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勇者はいぬ  作者: 圧倒的……負け犬!!
デンバーと吟遊詩人編
13/14

第一シーズン最終話 美女の野獣

僕は、今竜の街で休日を楽しんでいる。

竜には申し訳ないが、解決したい時にさせてもらう。


と思っていたのだが、僕はどうしても気になって竜の城へ向かうことにした。


竜の城では、門番がいた。


「犬? ここは遊び場じゃないぞ。」

門番は言った。


「いや、姫に合わせてくれ。」

僕は言った。


「姫なら、病気で倒れている。」

門番は言った。


「なら、治してやろう。」

僕は言った。


「本当にできるのか? 」

門番は疑問に思いながらも、犬の姿をした僕に何か不思議さを感じ城の中に入れてくれた。


城の赤い絨毯を急いで走り姫の元へ向かった。


姫は玉座に座っていた。

顔は美しい、大人の魅力を備えたものであったが、体調の悪さで発揮しきれてない。


「犬ですか、どうしたのですか? 」

姫は兵士に言った。


「どうやら、病気を治せるようです。」

兵士は言った。


「いいでしょう、聞かせてください。」

姫は言った。


「症状は? 」

僕は言った。


「力が出ないのです、ただそれだけですが。」

姫は言った。


すると僕の頭に何か浮かんだ。

どうやらルーンの効果か。


姫 囚われ 解放


よくわからないが、病気に囚われているということか?

僕は思った。


「では、治す方法は? 」

姫は、期待もせずに言った。

本人が治す方法などないと確信してるようだった。


「ないね。」

僕は、なぜかそう言ってしまった。


すると姫なにやら不穏な顔をして言った。

「じゃあこいつを牢屋へぶちこんで! 」

なんと、独裁的な人だ。


僕はそのまま牢屋へ運ばれた。


「かわいい、わんちゃんを牢屋に閉じ込めるなんて。」

僕は言った。


「姫の命令だ、自分の身分を察するべきだ。」

兵士はそういうと僕を牢屋へ入れた。


牢屋の中には、犬がもう一匹いた。

犬は、雌で僕の世界でいうビーグルに似ていた。

だが若干見た目は違い、ミックス種に思えた。


「なんと、犬がお嫌いだったか。」

僕は言った。


「あの、あなたしゃべれるんですか? 」

犬は言った。

獣の言葉だったが僕には聞き取れた。


「ああ、しかし驚いたな、犬がつかまってるなんて。」

僕は言った。


すると犬はしょんぼりと言った。


「私は、この国の姫なのです。」

それを聞いて僕は納得した。


「なるほど、よくわかった。」

つまるところ、この国の現在の姫は、姫に化けた何かであろう。

魔女の類ならば、体調が優れて見えないのは元々かもしれない。


「しかし、殺されなかったのはなぜだろう。」

僕は言った。


「私の元の姿を擬態魔術でずっと変身しているのです、私が死ねば擬態は解けます、彼女が、いや魔女の体調が優れないのは魔力を常に使ってるからです。」

姫は言った。


「なるほどね、じゃあ僕が助けてあげるよ。」

僕は言った。


「どうやってですか? 」

姫は首をかしげた。


「それは僕も知らない。」

僕はそういってあたりを確認した。


石でできた部屋に、鉄の牢屋。

どう考えても壊して出るわけにはいかない。


「やはり無理ですよね。」

姫は言った。


「いや、僕は勇者だからなんとかなる。」

僕は言った。


「勇者? そんな人物は長らく現れてませんが。」

姫は言った。


「僕が新しい勇者になるよ。」

僕は言った。


「私は、竜の姫として勇者と共に冒険したことがあります、彼は素晴らしい人間でしたが、魔王との戦いのあと死んでしまいました。」

姫は言った。


「なるほどね、ちょっと歌ってみないか。」

僕は言った。


「歌うといっても、この声では、吠えることしかできません。」

姫は言った。


「竜が、君の歌をご所望だ。」

僕は言った。


「わかりました。」

姫は決心したのか吠えた。


もちろん吠えてしか聞こえないが一生懸命歌ったのだ。


「ですが何の意味が。」

姫は言った。


「竜が寂しがっていた。」

僕は言った。


「なるほど、竜ですか、珍しいですよ、竜の姫といわれる原因でもありました。」

姫は言った。


すると何やら騒がしい声が上から聞こえる。


「ドラゴンだ! 」

兵士の声がする。


ドカアアアン。


天井の石が崩れる。


すると見えたのはドラゴンだった。


「探したぞ、姫。」

ドラゴンは言った。


「ドラゴン!? あなたしゃべれたのですか? 」

姫は言った。


「いや、お主がなぜ、わかるのか、いやそれよりお主なぜ犬に。」

ドラゴンは言った。


「なるほど、つまりドラゴンは姫様にゾッコンなんだな。」

僕は言った。


ドラゴンは兵士の矢に刺されるのをものともせず首を差し出した。

僕たちはドラゴンに乗った。


空中を飛び立ち、街の上をドラゴンが飛ぶ。

そして乗っているのは二匹の犬。


「ドラゴン、どういうことなの? 」

姫は言った。


「やっと話せるわけだ。」

ドラゴンは言った。


「俺も大体察したよ、姫。」

僕は言った。


「どういうことです? 」

姫は言った。


「二人の勇者がここにいるってわけさ。」

僕は言った。


「まさか、あなた、勇者なの!? 」

姫は言った。


「ああ、まぁな。」

ドラゴンは言った。


「なんで、竜になったの? 」

姫は言った。


「魔王は、竜の血を持っていた、魔王は死ぬ前に僕に竜の血を渡したのだ。」

ドラゴンは言った。


「なぜ魔王はそんなことを? 」

姫は言った。


「魔王、いやギルベルトは、戦いを通して僕達に対してある意味友情に近い感情を抱いたんだ、そしてギルベルトは、最後に僕の命を救った。」

ドラゴンは言った。


「てことは、アレックスなのね!?」

姫はそう言って吠えた。


「感動の再開のはずが、お互い変わってしまったな。」

ドラゴンは言った。


「しかし、犬に変わってしまったなら戻る方法を探さないと、魔女を説得するしかないかな。」

ドラゴンは言った。


「確かに、かけたものが死ねば戻るのは困難かもしれません、ですがそれでよいのです。」

姫は言った。


「犬の姿が気に入ったのか? 」

ドラゴンは言った。


「今初めてね。」

姫は言った。


「お似合いのコンビだな。」

僕は言った。


大空を飛び立ち、見える景色が変わっていく。


この世界は、ここまでも広かったか。


広い森、砂漠、海、海岸、山脈、丘、風車の山。


「そうだね、お似合いの。」

ドラゴンは、そう言った。


「お似合いの夫婦ね。」

姫は言った。


「まったくひどい状況のプロポーズだな。」

ドラゴンは言った。


「そう? 最高よ、あなたが死んだと思ったら生きていて、あなたに乗っていい景色を見ている。」

姫は言った。


「もっと遠くにいくか? 」

ドラゴンは言った。


「僕もそれでいいよ。」

僕は言った。


第一シーズン終了です。

第二シーズンは、遠い地が舞台になります。

ミカエルとポピーはどうなるのか、それも期待して待ってください。



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