くうちゅう
本日二回目の投稿になります。
エンジェルな美少年くんと別れて、わたしは好奇心に任せて公園を探検していた。
鬼がどうとかは、まあスルーの方向で。
そんなのを怖がるような可愛い性格じゃないんです。
自転車を押しながら、木のチップが埋め込まれた緩い上り坂の歩道を進む。
この公園、どうやら小高い丘を中心とした林になっているみたい。
二十分程歩いたけど、人影はまったくなし。
花壇の花は綺麗に咲いてるし、目を楽しませてくれはするのだけど―――この世に存在するのは自分だけみたいな錯覚を覚える。
「あれ、なんだろ? まさかお墓―――じゃないよねえ?」
歩道から外れた木々の間に隠れるように建つ石碑が見えた。
表面はびっちりと濃緑の苔で覆われていて、僅かな隙間から覗く石肌はゴツゴツとした灰褐色。
不自然に歪な形からして、上部が大きく欠けているようだ。
よく見れば、石には何か文字が彫られている。
苔と劣化のためにかなり読み辛いけど、多分【蛇塚】と刻印されている。
そういえば、白い蛇は神様の化身っていうよね。
白蛇信仰だっけ? 確か金運が良くなるとか……?
お参りしておけば宝くじでも当たるかな。
取り敢えず手を合わせておこう!
手を合わせて目を瞑った瞬間、背後から微かに鈍い音がした。
音を頼りに振り返っても、何も見当たらない。
ただ、自転車を停めた奥―――50メートル程先に、ツルンと木肌が剥がれ落ちたような白木が横たわっているくらい―――なんだけど……。
「あ、―――あれ…………?」
奇妙な錯覚を覚え、目を疑う。
あり得ない事に、倒木がこちらに向かって勝手に近づいてくるような……??
左右にうねる、波のような独特な動き。
それはまるで巨大な四肢のない爬虫類を連想させ……って、いやいやいやいや、そんなまさか!
あんな大きな蛇、いるはずないって―――!
そんな事実、認められるはずがない。けど……確実にソレは近づいてくる。
や、やばい。
足ガクガクしてる、動けない!
あと10メートル。
もう間違えようがない。
丸々とした白い巨体。
上下にぱっくりと開かれた口から覗く細長く白い鋭角と、赤く伸びる扁平。
透き通るようなルビー色の瞳。
どう見ても、巨大な蛇だ。
もうダメだ、喰われる!!!
わたしはぎゅっと目を瞑った。
―――が。
「え…………?」
突然、浮遊感に襲われた。
ジェットコースターが落下する時に似た、あの頼りない感覚だ。
ワケが分からない。
恐る恐る目を開けると、目の前に知らないおっさんの顔が。
誰!? てか、わたし、抱えられて宙を飛んでいる!?
お、落ちるーー! 落ちるよ!!!!
思わず見知らぬ男にギュッとしがみつく。
「か、可愛い……」
「む、むぐっ!?!?!?!?!?」
宙を飛んだまま、知らない男にチューされてしまいました。
サブタイトルがつまらないとかいう苦情も大歓迎です(笑)