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プロローグ

2016/05/13 改稿作業始めました。

ストーリーの大幅変更はありません。

 突然ですが、転生したようです。


 あっはははは。

 まさかの出来事。全く笑うしかないではないか。


 私の名前は、小鳥遊伊織たかなしいおり。ついさっきまで精神年齢肉体年齢ともに3歳だった。

 今は推定精神年齢38歳。多分、おそらく。

 頭がおかしいわけでも、いやおかしいと自分でもいいたくなるがそうではなく、本当に前世の記憶とやらをしっかり思い出してしまったのだ。

 死んだ時の記憶はない。それはいいのだが、学校へ行って社会人になり、そのうち結婚なんかもうっかりしていたという一連の記憶がきっちり自分の中に戻ってきているのには困った。勿論抜けている記憶もあるのだろうがそれでも。

 そんなこんなで色々なことを一度に思い出してしまった私だが、そうなったのには勿論理由がある。

 私は一週間にわたりひどい高熱に魘されていたのだ。そのショックで記憶がゆさぶられて前世の記憶が一緒に戻ってきた……と説明すればまあなんとテンプレ的展開といいたくなる話だが、紛うことなき事実。

 思い出したのは、熱を出した初日。

 ぼんと頭が沸騰するような感覚を覚えたと思った瞬間怒涛のごとく記憶が流入してきたのだ。当然私は大混乱。その記憶を整理するために一週間高熱が出続けたというわけだ。無事に目覚めることができて本当に良かった。思い出した瞬間賽の河原に逆戻りとか勘弁してほしい。

 そうしてなんとか現状把握し、目を覚ました私を先ほどから涙を流しながら覗き込んでくる男の人がいる。まるで俳優のように整った顔立ち。浮ついた感じは全くなく、ブランド物と思われるスーツを着ている。 おそらく20代。だが随分と落ち着いた印象をうける。

 まあ、取締役社長という立場なのだから当然かもしれないが。

 そう、もうお分かりだろうと思うが彼は今世での私の父親。かなり心配させてしまったらしい。

 ぼんやりと思い出す今世の記憶では、母親がおらず男手ひとつで私を育ててくれた父は、私をたいそう溺愛してくれている。この様子ではずっとそばについていてくれたようだ。髪の毛はぼさぼさ。ひげも伸び放題。

 大丈夫か、仕事しろよ。と思わないでもないが、それでもこうやってそばにいてくれて嬉しいというのが正直なところ。


「パパ」


 声をあげる。当然ながら子供の声。違和感はあるがまあそのうち慣れるだろう。今は父親を安心させてあげたいという気持ちの方が強い。


「伊織。大丈夫か?」


 心底心配だとわかる声音に心が温まる。できる限りの笑顔を作って答えようと思った。


「うん。へいき。パパ、そばにいてくれてありがとう」

「いいんだ。伊織が無事ならパパはそれでいいんだよ」


 私はこの世界に、小鳥遊伊織として生きていくことを改めて決意した。



短いですが、とりあえずここまで。

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