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6 After a wedding ceremony


「やっと終わった……」

 棗は結婚式の後、疲労やら解放感やら安堵やらで少しぼんやりしていたら、立花がお風呂に入れてくれると言い出したので、焦って立花を追い出して一人で湯船に浸かっていた。


 立花は風呂好きなのでかなり立派なジャグジー付きの浴室はとてもいい香りがする。


 疲れた。本当に疲れた。この二カ月間は本当に忙しく、色々な人に会ったり、色々な事を決めたりした。立花はずっと王都に行ったままで、手伝ってくれる人は多かったが気分的には一人だった。

 立花の知り合いは身分の高い人や大きな商家の人が多く棗はとても気を使った。そして領主として街の人や観光客に喜んで貰えるように頑張った。本当に頑張ったのだ。


 ぼんやりしているとのぼせてしまいそうだったので、棗はノロノロとお風呂から上がる、立花はベットで写真を見ているようだった。


「氷花さんが撮ってくれたんだけど……連写が凄すぎて動画みたいになってるよ……」

 棗も見せてもらったがとてつもない量の写真で、しかも立花が中心に写っていた。


「棗疲れたの? もう寝る?」

 棗は首を振るって答える。

「あーあー髪の毛乾いてないよ、こっちおいで」

 立花が棗の髪を乾かしてくれる。


 立花は普段機械や小動物のように振舞っている事が多い。しかし二人でいると少しガサツな仕草や態度など男らしい様子を見せる。普段気を使っているんだろうな、と棗は思う。


 そして男らしい立花はどことなく悪い顔で色っぽい。


「棗頑張りました」

 沈黙に耐えられなくなった棗は無理矢理話し出した。


「うん。みんな喜んでたね。俺がやるよりずっと良いって言ってたよ?」

「そうなんですか?」

「うん。俺が仕切ると面白くないんだって」

「わかるような気がします……」

 立花の仕切りなら段取りが完璧で遊びのない、それはそれは淡々しとた式になることだろう。


「戴冠式は大丈夫なんですか?」

「うん。あれは段取りとか決まってるからね、でも王都の人は凄い人ばっかりでまとめるのが大変だけど」

「まだ、忙しいんですか?」

「出来るだけ終わらせて来たから一週間は居れるよ?」

「一週間……」

 短い、と棗は悲しくなる。


「棗にお礼しないとだな、何がいい?」

「なんでもいいんですか?」

 うん、と立花が微笑む。


「棗には趣味がありまして……」

 何だろうと立花は考える。棗の好みが乙女なのは知っているが、そう言えば趣味は知らない。


 棗のような立場のお嬢様は普通は編み物や音楽、あとはダンスなどをしているらしい。


壁登り(ボルダリング)がやりたいのですが……?」

「ああ、城にあったね」

「立花様もやるんですか?」

 棗は嬉しそうに聞く。


「ううん、俺は作っただけ、大勢やってたから近づいた事ないんだ」

「……」

 相変わらずの幸薄体質に言葉がない。


「あれを作ればいいの?」

「はい! 立花様も一緒にやりましょう!」

「教えてくれるならいいよ」

「約束ですよ!」

「うん。分かった。他には?」


「……棗も一緒に行っちゃダメですか?」

「何が?」

「だって一週間しか一緒にいられないんですよ? 新婚なのにっ!」

「ああぁ。うーん、でも棗に手伝ってもらう事ないし、暇だよ? 一ヶ月ぐらい待てない?」

「だって、だって立花様その後もずっと領地にいる訳じゃないし……」

「それもそうだな、一ヶ月の半分は出かけてるかもね」

「ううぅ〜」


 棗は一生懸命上目遣いで可愛いアピールをしておねだりする。


「待っててよ?」

 立花は爽やかに断る。

「嫌ですぅ。何でですか? 立花様は一緒にいたくないんですかぁ?」

 棗は泣き落としを試みる。


「うーん……」

 別に問題はない、ただ王都の人にいちいち棗を紹介するのが面倒なのだ。あそこの人達はとにかく喋る。隙があれば喋る。そして作業が滞る。立花は出来るだけ隙を見せたくない。


「いじわる……」

 棗は怒って涙目で睨んでくる。その少しぶちゃいくな顔がとても可愛らしいと立花は思う。思わずキスすると棗がごまかさないで、と怒る。


 別に連れていっても良いのだがもう少しイジってやろうと思う立花であった。


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