第一シーズン最終話 美女の野獣
僕は、今竜の街で休日を楽しんでいる。
竜には申し訳ないが、解決したい時にさせてもらう。
と思っていたのだが、僕はどうしても気になって竜の城へ向かうことにした。
竜の城では、門番がいた。
「犬? ここは遊び場じゃないぞ。」
門番は言った。
「いや、姫に合わせてくれ。」
僕は言った。
「姫なら、病気で倒れている。」
門番は言った。
「なら、治してやろう。」
僕は言った。
「本当にできるのか? 」
門番は疑問に思いながらも、犬の姿をした僕に何か不思議さを感じ城の中に入れてくれた。
城の赤い絨毯を急いで走り姫の元へ向かった。
姫は玉座に座っていた。
顔は美しい、大人の魅力を備えたものであったが、体調の悪さで発揮しきれてない。
「犬ですか、どうしたのですか? 」
姫は兵士に言った。
「どうやら、病気を治せるようです。」
兵士は言った。
「いいでしょう、聞かせてください。」
姫は言った。
「症状は? 」
僕は言った。
「力が出ないのです、ただそれだけですが。」
姫は言った。
すると僕の頭に何か浮かんだ。
どうやらルーンの効果か。
姫 囚われ 解放
よくわからないが、病気に囚われているということか?
僕は思った。
「では、治す方法は? 」
姫は、期待もせずに言った。
本人が治す方法などないと確信してるようだった。
「ないね。」
僕は、なぜかそう言ってしまった。
すると姫なにやら不穏な顔をして言った。
「じゃあこいつを牢屋へぶちこんで! 」
なんと、独裁的な人だ。
僕はそのまま牢屋へ運ばれた。
「かわいい、わんちゃんを牢屋に閉じ込めるなんて。」
僕は言った。
「姫の命令だ、自分の身分を察するべきだ。」
兵士はそういうと僕を牢屋へ入れた。
牢屋の中には、犬がもう一匹いた。
犬は、雌で僕の世界でいうビーグルに似ていた。
だが若干見た目は違い、ミックス種に思えた。
「なんと、犬がお嫌いだったか。」
僕は言った。
「あの、あなたしゃべれるんですか? 」
犬は言った。
獣の言葉だったが僕には聞き取れた。
「ああ、しかし驚いたな、犬がつかまってるなんて。」
僕は言った。
すると犬はしょんぼりと言った。
「私は、この国の姫なのです。」
それを聞いて僕は納得した。
「なるほど、よくわかった。」
つまるところ、この国の現在の姫は、姫に化けた何かであろう。
魔女の類ならば、体調が優れて見えないのは元々かもしれない。
「しかし、殺されなかったのはなぜだろう。」
僕は言った。
「私の元の姿を擬態魔術でずっと変身しているのです、私が死ねば擬態は解けます、彼女が、いや魔女の体調が優れないのは魔力を常に使ってるからです。」
姫は言った。
「なるほどね、じゃあ僕が助けてあげるよ。」
僕は言った。
「どうやってですか? 」
姫は首をかしげた。
「それは僕も知らない。」
僕はそういってあたりを確認した。
石でできた部屋に、鉄の牢屋。
どう考えても壊して出るわけにはいかない。
「やはり無理ですよね。」
姫は言った。
「いや、僕は勇者だからなんとかなる。」
僕は言った。
「勇者? そんな人物は長らく現れてませんが。」
姫は言った。
「僕が新しい勇者になるよ。」
僕は言った。
「私は、竜の姫として勇者と共に冒険したことがあります、彼は素晴らしい人間でしたが、魔王との戦いのあと死んでしまいました。」
姫は言った。
「なるほどね、ちょっと歌ってみないか。」
僕は言った。
「歌うといっても、この声では、吠えることしかできません。」
姫は言った。
「竜が、君の歌をご所望だ。」
僕は言った。
「わかりました。」
姫は決心したのか吠えた。
もちろん吠えてしか聞こえないが一生懸命歌ったのだ。
「ですが何の意味が。」
姫は言った。
「竜が寂しがっていた。」
僕は言った。
「なるほど、竜ですか、珍しいですよ、竜の姫といわれる原因でもありました。」
姫は言った。
すると何やら騒がしい声が上から聞こえる。
「ドラゴンだ! 」
兵士の声がする。
ドカアアアン。
天井の石が崩れる。
すると見えたのはドラゴンだった。
「探したぞ、姫。」
ドラゴンは言った。
「ドラゴン!? あなたしゃべれたのですか? 」
姫は言った。
「いや、お主がなぜ、わかるのか、いやそれよりお主なぜ犬に。」
ドラゴンは言った。
「なるほど、つまりドラゴンは姫様にゾッコンなんだな。」
僕は言った。
ドラゴンは兵士の矢に刺されるのをものともせず首を差し出した。
僕たちはドラゴンに乗った。
空中を飛び立ち、街の上をドラゴンが飛ぶ。
そして乗っているのは二匹の犬。
「ドラゴン、どういうことなの? 」
姫は言った。
「やっと話せるわけだ。」
ドラゴンは言った。
「俺も大体察したよ、姫。」
僕は言った。
「どういうことです? 」
姫は言った。
「二人の勇者がここにいるってわけさ。」
僕は言った。
「まさか、あなた、勇者なの!? 」
姫は言った。
「ああ、まぁな。」
ドラゴンは言った。
「なんで、竜になったの? 」
姫は言った。
「魔王は、竜の血を持っていた、魔王は死ぬ前に僕に竜の血を渡したのだ。」
ドラゴンは言った。
「なぜ魔王はそんなことを? 」
姫は言った。
「魔王、いやギルベルトは、戦いを通して僕達に対してある意味友情に近い感情を抱いたんだ、そしてギルベルトは、最後に僕の命を救った。」
ドラゴンは言った。
「てことは、アレックスなのね!?」
姫はそう言って吠えた。
「感動の再開のはずが、お互い変わってしまったな。」
ドラゴンは言った。
「しかし、犬に変わってしまったなら戻る方法を探さないと、魔女を説得するしかないかな。」
ドラゴンは言った。
「確かに、かけたものが死ねば戻るのは困難かもしれません、ですがそれでよいのです。」
姫は言った。
「犬の姿が気に入ったのか? 」
ドラゴンは言った。
「今初めてね。」
姫は言った。
「お似合いのコンビだな。」
僕は言った。
大空を飛び立ち、見える景色が変わっていく。
この世界は、ここまでも広かったか。
広い森、砂漠、海、海岸、山脈、丘、風車の山。
「そうだね、お似合いの。」
ドラゴンは、そう言った。
「お似合いの夫婦ね。」
姫は言った。
「まったくひどい状況のプロポーズだな。」
ドラゴンは言った。
「そう? 最高よ、あなたが死んだと思ったら生きていて、あなたに乗っていい景色を見ている。」
姫は言った。
「もっと遠くにいくか? 」
ドラゴンは言った。
「僕もそれでいいよ。」
僕は言った。
第一シーズン終了です。
第二シーズンは、遠い地が舞台になります。
ミカエルとポピーはどうなるのか、それも期待して待ってください。




