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59.これからの計画Ⅱ

純一以外の人物からの視点も増やしていきたいので、こんな感じに

「理由としてはいっくんやリーシャさんには言わずもがな――僕としてはグランティよりライン地方にいてくれた方が安心するし」


「……まぁ、そうだな」


「いっくんも要因の一つだよ? ラインアルストのギルドに所属してるって聞いたからこれはしめた、と思ったものだけど。

 ……どちらにしろ、グランティには数ヶ月以内に王城建設のためにうちからの人員派遣自体はしないといけないから、凜たちを贔屓しちゃうみたいになっちゃったし、何かあったら裁定下した僕は恨まれるかもねえ」


「――それは……」


 苦笑を伴った自分の発言に一同が言葉を失うのを隼人は感じた。

 ……っと、要らない事を言っちゃったかな。

 これからがんばってもらう者達に対して、不必要な発言をしたと、そう自覚した。


「まあ、それはそれとして! そんな感じで『つながるくん』とそれを接続するユニットの設置をやってもらうことになるんだけど……、持ってきてるものって現状どうなってるんだっけ?」


 こちらの問いに陣が手を上げ、答える。


「そのままだと運搬するのにかさばるので、一度分解してます。組み立て自体は簡単にできるんですけど、どうせやるんだったらある程度広い場所で一気にやりたいですね」


「……だ、そうなんだけど、どうしようか? 僕もラインアルストに関しては初めて来た訳だから、その辺りはいっくんにまかせたいんだけど」


 丸投げにすることになるが、実際自分含め、ここにいるノードゥスのメンバーでラインアルストについて詳しい者は純一以外にはいないので、仕方が無い。


「ある程度広い場所かー……」


 眼前、純一が腕を組んだ。


「ただ広いだけじゃダメなんだろ?」


「それはそうですね。機材自体、外に置く事を前提にしているのでそれなりに耐久力のある代物ですけど、だからと言って無下(むげ)にする訳にもいかないですから、屋内――それもあまり人が頻繁に出入りしないところがいいですね」


「それだけでだいぶ限られてくる気はするんだが、良い所あったかなぁ……」


 自分としても事前準備として、ラインアルストの基本情報は仕入れている。

 ライン地方を東西で分断した場合、西側の中央辺りに位置するこの街は、この世界の街の規模としては田舎に近い部類ではあるが、それでも日本のそれと比較すると県庁所在地に近い活気を持つ。

 故にそういった場所もあると断定していたが、どうやらそうでも無いらしい。


「広いだけなら割とあるとは思いますが、人の出入りが無い、という条件がつくとすぐには出てこないですね……」


 純一の横、金の髪を持ったハーフエルフが肩をすくめた。


「――あ、そうだ! ジュンイチ!」


 その反対側、一見少女と見間違える少年が声をあげた。

 純一にレオと呼ばれる彼は右の人差し指を立て、


「いっそ、ギルドの訓練場を貸してもらえばいいんじゃない?」


「……確かに。あそこは基本的に施錠されていて、使用するには許可が要りますし、今の時期なら数日間貸切にしても問題は無いかと」


「ですよね。それに宿泊するのも、ギルドの宿舎に空き部屋がけっこうあるはずだし、そこでいいんじゃないかな?」


 純一はギルドに所属し活動を継続する事で入居が許可される無償の宿舎を住居にしていると前に聞いた。

 設備も最低限のものは備わっていたといっていた覚えがあるので、こちらとしてはかなり旨い話だ。

 良い方向に纏まりそうだね、と純一の顔を見ると、あることに気がついた。

 それは、

 ――納得してない?

 そんな表情に見える。


「んー、まあそうできれば楽なんだろうけど……」


「――何か引っ掛かるのかい、いっくん?」


「否、引っ掛かるって言うかなぁ……」


 頭を掻きながら彼は言葉を続けた。


「訓練場は、まぁギリギリ良いかもしれないけど、宿舎は『メンバーでかつギルド活動している必要がある』っていう規約があるだろ? それを破るのもなぁ」


「――」


 あぁ……、と隼人は内心で声を漏らした。

 それは、感嘆から来るもの、というよりも懐かしさから来るものだ。

 ……いっくん、変に真面目なところあるからなぁ。

 昔からそうだった。自分と浩二、そして純一といつも三人でセットだった中高生だった頃の話だ。周りから純一が一番お調子者だと思われていたし、実際そうだったわけだが、偶に彼が見せる真面目さは周囲を驚かせていた。

 ……不良が偶に見せる優しさ、と似たようなものって言ったらいっくん怒るかなぁ……。

 客観的に見た場合、規則を守るのは普通である訳だが、純一の性格からすると、この提案には肯定的だと周囲は思うだろう。

 その証拠に周りの面々の顔を見ると意外そうな表情ばかりだ。

 ――否……。

 彼の両隣、リーシャとレオは違うようだった。

 一年に満たない期間しか共に過ごしていないはずだが、彼らは純一の事を理解しているようだった。

 こっちでもそれなりにやってる、っていう言葉は本当みたいだね。

 昔からの親しい友人が環境に適応できているのは安心する。

 とは言え、安心しているだけでは問題は解決しない。この件は今日中、もっと言えば今決めてしまわなければいけないものだ。

 だが、純一の言う事も一理ある。

 この方法が許された場合、一時的とは言え、凜たちは特別扱いされることになる。

 人間、特別扱いされているものに対しては無用な感情が生まれ、軋轢が生じる可能性がある。

 だから、何か正当な理由が必要になる。

 ……あまり干渉しないようにするつもりだったけれど、仕方ないかな……。


「――じゃあ、その辺り、ミスト支部長と交渉してみようか」


「ん? こっちに全部任せるんじゃなかったのか?」


「そんな事は言ってないよ? まあ、ちょっと手伝うくらいはね。リーシャさん、支部長は今ギルドの方に?」


「あ、はい。今もまだ支部長室にいるかと。ご案内しましょうか?」


 隼人はリーシャの提案に、いえ、と否定の言葉をおき、


「いっくんを連れて行くので大丈夫ですよ」


「え、俺も行くのか?」


「それはそうでしょ。ギルドとノードゥスの関係調整なんだからそれこそいっくんの仕事だよ?」


「ぐぬ、確かに……」


 顔をしかめている純一に苦笑しながら、隼人はリーシャとレオを交互に見ながら、


「その代わりと言ってはなんですが、リーシャさんと、レオさんでしたか? 二人にはうちの子たちにラインアルストを案内していただいてもかまいませんか?」


 凜たちも純一の他にギルド所属で親睦のある人物は増やしていった方がよい。


「わかりました、そういうことでしたらおまかせください」


「お願いします。――それじゃ、いっくん。行こうか?」


「へいへい」


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