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16 物騒なスキンシップ

 棗は自分よりかなり背の高い姉に向かって果敢に攻撃を仕掛けていき、姉は棗のキレのある蹴りを鮮やかにさばいていく。

 素人の立花にはよくわからないが、立花が同じ事をしてもあんな音はしないというのは確信が持てる。暴力的な物が怖い立花だが二人の様子は不思議とあまり怖くはなかった。




 立花と棗一家との顔合わせの翌日、ショウリンは街を上げての宴を開催することになり準備に慌しいが、一家はいつも通り過ごしていた。


「立花君はこう言うのが苦手かい?」

 棗の父が立花と同じ様に二人を眺めながらいう。

「はい。でも凄いと思います」

「まぁ、うちのスキンシップみたいなものだから気にしないでくれればいい」

「スキンシップですか……」

 立花がぼんやり眺めていると、じゃれ合いを終えた二人がやって来る。


「あれ? 立花様いたんですか?」

「うん。棗凄いね、ブンブンいってたよ!」

「ええと、違うんですこれはアレで……」

 可愛いところをアピールしたい棗としては褒められても複雑だ。


「カッコよかったよ?」

「ありがとうございます……」

 立花が妙に嬉しそうに見つめてくるので棗は恥ずかしくなってくる。


「立花君、お姉ちゃんはどう?」

「カッコいいです!」

 立花が笑顔でいうと姉も嬉しそうにする。

「立花君、お姉ちゃんって呼んでくれてもいいのよ?」

「お姉さんですか?」

「お姉ちゃん!」

「お姉、ちゃん……」

 姉のいない立花が恥ずかしそうに言うのを姉はニヤニヤしながら見ている。


「立花君、私はお父さんだぞ」

「それなら私はお母さんです!」

 両親も立花に恥ずかしそうに呼んで貰いたいらしい。しかし、棗はプロポーズの時ですらそんな風に呼ばれた事がない。


「立花様、ちゃんと義理で呼んでますか?」

 棗は恥ずかしそうにしている立花にいう。

「義理?」

「そうです。おとうさんはお義父さんです」

 棗が空中に字を書いて示す。

「ああ、お義父さん、お義母さん」

 立花が呼ぶが、恥ずかしそうに呼ばれたかったらしい二人は不満げだった。



「ところで、宴って何をするんですか?」

 立花が尋ねる。

「飲んで騒いで祝うんだ」

 棗の父は今からウキウキしている。

「みんな凄く食べるから料理の準備が大変なのよねぇ……」

 母は少し困っている。


 街中で開催されるらしい宴は立食パーティーのようで街中の料理人が腱鞘炎になるまで作るらしい。怪我するまでやらなくても、と立花は申し訳無く思うが宴はショウリンの楽しみらしく理由はなんでもいいと言われて少し気が楽になった。




 そして日が落ちてから本格的に始まった宴で立花は棗の父に連れられて街を巡る事になった。


 街のいたる所に料理が並び、広場では試合が行われ、みんな飲んだり、食べたり、歌ったり、戦ったりしている。そこに棗の父が現れると皆きちんと礼をとり、集まってくる。立花はそこで何故か円陣を組み気合いを入れるついでに”娘婿だー!”と紹介され、周囲から”婿ー!”返された後、歓声とともにハイタッチをする謎の儀式を受けた。


 儀式の後は飲み比べや試合が始まり、色々な人から酒や勧められた立花だが飲まされたら前回以上の惨劇が待っているような気がして、飲めないと言って断って回った。


 そしていつの間にかはぐれて一人になっていた立花は、街の片隅にある公園で疲れ切って座っていた。もう何もする気にならない。

 人混みで大勢の注目を集めるという事がこんなに疲れるとは思わなかった。桐生は凄いことをしていたのだと思う。


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