いい値で買うでゲイヌ!
大きな街に着くとそこは更に人でごった返していた。
石のレンガで組まれたその町は、太陽の熱を吸収し易く、肉球に悪かった。
「ミカエモード様!私の足が! 足が! 肉球が! 」
どこかで聞いたようなセリフでジョークを、言いつつも状況は緊迫していった。
まずデンバー氏の肉球は、もう限界であった。
急いで日陰に行きまだ整備が、進んでない路地裏に逃げた。
ミカエルも急いでこちらへ来た。
「急に犬みたいに走り出すから、暑さでおかしくなったのかと。」
ミカエルはそう言った。
「僕は犬だ、おかしいのはそっちだ。」
僕はそう言った。
「いやあるいは世界か。」
ミカエルの言葉についてこれ以上続けてはならない気がするのでやめておこう。
「やっぱりこういう時のやめに肉球ガードがいるな。」
僕はそう言った。
つまり靴のことを言ってるわけだが。
「ハッハッハ。」
彼は笑うだけだった。
蝋人形にしてやろうか!
「とりあえず靴屋に行こう。」
僕は足早に靴屋へ向かった。
靴屋は少し落ち着いた住宅街に合った。
図書館が隣にあり、老後の街って感じの雰囲気だった。
靴屋に入ると早速店の店主がやってきた。
やはり例のごとくおじいさんである。
こういう職人的な店の跡継ぎというのは、なかなか決まらないものだ。
おじいさんは冗談で言ったつもりなのだろうが
「こちらの坊ちゃんの犬ですかね」
と笑いかけてきた。
まぁそういうわけなんですけど、ここで人間の言葉を喋ると老体にはあまりよくない。
けども喋る。
「そうなんですよ。」
老人は固まったがこの世界に長く住むと、不思議なことに慣れるものなのか、靴を仕立ててくれるそうだ。
「運動靴でよろしくお願いします。」
僕は頭を下げた。
老人の目は靴を作る時には鋭い鳥のような目をしていた。
だが作業が終わると元の緩い老人の目に変わっていた。
職人の切り替えの早さには、驚いても驚ききれない。
店内にはカチカチ時計の音が鳴り響いて、大きな街の中でこの静かな空間は、なにやら眠気をそそった。
できた靴はかなり精巧な出来のため僕は唸った、隠喩的な意味で。
僕は4つの靴を履き御代を聞いた。
「えーと50ボトムです。」
その額は値段相応であり、逆に変に割引しないところが職人らしさというか、優しさにも感じれた。
僕はミカエルから50ボトム札を貰うと店長に手渡した。
「どうもありがとう。」
店長はまたミシンに戻っていった。
自分では脱げないしこれはこれで暑いから結局必要だったのかわからないが、とりあえず大事にすることにした。
もしかしたら暑さのせいだったかもしれない。
言い値じゃなくて良い値!
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