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転生黙示録  作者: 水色つばさ
1章  転生と出会い
23/63

エピローグ

「アリア様!」

「え?」


 しばらくして、憲兵を引き連れてアランさんがやって来た。

 

「アラン? なんでここに」

「いえ、アリア様のお部屋に置手紙がありまして。アリア様がここにおられると書かれておりました」


 置手紙?

  俺はハっとしてココナを見る。

  もしかして、その手紙を置いたのは――ココナ?

 

「そう……ですか」


 アリア様はチラっとココナの方を見る。

  おそらくアリア様も察したのだろう。


「しかし油断していた。まさかこの町を騒がせてる殺人鬼がアリア様に近づいていたとは、おいそこの男、ココナ・エンドゥの遺体を渡せ」


 何? こいつは今なんと言った?

  そうか――こいつがそうなのか。

  俺は刀を拾い、アランを斬りつける。

 

「な!? 貴様なんのつもりだ!」

「カエデ様何を!?」

 俺はその言葉を無視してココナを抱きかかえ、ゆっくりと歩いて行く。

 

「待て! どこに行くつもりだ! 憲兵奴を止めろ!」

「近づくな!!」

「ッ!?」

「カエデ様……?」


 俺のその一言にこの場に居る人全員が止まる。

  俺は敵意を剥き出しに、奴らに言った。

 

「それ以上近づけば、近づいてきた奴を殺す」

「カエデ様どうされたのですか!」

「アリア様、ここは見逃してもらえないでしょうか?」

「あ……ですが!」


 しばらくの瞑目の後、アリア様は喉を鳴らした。

 

「五分です。それ以上はできません」

「アリア様!?」

「アラン、そして憲兵の皆様! 彼を五分間見逃しなさい!」

「しかしアリア様!」

「私の命令が聞けないのですか?」

「うッ」


 驚いてしまった。

  まさか、アリア様からあんな言葉が出るとは、しかもその言葉には重みがあった。

 やはり俺と歳が変わらなくても、皇女なのだ。

  俺とは違い、言葉一つの重みとプレッシャーが違う。

  そして、アリア様だってわかっているんだ。ここでココナを――俺を見逃すことがどれほどの罪なのかを――

 

 

「カエデ様どうぞ、ココナさんを連れて行ってください」


 俺は何も言わず歩き出す。

  しかし心の中でアリア様に感謝の言葉を述べる。


 ☆☆☆



 俺は町を抜けて森へと出る。

  するとそこである人物と出会うことになる。

 

「こんばんわ。カエデさん」

「リリー」


  リリーが何故かいた。まるで俺が来るのを待っていたかのように。

 

「何か用か?」

「先ほどの戦い拝見させてもらいました」

「見ていたのか?」

「はい」


 一歩リリーが歩み寄る。

  それに合わせて一歩下がる。

 

「あら? どうして下がるのですか?」

「リリーは何をするかわからないからな」

「だいぶ警戒されてますね」


 まぁそのくらいの事を俺にしてきたからな。

  警戒の一つや二つはする。

 

「そうですか――でも」

「な!?」


 俺とリリーの距離は数えて十歩ほどあったのだが、一瞬で距離を詰められてしまう。

  警戒もしていたし、目を一瞬も離してはいない。

 

「私と貴方の実力差では、いくら警戒しても無駄だと思いますよ?」


 確かにそうだ。

  しかしリリーのこの実力。

  俺がもしこれほどの力を持っていたら、ココナを助ける事ができたのだろうか?

  俺の中で何かが芽生え始める。

 

「ココナさん……惜しい人を亡くしました」

「お前は一体何者なんだ?」

「私ですか? そうですね、詳しくは言えないですが世界を恨む者です」

「世界を恨む者?」

「えぇ……私はこの世界を許さない。この世界は間違っているのです。どうですか? カエデさんも私と一緒に来ませんか?」


 リリーは俺に手を伸ばす。

  この手を掴めば俺はどうなるのだろうか?

  わからない――だが、俺は伸ばされた手を掴む事はしない。

 

「悪いけど、リリーとは一緒に行けない」

「そうですか。残念です」


 リリーはすんなりと諦めた。

 

「いたぞ!」

「あら?」


 どうやら憲兵が追いかけてきたようだ。

 あれから五分は確かに立っているが、こんなに早く俺を見つけるとは……流石と言うべきなのか。

 

「彼らはただの憲兵ではないですよ」

「え?」


 パチンっとリリーは指を鳴らす。

 

「私はカエデさんとお話しているので、彼らを排除してください」


 その言葉と同時に憲兵達の腕や足そして首などが宙を舞う。

  そして先程までいなかったはずの人物が一人、屍の真ん中に立っていた。

  その姿は、仮面にフードと見るからに怪しい姿だが、今の感じからしてアイツはリリーの仲間なのだろう。

  リリー自身も化物級に強ければ、その仲間も、恐ろしいほどの実力というわけだな。


「さて、静かになりましたね? お話の続きをしましょうか」

「アイツはなんだ?」

「気にしなくてもいいですよ? そんな事よりカエデさんこれを」


 そして先ほどから手に持っていた羊皮紙を俺に渡してくる。


「これは?」

「読んでみてください」


 俺は言われた通りにノートを読み始める。

  ペラペラと捲っていくうちに俺の表情は驚きに変わっていく。

 

「なん……だよ。これ」


 そこに書かれていたこと、それはこの世界の”闇”だ。

  ココナはとある貴族達の依頼で沢山の人を殺してきた。

  それだけなら、まだわかる。

  だが、『魔王』を復活させよとしている集団が居る? 何故人間だ世界を滅ぼそうとする魔王を復活させようとしている。

  そして、魔王復活をワール・エンドゥも望んでいて、その為に必要な事がアリア様を殺す事?

 



「どうですか? それを読んでもまだ、私と一緒に行きたく無いとおっしゃりますか?」


 この世界はこんなにも悪が蔓延っているというのか。

  俺の中から芽生えたものが、黒く染まっていく。

  ココナはアリア様と仲が良かったんだぞ。そんなココナにアリア様の暗殺を頼む――

  許さない。俺はこの『信者』どもを絶対に許さない。

  一人残らず殺してやる。

 

「……確かに、リリーと一緒に行くのは悪くないかもしれない」

「ええ、悪いようにはしませんよ?」

「だけど!」


  リリーについていくことはできない。

 

「俺は一緒にはいかない。俺は俺のやり方でこの世界の悪を滅ぼす」


 リリーは二コリと笑う。

 

「そうですか」


 ドーンっと爆発音が鳴りそちらに目を向ける。

  すると一ヶ所だけ燃えている所がある。

 

「あの場所は……」


 確かココナの家があった場所だ。


「随分と派手にやりましたね」

「あれはお前が?」

「いいえ? 私は何もしていません。おそらく帝都の姫を殺すように命じた人の仕業でしょう」

「そうか……」

「ここでもし私がやったと、おしゃったらどうしていましたか?」

「殺す」

「良い目ですね。ではこちらを」


 リリーはスカートのポケットから紙を一枚だす。。

 

「これは?」

「カエデさん。貴方は力が欲しいのでしょう? そこに行けば力を手に入れられます。まぁ険しい道のりでしょうが」

「信じていいのか?」

「信じるも信じないもカエデさん次第です。でも、強くなれる事は保証しますよ?」

「わかった」

「ありがとうございます。あ、それとそこには一人の老人がいらっしゃると思いますが、私の名前を出せば話を聞いてくれると思います」

「わかった」


 そして、俺はゆっくりとリリーがくれた紙に書いている場所へと向かう。

 俺はこの先何があろうと止まらない。

  世界の悪を滅ぼすまでは……。

 

 ☆☆☆



「…………悪いな。ちゃんと墓を作ってあげられなくて」


  血で服が汚れて洗った場所。

  町からそれほど離れてはいないが、憲兵は来ない。

  先程から何かが倒れる音が時々聞こえてくるため、リリーかリリーの仲間が見張ってくれているのだろう。

  全くアイツは何がしたいのかわからない。

  だが、今は感謝をする。

  そして、リリーが何故ココナを欲しがっていたのか、今ならわかる。

  ココナは世界を恨んでいた。

  母を殺した魔族を恨み、信者である父を恨み。そして、母を殺した魔族の王。魔王を復活させようとしている人間を恨んでいた。

 

 リリーは同じ考えを持つ人たちを集めているんだろう。

 

「魔王と信者」


 俺は絶対に許さない。

  ここに書かれている奴らは、今の俺では到底太刀打ちできないだろう。

  だから俺は我慢する。いずれこいつらを殺す力を手に入れる、その時まで――


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