたの?」

「……ただの、ゴミ掃除です」

「はぁ? 何それ。とりあえず、さっさと乗りなさい」

「わかりました」


 俺は言われるがまま馬車に乗る。それと同時に馬車は静かに動き出した。

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