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とある少女の独白
また……。また人を殺してしまった。
傍らに倒れている男が今回のターゲットだ。
何故……何故、人を殺し続けているのだろう? 何故人殺しの一家に生まれてしまったのだろう。
私はただ――普通に暮らしたかった。
何もない平凡な日々を過ごしたかった。
なんでなんでなんでなんでなんで!!
唇を強く噛む。
誰かが上がってくる気配を感じる。
あぁ……そういえば、家政婦がまだ残っていたっけ?
この家に住む人は皆殺しにせよ。それが私に課せられた依頼の内容。
ならば、その任務に従うのみ。
また、この手を汚さないといけない。ごめんねお母さん。
首に付けているペンダントを強く握る。お母さんから貰ったペンダント。持っていれば幸福になるという。しかし、いまだにそれを実感はできない。
だけど、もし本当に幸福が訪れるなら、幸福はたった一つだけ。
誰か私を――殺して。