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鬼ごっこは命がけ  作者: 伊代
1章
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蛇と変態とわたし

 いくらわたしが小さめだとは言え、まるで重さを感じさせずに華麗に着地したおっさんは、ようやく唇を離す。

 余りのことに怒りでプルプルと震えが起きる。

 い、今のファーストキスなんですけど!?(28歳で?とかいうツッコミは無しの方向で!)

 なのに……なのに! し、舌! 舌入れてきたよこのおっさん!!!

 何か言ってやらないと気が済まないが、怒り沸騰で言葉が出ない。

 代わりに拳をキツく握りしめていたら「結婚してくれ!」とか言われました。

 けっこん? 血痕? え、ケッコンって何?


 おっさんは私をいわゆるお姫様抱っこしたまま離そうとしない。

 熱の籠もった瞳を向け、至近距離で見つめてくる。

 何、このヘンタイ。頭おかしいよね?


 このおっさん(と言ってもわたしより少し年上なだけだろうけど)、最近テレビでよく見かける俳優に似てる。

 世間じゃ必ずイケメンって言われる部類だ。

 くそぉー、顔が良ければ何しても許されると思ってるのか!


 ジタバタ暴れてイラつく程にお綺麗な顔を殴ってみるもビクともせず、それさえも嬉しそうに受け止めながらますます変態的な視線を送り続けてくる。

 顔が良い上に体格も良すぎるよ、このおっさん!!


「は、離せーー! このエロオヤジ!!」

「え、えろおやじ……?」


 しかし、精神的ダメージは与えたらしい。

 情けない声でガクリとうなだれた。

 でも事実だ。いきなりキスしてケッコンとかのたまうおっさんがエロオヤジでないわけがない。



「あ、あのぉ~。お取り込み中のところ、すみませんが……」


 へ、、、蛇がしゃべったあぁぁぁーーー!!!

 赤い舌をチロチロさせながらガラガラ声で至極申し訳なさそうに話してきたのは、間違いなくさっきの大蛇!

 おっさんのせいですっかり忘れていたけど、襲われていたんだよ、わたし!!


「なんだ、沼木田ぬまきだ

 わたしから顔は反らさずに、ドスの効いたおっかない声で蛇を横目でジロリと睨むおっさん。表情は分からないが、蛇は明らかにビクリと反応した。

……てか沼木田って何? この蛇の名前?? まさか知り合いなの!?!?


「このお嬢さん、ボスのお知り合いなんで?」

「……だったら何だ?」

「そ、それは申し訳ない事を! 危うく喰っちまうところでした。あんまり旨そうなニオイなもんで……へへへ」


 蛇の細長い舌がにょろりと飛び出して、わたしの頬を舐めた瞬間―――意識は闇の底へ。

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