ONLY ALIVE
そして一時間後、棗は言いつけ通り囮として追跡者を引きつけ、街外れに来ていた。立花はここで棗を拾ってそのまま次の街に向かうつもりらしい。
棗は追い詰められたふりをして屋上へ出て立花の機体を探す。雨が強く視界が悪いが、立花の機体が上空からこちらに近づいてきているのが見えた。
棗が端に寄ると男達が周囲を取り囲む。次の動きを考えて下を見ていると男が話しかけてくる。
「おいおい、姉ちゃん。危ねぇぞ。大人しくこっちに来いって」
言いながら手を伸ばしてくる男はガタイがいい上に雨で服が張り付いていて不快感が半端ない。棗は厳しい視線を投げると静かに後退る。
立花の機体との距離を測っていた棗はタイミングを見計らい屋上から飛び降りる。落下の途中、機体が思ったより建物に近いことに気がついた。
あれ? 飛び過ぎ?
棗が戸惑っていると立花は焦って操作し、何とか棗を受け止めてくれた。しかし棗の両足ニードロップが胸部に当たった立花はしばらく苦悶していた。
「うぅ〜……棗は、大丈夫?」
どうにかダメージから立ち直り開口部を閉めてオートパイロットで飛んでいる機体の中で立花がいう。
「はい!」
立花が守ってくれないというので服の下に防具をつけていた棗は無傷だ。
「そういえば、気になっていることがあります」
棗は機体の後部座席で濡れたコートを脱ぎながらいう。
「なんですか?」
立花は雨で操縦し辛いのか返事が上の空だ。
「私達は訳ありでかけ落ちなのでしょうか?」
「え? 結婚させてもらいに行くんだからかけ落ちじゃないだろ?」
「でもマスターに言われました」
「ああ〜それか」
「なんなんですか?」
棗は思わず身を乗り出して聞く。
「え〜っと、棗さんがデスネ。いいとこのお嬢さんみたいな格好なんですよ。それで、俺が猟師の格好してるでしょう? で、まぁ何と言うか……普通そういう身分だとお付き合いとかできないじゃないですか。それで女連れでこういう旅してると、まぁ、そう思われるんですよ」
立花は何かを隠している。
「つまりどういうことですか?」
「え? いや……う〜ん、ワザと誤解されるように、してた?」
「棗の格好が浮いてたってことですか?」
「あれ? 気づいてませんでした?」
棗が怒りに震えているとロブが慰めるように擦り寄ってくる。
「言ってくれればいいのに……」
「いやぁ。だって時間かかりそうだったし、棗に猟師のフリとか絶対無理だし……」
「じゃあ、皆さんかけ落ちだと思ってたんですか?」
「うん。最初の村から? ほら、前に北でゲリラが戦ってただろ? その時に猟師の中にも手伝ってる人達がいて、そん時に何かあって〜とか思われたんだろうな〜」
立花は珍しく饒舌だ。
「納得できません」
「あ〜違うんですよ。棗がお姫様みたいだから、勘違いされちゃうんデスよ」
「絶対嘘!」
「いや、可愛い。棗さんはとっても可愛いです」
「嘘が雑!」




