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転生黙示録  作者: 水色つばさ
1章  転生と出会い
20/63

18話 真夜中の戦い

 パンッ!

  何かが破裂したような音が響き渡る。

  そして目の前のココナが突然倒れた。


「ぐッ!」

「ココナ!?」

「ココナさん!」

「アリア様! 来ちゃだめだ!」


 ココナに近づこうとしていたアリア様を制止する。

  今のアリア様の位置は飛んできたと思われる場所から死角なっている、ならばそこに居てもらった方がまだ危険が少ないだろう。

  ココナはそう判断したんだ。そして、制した。

 

「おいおい、ココナ? 俺は言ったよな? そいつをさっさと殺せって」


 暗闇の中から現れたのは見覚えのある男の顔だった。

 

「何でここに居るの……お父さん」


 そう――闇の中から現れたのはココナの父、ワール・エンドゥだ。

 

「ココナ。答えろ。何故そいつを殺さなかった」

「はッ! アンタの命令に従いたくなかっただけ」

「……そうか」


 ワールはココナ方に何かを向ける。

  あれは確か、魔法銃?

 

「俺の命令に従えないやつは死ね」

「アンタに私が殺せるの? 今まで散々私に殺しを頼んでいたのに」

「はんッ! 確かにお前を失うのは少し惜しい。だがな、俺の命令聞けないやつはいらねぇんだよ」


 ワールは魔法銃の引き金を引く。

  そしてココナに紫の線が伸びている。

  俺はそれに沿って刀を抜刀して、弾丸を斬る。

 

「あん?」

「え?」


 二人は意外っといった感じの声を上げる。


「カエデ君なんで?」

「おいおいマジかよ? お前を殺そうとしていた奴を守ったぞ!? バカなのかお前?」

「……」

「おい。何か答えろよ」

「何故」

「あ?」

「何故ココナを撃った?」

「それはさっき話してたろ? 俺の命令を従わないからだ」

「自分の娘だぞ?」


 俺はとても心が落ち着いている。

  だがその内側に静かな怒りの炎が灯る。

 そしてそれは次第に大きくなっていくのがわかった。

 

「だからどうした? そいつは俺の野望を叶えるための道具なんだよ」

「自分の娘を道具呼ばわりか」

「あぁそいつは道具だ。そいつには殺しの才能がある。だから利用するんだ。だが、俺の言う事を聞かなくなった。つまり使い物にならなくなったんだ。道具が使い物にならなくなったら、処分するだろ?」

「前々からいい印象は持っていいなかったがとてつもないクズだな」

「クズ……な。ならココナはどうなんだ?」

「何?」

「ココナは俺の命令で数多くの人を殺して来た。それはどうなんだ?」


 俺は答える事ができなかった。

 

「ほらみろ。ココナは俺より悪党だ。そして捕まれば死刑は逃れられないだろう」


 ココナは数々の人を殺してきてる。

  そして、その中でも貴族が多い。

  これが未遂で終わっていれば、もしかしたらまだ死刑は逃れられたかもしれない。

 

「確かにココナは殺人という重罪を犯している。だが、それでもお前よりはマシだ」

「はあ? お前頭おかしいのか? 俺より殺人を犯した奴の方がマシだ?」


 俺がおかしな事を言っているのはわかってる。

  だが、俺は二週間以上ココナと一緒に居たのだ。

  ココナの性格を全くわからないほど、俺は鈍くはない。

 

「あぁココナはお前よりマシだ」

「なん……で。そんな事言えるの?」


 てっきりワールが言ってくるのかと思っていた。

  しかし俺の予想に反して、その質問を投げかけてきたのはココナだ。


「なんで……か。そんなの決まってるじゃないか、ココナお前は優しい、だから性格が悪いお前の父よりましだ」

「え」

「はははははッ!」


 ワールが突然笑い始めた。

 

「それだけか? それだけで俺よりマシか? 可笑しいったらねーな」

「そんなに可笑しいか?」

「あぁ可笑しいね。こいつが優しい? それはねーだろ?」

「何故それが言える」

「さっきも言ったがこいつは人殺しだ。人を殺すような奴が優しいわけないだろう!」


 なるほど……よくわかった。

  ワール――こいつがココナの父親を名乗るのは間違いだ。

 

「お前は」

「あ?」

「お前は俺よりココナと長い事過ごしていたのに、何も理解していないんだな」

「カエデ君?」

「どういう意味だよ」

「どういう意味も、そのままの意味だ。お前はココナの事を理解していない、彼女がどれほど優しいのか」

「あん? 意味わかんねーよ!」


 大きな声でこちらに怒鳴ってくる。

  その声が辺りに響き次第に静かに消えていく。

  本当にわからないみたいだな。

 

「ココナは俺に親切にしてくれた。どこの誰かもわからない俺に――」

「それだけで、優しいとか言ってるのか?」

「いいや。それだけではない。ココナはアリア様を殺そうとしていた」

「あぁ俺が命令したからな」

「だが何故まだアリア様は生きている?」

「あ……」


 どうやら、アリア様は気が付いたみたいだな


「あ? そんなのお前が邪魔したからだろ?」

「確かに俺が来たからかもしれない」


 だが、そうだとしてもおかしいのだ。

 

「だけど、ココナの実力はお前も知っているはずだ、ココナならたった10秒くらいでも人を殺せると」

「……確かにな」


 そう――ココナなら簡単だ。

  ココナが殺人鬼だというならなおさらだ。

  数々の人を殺して来たココナなら、10秒もあれば標的を殺してその場を去ることもできたはず。

 

「だけど、ココナは殺せなかった。理由わかるか?」

「つまりお前はこう言いたいのか? そこの皇女様に情が沸いて殺すのをためらったと?」

「そういうことだ」

「違う!」


 ココナは大声を叫ぶ。

 叫んだ際に撃たれたところが痛んだのだろう、少し顔をしかめる。

 

「思いのほか抵抗が激しかったから」

「だから、時間がかかった?」

「そうだよ」


 嘘だな――

 

「本人は否定しているがどうするんだ? ガキ?」


 ガキ……か。そういえばこいつには名前を名乗って無かったな。

  まぁ今更名乗っても仕方ないか。

  何よりこいつに名乗りたくない。

 

「別にどうもしない。ココナがそういうのならそうなんだろ」

「はッ! お前本気で言っているのか?」


 こいつ……ココナの言葉が嘘だとわかっているな。

 

「ココナぁ! お前嘘はいけないな?」

「私は嘘なんて!」

「だったら寝ぼけているんだな? お前には才能があるだろ? それを使えば屋敷で殺せたはずだ?」

「くッ!」


 そう……ココナはあの消える力がある。それを使えば屋敷に忍び込んでアリア様を殺す事出来たはずなのだ。

  しかし何故かココナはアリア様外に連れ出した。

 

「それは……その考えを思いつかなかっただけ」

「そうか……なら、ココナ俺は実は聞きたい事があったんだ」

「何?」

「お前なんで依頼人がたてた作戦と違う行動している?」


 依頼人?

 

「それは! あの作戦だと失敗すると思ったから」

「あれが失敗? それはねーだろ? 何故ならあれは完璧だった。何より依頼人も手助けしてくれているんだぜ? あれで失敗などするわけがない」

「ッ……」


 気になるワードが何個か出てきたな。

  今の話で推測するとココナがアリア様を殺そうとしたのは、依頼されたからという事なのだろう。

  もしかしたら今までの殺しも依頼されてやった事かもしれない。

 

「お前は命令違反だけでなく、その依頼人も裏切ったんだ!」


 ココナに魔法銃を向ける。

 

「撃たせるか!」

「おっと!」


 俺は一気にワールに近づき斬りつける。

 

「危ない危ない。意外と早いなガキ?」

「そりゃどうも!」


 俺の攻撃は魔法銃で受け止められてしまう。

  やはりこの人も人並み以上の強さがあるな。

 

「そっちこそ、ココナに頼ってばっかりなのに意外と強いじゃないか」

「はん! 俺を誰だと思っている? エンドゥだぞ?」

「それがどうした!」


 俺はそのまま押し込もうと力を籠めるが向こうの方が力が強く、逆に押し返される。

 

「まぁ一般人のお前が知らないのも無理はない。だが、このエンドゥの名は裏では有名なんだぜ?」

「何?」

「エンドゥとは暗殺を専門とする家系だ!」


 な、なんだと!?

 

「そ、そんな……」


 どうやらアリア様も知らなかったようだな。

  声しか聞こえないが、その声だけでもかなり驚いているのが伝わってくる。

 

「なるほど! ならば、お前が言っているココナの才能とは――」

「その通りだ! 暗殺者としての才能はココナにはある!」


 ココナが何故あれほど強いのか、今やっと理解できた気がする。

  彼女は数々の人を殺して来たのだ。

  もちろんその中には騎士や憲兵などいたかもしれない。だが、彼女はその騎士や憲兵すらも殺したのだ。

  抵抗されれば逆に殺されるかもしれない。

  しかし暗殺を成功させて来た。

  それは何故か? 俺が剣聖の才能があるように、ココナにもあったのだ。

  人殺しの才能――暗殺の才能が。

  もしかしたら、リリーはその才能を欲したのかもしれない。それでココナに近づいた。

  そう考えると辻褄があう。

 

「なるほど、だからココナは目の前にいながら消えたわけか」

「なんて言ったか? その消える力!」

「……インビジブル」

「だそうだ」

「インビジブル……」


 おそらく、暗殺の才能を持っている人のみが使える技なのだろう。

  根拠はない。しかしリリーもその力は使え無かった。

  もし努力でどうにかなるものなら、リリーもその力を使えていたはずだ。

  だが、リリーは使えなかった。

  それが答えなのだろう。

  そして、インビジブルこそココナが今まで暗殺を成功させてきた根源なのだ。

 

「どうだ? 俺の娘はすごいだろ?」

「あぁそうだな。お前の娘だとは思えないほどに凄いな」

「減らず口を……ガキよく見ておけよ?」

「何?」

「言ったろ? 俺の命令に従えないやつはいらないと。だから殺すのさ」

「お前の武器は今俺の武器を受け止めているが?」

「誰が一丁だけだと言った?」


 すっと後ろに手を回すと、何かを取り出した。

  そしてそれは――もう一丁の魔法銃だった

 

「な!?」

「丁度いい位置にココナがいるからな。狙いやすいぜ」

「ココナ逃げろ!!」


 俺は叫ぶ。

  しかしココナは逃げようとしない。

 

「なんで逃げないんだ……?」

「いいんだよ。私はどうせ捕まれば死刑確定。なら、ここで死ぬのも変わらない」

「はははははは!! いい心がけだ! そうだ! お前は死ぬべき人間なんだ!」


 やめろ――

 

「だから俺が殺してやる、感謝しろ!」

「……こ……す」

「あん? なんだ?」

「ココナを殺せば、俺はお前を殺す」 

「ッ!?」


 睨みつけるとワールは何故か怯む。

 

「カエデ君?」

「な、なんなんだ! お前は!!」

「何をビビっている?」

「クソがッ!」


 ワールはココナに向けていた魔法銃を俺に向ける。

 

「お前から先に死ねぇぇぇぇ!」

「遅い」


 いつスイッチが入ったのかわからない。しかしこの感覚は間違いなくなく――あの力だ。

  ワールの動きが手に取るようにわかる。俺は銃の引き金を引くよりも早くもう一つの魔法銃を押し返す。

 そしてもう片方の腕――

  今まさに撃とうとしている方を斬る。

 

「がぁぁぁぁぁ! 俺の! 俺の腕が!?」


 ワールは斬った方の腕を押え悲鳴を上げる。

 

「お前! お前お前お前! よくも俺の腕を!」


 ワールは魔法銃を向けてきて引き金を引く。

  だが、俺はそっと射線上に刀の刃を置き弾丸を斬る。

 

「な!? この近距離でふせがれ……た?」

「警告だ、これ以上ココナを狙うな。そしてココナを開放しろ」

「……わかった。もうココナは開放してやる。あとはお前の好きにすればいい」


 その言葉を聞き俺は背を向け、ココナの元に近づこうと歩き出す。

 

「おとなしく従うわけねーだろ!!」


 やっぱりな、やけにおとなしく引き下がったと思ったが、後ろから不意を突くためにしたがったフリをしていたわけだ。

 

「お前もココナも殺す!」

「バカな奴だ」


 俺は撃って弾丸を斬る。

  すると俺の横を何かが通過した。

 

「がッ!?」


 そしてその何かはワールの首に刺さる。

 

「こ、ココナぁ!」


 そう通過した何か――それはココナのナイフだ。

 

「てめぇ……実の父親を殺すのか?」

「確かに同じ血は流れてる。だけど、私はお前を一度でも父親などと思った事は無い」

「あぁ……そうかよ。地獄で待ってるぞ? ココナ、お前のその傷ではもってもあと数分だ」

「ええ、わかってる。だから先に行ってて、私もすぐにあとを追って地獄で今までの恨みの数だけ殺してあげるから」


 ワールは不敵な笑みを浮かべてその場に倒れ絶命した。

 

「さてっと」

「ココナ?」

「邪魔者は消えた。決着着けようか? カエデ君」

「え?」

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