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5.異世界生活の始まり

「あなたを拘束させていただきます!」


 俺を拘束した少女はそう言う。

 くっ……、この黄金メロンちゃん、可愛い顔して強い……。

 黄金メロンとは俺がこの娘につけたあだ名だ、深い意味は無い。


 拘束されてから二時間ほど歩くと、俺たちは町に入った。

 ここに少女が所属しているギルドがあるらしい。

 それっぽい建物に入ると、少女が有名なのか俺が拘束されているからか、人が集まってきた。


「あれ、リーシャちゃんじゃん。その人どうしたの……?」


 野次馬の一人が少女に問うた。


「町外れの森で、ガルフに襲われていたのを助けたんです。でも見ない顔、見たことのない服装だったので、名と所属を聞いたんです。そしたら意味のわからない言葉で返答してきて、挙句に逃げ出そうとしたので、アーインスキア残党の可能性を考えて拘束しました」


 あくまで少女の方の視点での事実が述べられる。

 しかし、アーインスキア……? なんだそれ……?

 こっちとしてはそちらの方がわからない。だが、野次馬の目が、その言葉で俺を見る目を警戒するものへと変えたのを俺は感じた。

 おや、これは何か、冤罪の予感がするぞ……?

 どうにかしないとやばい、そう俺は直感する。雰囲気が痴漢のそれよりもやばい。

 だが、この少女、この建物に入ったときの雰囲気からそれなりの地位にいるらしく、この野次馬たちも俺が何かを言ったところで信じてくれるだろうか。

 どうしたもんか、と思ったときだった。


「何事です!?」


 声と共に野次馬たちを掻き分けて、これまた美人さんが近づいてきた。


「ねえさ――いえ、支部長」


 少女は女性を見ると、支部長といったので、おそらくここで一番偉い人なんだろう。


「実は……――」


 再度の説明に俺はただ横で聞いているしかない。こういう場合、無駄に騒ぐと立場が悪くなる。


「――なるほど、わかりました。この件は私の方で預かります」


 簡単に説明を受けた支部長は、少女から俺に視線を移して言った。

 支部長の言葉に納得したのか、少女は支部長に俺の身柄を引き渡した。



●●●



「――ここなら余計な邪魔は入りません」


 個室に連れて行かれるや否や、俺は椅子に座らされた。

 どうやら一対一で尋問されるらしい。

 テーブルの対面に座った支部長は最初に、ミストと名乗った。


「さて、率直に窺います。あなたは本当にアーインスキア残党――関係者ですか?」


 若干強い口調だが、この女性は高い地位にいるし、雰囲気からして物分りがいいタイプだろう。

 だからという訳ではないが、俺は思ったことを口にした。


「またその名前だ。悪いが俺はアーインなんとかってのは知らない。つーか、何も悪いことだってしてないし」


 俺は崖下に落ちたところから今までの過程をありのままに話すことにした。


「――というわけで、あの黄金メロン――じゃない、女の子にいきなり捕まってここまで連れてこられたんだ。それがすべてだよ」


 全てを注意深く聞いていた支部長は、俺が言い終わると指を額にあてて少し考え込んだ後、わかりました、と言った。


「あなたへの嫌疑が晴れたわけではないのですが、あなたの状況は私にも少し思い当たる節があります。よって、ひとまず保留と言うことにさせていただきます」


 とりあえずは断定されずに済んだ。だがこちらとしては何も悪いことをしていないのにこれだ。文句のひとつぐらい言ったっていい気がする。


「保留つったって、こっちとしては不安だな。最低限の人権ぐらい保障してくれるんだろうな?」


 言葉に彼女は頷いた。


「では言葉を変えましょう。ギルドで保護観察、という形を取らせていただきます。少しの間、この町の宿にいてもらうことになります」


 監視の者がつくということだったが、独房に入れられるよりはマシだ。

 その条件で俺は了承した。



 そこから俺の異世界生活が始まった。


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