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17.アルガドにて

 ギルドを出た俺はそのまままっすぐ、宿舎近くの商店に足を運んだ。

 アルガドというこの店は冒険者御用達のアイテムやら武器、防具から日常生活で使うものまで取り扱っている雑貨屋だ。


「――お、ジュン坊じゃないの。いらっしゃいー」


 店に入ると、店長である女性がすぐにこちらを把握する。


「こんちわ、リリエさん」


 彼女は頬杖をつきながら、

 

「どうしたんかな、今日は?」


「ちょいと探し物がありまして……」


 俺は魔石を探していることを話した。


「――で、アルガドなら何でもそろってますし、あるんじゃないかなーって思ったんですけど」


「魔石、かぁ。ちょーっと店には置いて無いなぁ、それはー」


 置いてない。

 俺の唯一の希望が断たれた。


「大都市クラスなら普通に売ってたりするんだけどー、こんな田舎の雑貨屋じゃさすがに置いてないかなー、自分で言うのもなんだけど」


 ほんとだよ。しかし、どうしたものか……。

 大都市クラス、というのはおそらく極東都市ラインベルニカなどのことを言っているのだろう。だが、この前調べた限りじゃ、ラインアルストから片道二千キロを超える距離のようだ。

 そんな大陸横断するようなことが今の俺に出来るだろうか。

 困った。

 

「――困ってるねえ」


 顔に出たのか、こちらを見てリリエが声をかけてくる。


「まぁ、いずれラインベルニカには行ってみたいと思ってますけど、今できるかって言われると……」


「そうだよねえ。……しょーがない、お姉さんちょっとサービスしちゃおうかなぁ。ジュン坊にはこれからもお得意様でいてほしいしねー」


 ちょっと待ってね、と言ったリリエは頬杖をついたまま、左手をおもむろに横に伸ばした。

 その瞬間、何も無い空間に光が走り、リリエの左手がそこに飲まれる。

 それは、以前リーシャがやったのと同じものだ。


「――って、それ、ストックスじゃないですか! リリエさんできたんですか?」


「んー? まあこれくらいなら余裕だよー」


 これくらいって……。レオの話だとギルドでも使えるのはミストさん達しか居ないってことなんだが……。


「――っと、あったあった、これこれ」


 リリエがストックスから引っ張り出してきたのは、ビー玉ぐらいの石だ。


「なんですかこれ?」


「まさに今話してた魔石だよー」


「は? これがですか!? でも店には置いて無いって……」


 そう彼女は先ほど宣言したはずだ。


「商品としては置いて無いってことだよ。これは個人的な所有物。前はもっとたくさん持ってたんだけどね? 少し前にこれ以外全部使う用事があって、もうこれしかないんだよー」


 そう言って、リリエは俺に魔石を渡してきた。

 受け取った俺はそれを手のひらにおいて、眺めてみる。

 基本的にはただの石のようにみえるが、ところどころに赤い色が走っている。


「というわけで、それ、ジュン坊にあげる」


「――え、いやいや、悪いですよ、さすがに。お金はちゃんと払います」


「律儀だねー。じゃあ、これぐらいちょーだい」


 リリエが示した金額を俺は財布からとりだして差し出す。どう考えても安すぎる値段だ。

 コンビニであんまんを買うレベルの金で、少量とは言え魔石が手に入ってしまった。


「で、律儀な子にはもうちょいサービス、というかここからが本題なんだけどね? ラインアルストから南にずっと行った所に世界最大の大火山、キワル山ってのがあるんだ」


「そういえば、ありましたね」


 前にこの地方の地図を見たときに、そんな名前を見た覚えがある。


「うん、そこは王族が所持している魔法の秘宝が眠っていた――なんて噂もあるくらい魔力が高い場所で魔石も結構豊富にとれると思うんだ。

 たしか、麓の近くに温泉街もあった気がするから、そこなら魔石が置いてあるかも」


「ほんとですか?」


 それは願っても無い情報だ。

 キワル山までなら往復だけでラインベルニカに行くのと同じぐらいで済む。


「うん。ただ、行くならミストっちとかに相談した方が良いかもねえ」



●●●



「私としては、あまり賛成できないです」

 

 それがミストに相談して、彼女が最初に言った言葉だった。

 やはりか……。

 昨日俺も危ない目にあったばかりだ。それで許可を出す可能性のほうが低いとは思っていた。


「私がジュンイチさんの行動を制限することは基本的には出来ないです。しかし、キワル山方面への旅はやはり多少の危険は伴います。あそこは元々空間魔力が多いところで、その分魔物も強いですし」


 確かに考えてみれば、俺一人で魔物に対処できるとは考えにくい。戦闘の仕方などは多少は身についてきた自負しているが、そもそも単純な戦闘力が低い、というのも事実なのだ。

 しかし、魔石があれば今よりまともな武装が作れそう、というのもまた事実だった。

 何か無いものか、と少し思案した俺はそこでふと思いついたことあった。


「――俺一人が危険なら、用心棒を連れてけば良いと思うんですが」


「……それなら、こちらとしては安心ですが……。アテはあるんですか?」


 そう、ここにきて半月の俺にそんな知り合いがいるか、ということ。

 最悪、傭兵として金で雇うしかない。


「そこはそれ、どうにかします」


 そう言って俺は支部長室を出た。

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