表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
49/89

11 我輩は犬である

 我輩は犬である。名前はロブ!

 我輩の主人は立花と言う人のオスである。

 我輩は五年ほど前からこの立花と一緒にあちこち出かけている。


 初めの一年も経たないうちに人に襲われた我輩は大怪我をして、立花の仲間の女医に治療をして貰ったら、変な器官を移植されていたのである。

 それからは感情が色で見えるようになったのである。イライラはトゲトゲした感じで、怒っていれば赤く。怖がっていれば青く。最初は慣れなかったが慣れてくると面白く、人や犬の色を眺めていたが人は色が濃くてそれが他の人と混ざるのが気持ち悪く、我輩はあまり屋内には行けなくなったのである。


 そして外で立花と二人でいると立花はほとんど色がない事に気がついたのである。

 もともと立花は小さいし、なかなか大きくならないのでおかしいと思っていたが、やはり立花は普通の人とは種類が違うのだと分かったのである。


 そんな色のない立花を何年も見て来た我輩だからすぐに気がついたのである。


 ある日立花は見た事のないメスを連れて来た。立花よりも小っちゃいが色彩が鮮やかで棗というらしい。棗はとても一生懸命何か探っていた。それは色が見えなくても分かりそうな感じで、立花も気づいているようなのに警戒の色がなかった。不思議だ。立花は大体のメスは警戒しているのに、何故棗は大丈夫なのだろうと思った。そして我輩が棗を見ているのを見て、笑う。成る程、棗は特別らしいと分かった。そこで我輩は主人の特別は守ってやる事にしたのである。


 その後棗は族に襲われたりもしたが、我輩は立派に守ったのである。その辺から棗は立花といるとピンクを見せる様になった。ピンクの色彩にもいろいろあり、我輩はしばらく棗を眺めているだけで面白かった。

 そしてある日我輩を迎えに来た立花はとても楽しそうな色をしていた。不思議に思って家に帰った立花と兄の話を聞いていると棗が何かしたらしい。

 ふむ。立花は棗が何かすると楽しいと分かったのである。


 それから棗はたまに我輩に会いに来てオヤツをくれる様になったので我輩は棗が大好きである。




 戦争の後の立花は元気がなかった。

 そしてある日棗が泣きながらやって来た。

 棗は悲しいくて悔しい色をしていた。我輩の大好きな棗の一大事である! 我輩は一生懸命慰めたが棗の色は変わらない。立花が呼んでいるが棗が心配だ。そして立花がやってくると棗の悲しい色が濃くなる。棗が泣いているのは立花の所為だと分かったのである。

 だから謝って慰める様にいう。立花は我輩のいう事を半分くらいは分かってくれる。しかし立花は棗の隣でぼんやり話してたいるだけで全然謝らないし慰めない。ダメな奴だ。しかも棗が泣きながらしがみ付いて来て嬉しそうだ。お前が喜んでどうする!


 しかしその時我輩は気がついた。立花がピンクだ。本当に薄っすらで棗の色に消えてしまいそうだが絶対に立花の色だ。

 立花が仔犬を見る様な顔で棗を見て、ピンク色をしているのを見て我輩は嬉しくなった。お互いにピンクならつがいなのである! めでたい、めでたいと喜んでいると立花はもう一度棗を泣かせてしまった。本当にダメな奴である。


 それから立花も棗も帰ってしまったので我輩は気になっていた匂いの奴を見に行った。

 立花の仲間の鬱金と桐生とじじいだ。

 桐生は我輩に立花チューしてた? と聞くがチューはしてないと答えても、そっか、やっぱなー、だよなーと全然分かっていなかったのである。




 その後しばらくして立花は別の場所で暮らし始めた。そこは立花に嫌な色で近づいてくる奴のいない、城よりいいところだった。でも棗が居ない立花はまた色がない。我輩はたまに棗どうしたの? と聞くが立花には伝わらなかったのである。


 そしてある日棗がやって来たのである。しかもオヤツをいっぱいくれた。棗大好き! その棗が立花に会いたいというので立花を呼ぶ。棗を見た立花は物凄く驚いていた。そして棗は泣きながら怒っている。心配になった我輩は窓からこっそり二人を見ていたが、心配いらなかったのはすぐに分かったのである。


 立花は棗が喜ぶと、それを見て嬉しいそうに微笑むし、棗はその顔を見てまた喜ぶ。桃色無限循環エンドレスピンクループ。見ていられないのである!



 そのうち立花は棗の親に会いに行く事になったらしい。それは別にいいのだが、視界いっぱいピンクに包まれていると、うんざりしてきて掘った砂が口から出そうだったのである。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ