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第二話 美人のママンと神聖なる儀式

 目が覚めた時、俺は飛び切りの美女に抱かれていた。


 少しウエーブしたブロンドの髪


 大きく美しい瞳と長い睫


 整った鼻梁とまるでピンクローズの花びらのような唇


 文句なしの100点満点だ。

 白薔薇のような香りに混ざって、白い肌から漂うほのかな汗の香りがなんとも言えない。


 俺を抱きながら、その女性は嬉しそうに頭を撫でて俺に色々と語りかけている。

 俺もそれに答えようとしたのだが。


「あう……あううぅう」


 言葉は理解出来てるのだが、口が回らない。

 もみじのような手と、すっぽりと女性に抱かれているこの感じ。


(俺は赤ん坊になっているのか)


 やっぱりあの女神との一件は夢では無かったようだ。

 実際に、目の前の美女の言っている事が分かるのはその証拠だろう。


 ブロンド美女の近くには、赤い髪のイケメンが立っている。

 イケメンは、俺を見て不気味そうに首を傾げる。

 失礼な奴だ。


「なあシャルロット、少し変じゃないか? 生まれたばっかりだって言うのに、泣かないし俺たちの事ジッと見てまるで観察してるみたいだ。」


「考えすぎよ、アレン。そうよねエルリット、ママに笑って見せて。私の天使!」


「うふぅ、ぐふふ」


 大人の感覚で普通に笑おうとしたら、思う通りにいかずにかえって不気味になってしまった。

 体が赤ん坊だと、どうも上手くいかない。


 どうやらブロンドの美女は俺の母親、赤毛のイケメン野郎は俺の父親らしい。

 年齢は2人とも18ぐらいか。


 おい、アレン……何ドン引きした顔してやがるんだ。

 俺だって愛想良くしたつもりなんだよ!

 グフグフと笑う息子でも愛するのが、親の務めだろうが。


「ふふ、なんて可愛いの! ママにもう一度笑って頂戴!」


(そうだアレン、見習え! これが親と言うものだ!)


 俺の母親であるシャルロットは、満面の笑みで俺を抱きしめる。 

 柔らかい胸が俺の顔を包んで、いい香りが俺の鼻腔を満たしていく。


(もう死んでもいいかもしれん、これ)


「ぐふふ」


 やばい、今のは本気でぐふふと笑ってしまった。


「さあ、おっぱいあげましょうねエルリット」


 俺は固まった。


(な……ん……だと!?)


 心臓がバクバクと音を立てる。

 シャルロットは恥ずかしげも無く、その美しい乳房を俺に含ませた。

 まあ夫と自分の赤ん坊の前だ恥ずかしいも何もないんだろうが、こっちはそうはいかない。

 アレンが俺を覗き込むと、露骨に嫌な顔をした。


「お前……いやらしい顔しやがって。俺のシャルロットだぞ!」


「何言ってるのアレン、貴方子供みたいよ。赤ん坊にやきもちなんて」


(そうだ、そうだみっともないぞ!)


 俺は勝ち誇った顔でママンとの聖なる儀式を続けている。

 その聖なる雫をありがたく頂きながら、俺はいつの間にか眠りに落ちていた。




 数日後、俺はアレンとシャルロットの目を盗んで部屋を歩き回っていた。

 もちろんこの体に慣れていない為2足歩行などまだままならぬが、はいはいをしながら進んでいく。

 部屋にある鏡を見つめると、そこには可愛らしい顔をした赤毛の赤ん坊が映っている。

 もちろん俺だ。

 シャルロットが部屋に戻って来て、俺がベッドから出ているのを見ると


「どうしたのエルリット、ママに会いたかったの?」


 そう言って俺をベッドに戻す。

 残念だが、生まれたばかりの赤ん坊の俺が自力で部屋の外にでるのは難しい。



 実際に、内緒で家の中をうろつけるようになったのは1歳になる頃だ。

 自分の体にも慣れて、両親の目を盗んで家の中を散策する。

 すると俺は、屋敷の中に沢山の本が並んだ部屋を見つけた。

 俺はその部屋に入っていく。


(……これは)


 幸いな事にあの女神にもらったおまけの力で、俺にはこの世界のどんな言語も理解が可能だ。

 並んでいるのはどれも小難しい本だったが、俺はそれを手に取ると夢中になって読んだ。

 アニメオタクの厨二病患者である俺にとって、何よりも興味深い本


 そう、それは紛れも無い本物の『魔道書』だった。


ご閲覧ありがとうございます。


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