プロローグ
12月14日
三章が終了したため宣言通り、この2章の改稿作業を開始します。
一章と同じで、全ての改稿作業が終わり次第一気に2章の方を更新していきますので、しばらくはこのままです。大変お見苦しい文章ではありますが、気長にお待ち頂けると幸いです。
よろしくお願いします。
「もう行くのか?」
「あぁ、一年間ありがとう師匠」
「気にするな。ワシもお前の様な才能を持っている奴を弟子に取れて良かった。リリーには感謝しないといけないな」
白髪の老人がしみじみと言う。
この老人の名前はゼル・ネフティア。
リリーが教えてくれた場所に住んでいたリリーの祖父だ。
「最初は驚いたよ。まさかリリーのおじいちゃんだったとは」
「それはワシも同じだ。まさかリリーがワシの場所を教えるとはな」
師匠が言うにはリリーは本来誰も信用していないらしい。
そして、世界に対する恨みも相当なもんだとか。
何故それほど恨みを持つのかは教えてはもらえなかったが、おそらくそれ相応の理由があるのだろう。
「それで、楓」
「何ですか? 師匠?」
「あの話考えてはくれたか?」
「……」
あの話とはおそらく、リリーの事を救ってくれ。という話だろう。
「リリーは俺が救うほど弱くはないだろ?」
「あぁ……あの子は強い。強いが弱いのだ」
強いが弱い。最初にリリーを救ってくれとお願いされた時も、同じ事を言っていたな。
いまだにその意味を俺は理解できていない。
「まぁ、師匠には鍛えてもらった恩もある、だからもし俺で救えそうなら救う。それで構いませんか?」
「ああ、それで構わない」
「それじゃ、もう行きますね」
「わかった、お前なら大丈夫だと思うが気を付けてな。そして、ワシの孫リリーを頼む」
俺は手を挙げて返事をする。
そして山を下りていく。
☆☆☆
「う、うーん? 夢?」
俺が修行を終えて旅立った時の夢だ。
あれから、もう何日も経つんだな。まだ昨日旅だった様にすら思える。
俺は緑色の草原から腰を上げると、寝がえりなどで乱れた服装を整える。
そして、「んー」と伸びをしてする。
「さて、もうすぐ帝都に着くな」
できれば日が暮れるより前に帝都には着きたい。
ここ何日かは野宿が続いているため、まともに睡眠をとっていないのだ。
早く魔物を警戒しなくて済むところで寝たい。そんなことを思いながら歩きだす。
しばらくすると、街道に出てきた。
「この道にそって歩けば帝都に到着できるな」
道をゆっくりと歩き出す。
それからしばらくすると――
「グガァァァァァ!」
4匹のゴブリンと遭遇した。
こっちはさっさと宿屋で安息の睡眠を取りたいのだが……それを許してくれそうにない。
はっきり言ってめんどくさい。
しかしゴブリンか……一年前の俺はこのゴブリンすらもビビっていたんだよな。
「ん?」
俺はゴブリン達の体に血があちこちについていることに気が付いた。
なんだ? なんであいつらあんなに血が付いている?
そして気が付く、ゴブリン達が背負っているモノ。それが何なのかを。
風呂敷に包まれてはいるが、隙間から髪の毛が見える。つまりあの中に入っていいるのは首か。
何故かわからないが、ゴブリン達は時々人間の首を木の棒にさしている時がある。
師匠曰く、あれはゴブリン達に取っての芸術だとか、なんと悪趣味な。
「まぁ今はゴブリンの芸術が悪趣味とかより、今まさに人を殺して来た事が問題か」
あの血が固まっていないのを見ると、つい先ほど襲って殺して来たばかりなのだろう。
「うん?」
一匹のゴブリンが弓を構える。
あれで俺を射抜くつもりか?
弓矢を放ってくる。だが、俺は避ける事をせず目の前で弓矢を掴む。
「グガ!?」
ゴブリンでも驚くことあるんだな。
さて、ゴブリン退治と行くか。
といっても、もう退治は済んでるけどな。
おそらくゴブリン達から見たら俺は消えた様に見えるだろう。そしていつの間にか後ろに現れたようにも、な。
「あれ? まだ他にもいたのか」
どうやら4匹だけでは無かったようだ。
奥の森から次々とゴブリン達が現れる。
ざっと6かな?
そしてその内の一匹が首の無い人を引きずって現れる。
あの服装は商人みたいだな。
可哀想に……帝都に向かっている途中でゴブリンの群れに遭遇してしまったのだろう。
しかしこいつら頭だけじゃなかったんだな持っていくの、何に使うのだろうか? 食べるのか?
何に使うかはわからないが、この商人の仇は討っておくか。
「グガァァァァ」
「と」
一匹のゴブリンが俺に斬りかかって来た。俺は体を捻り避け、ゴブリンの首を刎ねた。
「まずは1匹だな」
こいつらには眼を使うまでもないな。
横に刀を振るい斬撃を飛ばす。そして飛ばした先にいるゴブリンの体は真っ二つになる。
「2匹目」
さてお次は――お? 今度は2匹同時に斬りかかって来たか。こちらから近づく手間が省けたな。
俺はすれ違い様に2匹を斬る。はい、あと2匹だな。
その2匹は弓持ちのようだな。流石にゴブリンといえど弓で近づこうとはしないか。
近づいてくれた方が楽でいいのだが、仕方ない俺から近づいて――あ。逃げた。
「悪いけど、今回は見逃すつもりは無いよ」
俺は走りだし追いかける。そして追い抜くと同時に首を刎ね、最後の一匹の元にもすぐに行き斬りつける。
「さて、予想より時間かかってしまったし、急ぐか」
俺はふとゴブリンの死体を見る。
1年前まで俺はこいつらに恐怖していた。
その時にリリーに助けられた。そして町に案内してもらった。
その後、俺の思い人ココナと出会う事となったんだよな。
この時はココナがまさかその町を騒がせてる殺人犯なんて思いもよらなかった。だけど、それは、ちゃんとしたというのも変かもしれないが理由があった。
そして色々あり俺はココナをこの手で殺した。
「あの時に力があれば……」
拳をギュッと握る。
過ぎたこと気にしても仕方がないっと言う人はいるだろう。だけど――
いや、今は良いだろう。
「こんなところで立っていると、本当に日が暮れるな。帝都に向かうか」
ココナと戦いこの手で命を奪った後、リリーが何故か俺を待っており師匠の家の場所を教えて貰った。。
あの時は半信半疑だったが、今では師匠の元に行って良かったと思う。
まぁ最初鍛えてもらうのに苦労したが、まさか訪ねて強くしてくれって言ったら「帰れ」の一言で拒否されるとは……。
だけど、俺だって生半可な覚悟で強くなりたいわけじゃ無かったため、何度も扉越しに強くしてくれと叫んだ。
何回目かでふと、リリーが自分の名前出せば話を聞いてくれると言っていたのを思い出し、リリーの名前を出した。
すると、驚いた顔をして扉を開けてくれた。そこからは色々とこちらの気持ちをぶつけて、鍛えてもらえる様にもっていった。それはそれで苦労したがな。
「しかし師匠の修行キツかったな……」
強くしてもらうのを了承してもらった時、師匠は上着を脱ぐように言って来た。
最初は意味もわからなかったから、疑問に思いながらも脱いだ。そして俺の体を見て発した言葉が一般人より鍛えているがまだ足りない、だった。
そして師匠が最初に課せた課題が、基礎体力の向上だった。
しかしその基礎体力の向上が最初から辛いのなんの、師匠の家は山の山頂にあるのだがそこから走って一番下まで下山して、そしてまた走って山頂まで登って来いという物だった。しかもそれを10週だ、もう死ぬかと思った。
「今なら10週程度なら軽くこなせるとは思うがな」
そしてある程度して体力がついてきたころに、素振りが追加された。
今思うと、あれはちゃんと俺の体力の限界を見極めて内容を考えてくれていたようにも思える。
毎日血反吐を吐きながらも、俺は師匠が課せてくれたことを続けた。
それから数日後のことだ、突然師匠が自分と模擬戦しようと言い出した。
早く強くなりたかった俺は承諾する。
そしてそこで初めて知ったのだ師匠――ゼル・ネフティア凄さを……。
その時理解した。この人は間違いなくリリーの祖父なのだと。
正直な話、今の俺でも勝てないと思う。それほどに強い。
そんなわけで俺は惨敗した。
それから二カ月くらいしてから、師匠は魔法も使えるようになっておけといって来た。え? 何故二カ月かとわかるか? 師匠に鍛え始めてから、紙に正の字を書いて記録していたから。それは今も続けている。
まぁそんなわけで魔法を使えるようになれといわれたわけなのだが、残念な事に俺は魔法の使い方をしらない。
その事を聞いた師匠は呆れたため息を吐きながら、俺に魔法の師匠となる人を紹介してくれた。
その人とは一ヶ月くらい魔法の修行をしたが、師匠とは別の意味で大変だった。
魔法の修行を終えて俺は師匠の元に戻ってくると、何故かいつものランニングと素振り以外に師匠との模擬戦も加えられていた。
数ヶ月して、俺は国同士の戦争の真っ只中に送り込まれた。そしてその時の師匠のありがたいお言葉が「あの戦場に居るやつら、殺さなくてもいいから倒してこい」だった。
まぁそんな感じで今の俺が出来上がったわけです。
「あ。帝都に着いたか」
俺が昔の思い出に浸っていると帝都への入り口が見えてくる。
「はーやっとベッドで寝れるな」
俺は一週間ぶりに安眠できることに心を躍らせながら帝都へと入っていく。




