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鬼ごっこは命がけ  作者: 伊代
1章
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魑魅という存在

 空耶はわたしの腰に手を廻して身体を引き寄せ、もう片方の手のひらを突き出してドロ犬に向ける。

「還れ」

 耳元で低く小さい呟きが聞こえ、大きく骨ばった手から圧縮された空気のようなものが放たれる。

 風圧で耳元の毛先が微かに揺れたのが視界の端に映った次の瞬間、ドロ犬は光の粒子となって跡形もなく消え去った。


「どうなったの? ドロ犬、死んじゃったの……?」

 いくらエグい外見をしていても、ちょっと見では犬の姿をしていたものだ。

 しつこく追いまわされたとは言え、実際に襲われたわけでもないのにわたしの一言で殺してしまったのだとしたら―――と思うと気が重い。


 それに一昨日襲ってきた小さい鬼(目は真っ赤で巨大な牙が口からはみ出していた)は空耶の攻撃を受けて動かなくなった後、サラサラとした砂に変わったのだが、一言に退治すると言っても違いがあるのは何故だろう?


「あの犬は一度死んで魂となったものが実体化し、あてもなく彷徨っていただけの哀れな存在だ。あの手のものは成仏させてやることにしている」

 小鬼の方はというと、元々は知能を持った魑魅だったが負の感情に捕らわれ悪鬼と化していた。放置すれば一般の人間にも悪さをするために「滅した」とのこと。

 どちらも存在を消すということに変わりはないが、その意味は大きく違うという。


 そもそも魑魅が獲物を狙うのはごく当然の事なのだから、襲いかかってくるものをすべて消していたらキリがないのだが、彼らには【自分より強い力を欲するが、強すぎる力には逆らわない】という大前提があるらしい。

 だから空耶の姿を見ても襲いかかってくるという時点で、すでに理性を持たない存在であり排除すべき対象になる。そしてそれが彼らのためなのだそうだ。


「それならいいんだけど……」

「葵は優しいな」

 空耶が目を細めて、わたしの短くバサバサした硬い髪を優しくふわふわと撫でる。

 物好きなエロオヤジだと思うのに、こういう普通の扱いをされるとついわたしの心臓はドキリと高鳴ってしまう。



 王珠ちゃんにフッてやれとは言われたものの、魑魅に追われる身である以上、今は関係を断つことは出来ない。

 もっとも、わたしの身についた空耶のニオイはあと数日で消えて平穏を取り戻せるはずなのだけれども―――。


お気に入りと評価を頂くことが出来て大感激です!

本当にありがとうございます。

みなさまの応援を励みにこれからも頑張ります。

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