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鬼ごっこは命がけ  作者: 伊代
4章
30/32

融解

 てわけで―――翌日。

 いつものように自宅までストーキングにやってきた空耶をとっ捕まえたわたしは、焔星くんに連絡を入れ、三人揃ってリビングで話し合いの真っ最中です。


「だから菊は関係ないし、隠してもいない。葵が菊の子孫だと気付けなかった不甲斐ない自分を隠したかっただけだ!」

 なんだそれ、男のプライドってヤツ?

 半信半疑で焔星くんを見ると、黙って首を縦に振ってる。打ち合わせ通りならこれは「本当だヨ」の合図。


「いつまでこんなやりとりを続けるつもりだ! 車尾は早く帰れ! 俺は葵と二人きりで話がしたいんだ!」

 腕組みしながらイライラと高圧的に話す姿は威圧感でいっぱいだけど、言ってる事はやっぱりお子様すぎ。

「あのねぇ、わたしが焔星くんに同席を頼んだんだから邪険にしたらダメでしょ!?」

「……う。す、すまん…………」

 シュンと肩を落とす姿を見ると、気分はすっかり子供を叱りつけるお母さん。


「で。菊さんに未練がないなら、なんでわたしにつき纏うわけ?」

「前にも言ったが、葵が可愛いし良い匂いだし甘いし美味しいから離れたくないんだ!」

「うん、確かに前にも聞いた。けど意味分かんないから、それ」

 てか食糧扱いされているとしか思えないからね! ちなみに焔星くんの反応はやはり「嘘はナシ」だ。


「大体どこがその……か、可愛いわけ!?」

 自他ともに認める男子学生的なこのわたしの! 一体どこがっ!!

「初めて会った時から全部好きだ!」

 ぎゃー、キリっと言い放ったよ!! まさかの一目惚れですか!?


 これは流石に困る。何か言わなきゃと思うのに頭が真っ白で口をパクパクさせるしかない。

「意地っ張りなのにそうやって赤くなって恥じらうところも可愛いぞ」

「へー、空耶サンってツンデレ萌えなんだネー。あ、ツンデレって知ってる?」

 なにやら力説し出す焔星くん―――ちょっと待って、わたしってツンデレだったの?




 その後もアレコレ話を聞いて、空耶は純粋にわたしのことが好きなのだということが判明。

 はー、スッキリ! 焔星くんが嘘発見器をしてくれたおかげだね!


 この後は用事があるという焔星くんが席を立ち、小声でわたしに耳打ちする。

「誤解は解けたみたいだケド、流されたりしないで葵サンがしたいようにしてネ。空耶サンは強引だから、ボクちょっと心配」

 優しいなぁ、焔星くん……。じんわりする胸を押さえながらお礼を言うと、不機嫌に瞳を細めた空耶が顎をしゃくりながら焔星くんのハチミツ色の頭をてっぺんから肘でグリグリと無遠慮に小突いた。

「俺の葵に寄るな、減る」

「あんたのじゃないし! 減らないし!!」

 久々にグーで顔面パンチを決めてやった。ふふ。


「あハハ、大丈夫そうだネ。何かあったらいつでも電話ちょうだい。葵サンなら大歓迎だヨ」

 手を振りながら玄関を出るのを見送りドアが閉まると、いきなり背後から抱きつかれた。

 ぎゃー、なんてことだ! エロオヤジと家の中で二人きりじゃないか!!

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