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第五十五話 ツインテールの使い魔

「フユちゃん、エルリットの使い魔になるです!」


 頷くフユを見て俺は使い魔の契約を結ぶ術式を完成させる。

 フユが腕輪から流れ出る魔力に包まれていく。


「フユ~」


 気持ちよさそうにその魔力に身を任せているフユを見て、俺は肩をすくめると誓いの言葉を詠唱した。


「汝、我が魔力の権化にして我と盟約を結ぶ者なり。我と契約せし印を汝に刻む、リトゥス・サーバス・シンヴォレオ!」


 滑らかに渦を形成しながら、腕輪から魔力があふれ出る。

 それは幾筋かに分かれて、フユの体に俺の魔力を注ぎ込んでいく。


「フユ~、凄いです!」


 青い光がリルルアの店の中を照らしていった。

 強い光にフユが包まれる。


(俺の魔力は強すぎるかと思って、調整してみたんだが……)


 魔力を幾筋かに分けてフユに流し込んで様子を見たんだが、フユは俺の魔力を素直に受け入れていく。

 あのローゼさんの娘だから、精霊花としての素質は高いのだろう。


 それと俺との相性だな。

 使い魔と術者の相性が悪いとこうはいかない。

 魔力の受け入れを拒めば使い魔の契約が出来ないか、出来たとしてもその力は半減する。

 無理に服従させる手も無くはないが、それでは精霊の力を全ては引き出せない。


(服従させようにもバロ達もフユも使い魔として俺に仕えるというよりは、完全にフリーダムな連中だからな)


 フユは俺の魔力を、まるで木々が水を吸うように素直に吸い込んでいく。

 どうやらフユは俺と相性がいいらしい。

 そんなことを考えていると光は徐々におさまり、使い魔になったフユ姿が俺達の前に現れた。


「フユ~!!」


 フユは使い魔になったのが嬉しいのか、クルクルと回りながらはしゃいでいる。


(ん? どこかさっきまでと違うな)


 それを見て、エリザベスさんとリルルアさんが言った。


「あら、可愛い髪型になって」


「本当だねフユ、見てみるかい?」


 確かにフユの髪型は、さっきまでと少し違っている。

 リルルアがフユを手のひらに乗せると、壁にかけられた姿見の前に連れていく。

 フユ自身の白い薔薇の花と、王妃から貰った真紅の薔薇が少し小さくなり、まるで髪飾りのように変化して魔力を湛えているのが分かった。

 それが頭の左右に付けられて、そこにシルクのように綺麗な白い髪がそれぞれ纏められてツインテール状になっている。


「フユ~! 可愛いです!! フユちゃんほんとのお姫様になったです!」


 確かにフユには良く似合っている。


(ああ。そう言えば今朝エリーゼが、こんな髪型をしてたな)


 フユにとってはエリーゼがお姫様のイメージそのものなのだろう。

 俺が込めた魔力を使って、自らの姿を知らず知らずのうちに少し変化させたようだ。

 バロが俺の肩の上に姿を現すと言った。


「何がほんとのお姫様だ、まずはそのお転婆を直しやがれ」


 全くこいつは相変わらずだ。

 俺が言うのも何だが、確かにもてないタイプである。


「フユちゃんお姫様です! お転婆じゃないです、喰らうです!!」


(ちょ! やべえ! フユの奴、いつものつもりで鞭を使うつもりか!?)


「フユ?」


フユ自身が一番驚いたようだ、軽く振りぬかれた薔薇の鞭はいつもより遥かに速く風きり音が普通じゃない。

サイズも威力も、ラセアル先輩とローゼさんの氷の薔薇のレクイエムに近い。


「ちっ!!」

 

 バロは火トカゲに姿を変えてそれを受け止める。

 凄まじい衝撃音が店内に響いた。


(あぶねえな、こりゃあ)


 俺は念のために、バロ以外の火トカゲ達も召喚してフユを取り囲ませていた。

 そうやってエリザベスさん達はきっちりとガードはしたが、これは完全に俺のミスだ。


 俺はフユに与えている魔力を最小限に抑える。

 バロ達は魔王とやらに仕えていたベテランだが、フユは言って見れば使い魔一年生だからな。

 俺が力の調節をしてやらないと駄目だろう。


「フユ~、フユちゃん力が抜けたです」


 俺がフユに与える抑えたからだろう、フユはそう言ってペタンと俺の肩に尻餅をついた。

 それを見てミレースのペンが早速走っている。

 リルルアがフユのそんな様子を見て笑っていた。

 俺はミレースに言った。


「さて、お待たせしました。じゃあ行きましょうか? リルルアさんありがとうございます。また来ますよ」


「ああ、いつでも遊びにおいで。あなたなら歓迎だよ、フユにお菓子を用意して待ってるからね」


 それを聞いて尻餅をついていたフユが、元気に立ち上がった。


「フユちゃん、また来るです!」


 全く現金な奴である。


 

 エリザベスさんの勧めで、ミレースは自分が乗って来た冒険者ギルドの馬車を送り返すと俺達の馬車に乗り込む。

 馬車が走り出した。

 窓から外を見ると、リルルアは俺達に手を振っている。

 フユは嬉しそうに俺の肩の上からリルルアを見ていた。

 そんな様子を眺めながら、俺はミレースに尋ねた。


「ミレースさん、そう言えばさっきの続きですけど」


 俺の言葉にミレースは、使い魔になったのが嬉しいのか馬車の中を飛び跳ねるフユを手のひらの上に乗せて答えた。


「ああ、冒険者ギルドのランク決めの試験のことですね?」

ご覧頂きまして、ありがとうございます!

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