????視点
連続投稿です。読んでない方は前頁からどうぞ。
――――よかった。ちゃんとディアスと伊織は桜の下で会えた。
うまくいったことにほくそ笑む。長い間待っていたイベントがようやく始まった。
自分が勘違いしていたせいで、一時はイベント自体が発生しないのではないかと、入学式の日まで、ひやひやものだった。
起こるはずのことが起こらず、本当にあせった。
でも、ああ、これでようやく始まる。
先ほどは、生徒会室での再会があったようだ。イレギュラーなものではあるが、彼に有利になりそうなものは皆歓迎だ。こちらからも何か働きかけた方がいいかもしれない。
転生者もわかった。今里 悠斗。彼は要注意だ。
ある意味一番想定外だったのが彼だから、今後も観察を続けていこう。
ゲームで書かれたディアスのルート。崩壊エンドのあの嘆きを彼にさせたくない。
彼に幸せになってもらいたい。
そのためだけに、今私はここにいる。
なんとしても、伊織にはディアスとくっついてもらわなければ。
彼以外のルートなんて許さない。
……でも、困った。
自覚はないみたいだけど、どうやら伊織は神鳥に惹かれているみたいで。
このままそちらへ行かれるのは困る。
それならさて、どうするか。
自覚がないのなら、そのまま気が付かないうちに次の、ディアスへの恋へと方向をむけてやればいいだけだ。
でも、自然に、絶対に見つからないように、細心の注意を払わなければならない。
ばれてしまっては、今までの努力が水の泡になってしまう。
彼らの動向を確認して、そっとその場を離れた。
青い空を見上げながら、祈るように思う。
あの彼の終わりだけは見たくない。世界のすべてを憎む彼をみたくない。
伊織、お願いだから、ディアスを見て。彼の孤独をわかってあげて。
私では、助けてあげられない。
……あなたにしか、できないんだ。
ありがとうございました。




