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鬼ごっこは命がけ  作者: 伊代
2章
14/32

フェロモン

―――って、現実逃避してちゃダメでしょ、わたし!

 今のうちによく考えなきゃ……。


 とは言え、頭ん中ぐちゃぐちゃなんだよね。

 こういうときは今までの事を整理してみるに限りますな。

 斜めがけしていたウエストバッグから手帳を取り出し、特に気になる事を箇条書きにまとめることにした。


・空耶は何者なのか。

・ボスである空耶に逆らえる焔星くんはどういう存在なのか。

・魑魅に襲われない方法はないのか。

・空耶がわたしに執着する理由とは何か。


「……これくらいかな?」

 他にも王珠ちゃんや瑠惟さんの正体とかも気になるけど、そこは後回しにしよう。


「んー、どんな理由なんだろうネ」

「ぅふぁっ!?」

 頭をフル回転させていたわたしは、いつの間にか焔星くんが居間に居て手帳を覗き込んでいることに全く気がついていなかった。

 考え込むと周りが見えなくなるんだよね……いけないいけない。


 焔星くんは公園で汚れてしまった服を着替えていた。

 ラフにTシャツとデニムパンツという格好だけど、顔が良ければどんな服でもカッコ可愛く見えるなぁ。

 唇の端も丁寧に手当してある。

 後ろでしっかりと睨みを効かせている瑠惟さんがたっぷり愛情籠めて治療したんだろう。


「ごめん、気付かなかった」

「ふふ。ウンウン唸って悩んでる顔、キュートだったヨ」

「……、…………。」

 ここは有り難うと言うべき? それとも怒るべき?

 あ、残念な女子としては恥じらうべきなのかしら??



「じゃ、何から説明しようカナ」

 向かいのソファが空いているというのに、焔星くんはピタリとわたしの隣に腰掛ける。

 あのー、近いんですけど……。

 腰をずらして離れる。焔星くんもずれる。離れる。ずれる。

「葵サン、なんで離れるのサー」

「なんでって近過ぎるでしょ!」

「えー。葵サン、とっても良いニオイなんだもん。くっつきたいヨー」


 ああああ、可愛すぎる!!

 頬を膨らます焔星くんは、瑠惟さんじゃなくてもベロベロに甘やかしたくなるってものだ。

 このキラキラエンジェルに逆らえるのは、きっと空耶くらいだな。


「空耶サンが葵サンを追いかける理由に、ニオイに惹かれるカラっていうのもあると思うナー」

「そうなの? でも普通の魑魅はスルーするニオイだって聞いたよ?」

「そうだネ。高位のヘビ、キツネ、カメ、オオカミ、オニ辺りダケが好むニオイだヨ。

 純粋で穢れない魂を持つ乙女だけの、あまーいニオイ♪」


 お、乙女っていうのはやっぱりその……処女って意味だろうね…………?

 うおぉぅ、なんていう羞恥プレイ!!

「あハ、葵サンゆでタコだー」

 だ、だってね? これがハタチそこそこならまだしも、わたし28ですよ!

 それで乙女って死ぬる恥ずかしさだよ……しかもこんな可愛い男性に言われるのは拷問に近い。あああ。


「でね、ボクは見たら分かったと思うけどオニなんだ。

 葵サン、ボクのコト怖くなった…………?」

 上目遣いで不安げに訪ねる焔星くん。言葉の端々に、緊張が窺える。

「びっくりはしたけど、別に怖いとは思わなかったな。だって焔星くんだし」


 蛇神様に襲われて以来、次々に魑魅に出会ってすっかり超常現象に耐性がついた。

 他にも世の中には知らない事がきっと沢山ある。

 ぶっちゃけ「そういうのもアリなんだねー」くらいの軽いノリだ。 

 そうでなければ精神保ってられないと思う。

 直面している以上「信じられな~い!」とか言ってる場合じゃない。

 深く考えないに限るね!


「そっか、アリガト! 葵サン大好き♪」

 ぎゅ。

 ああああ、天使のハグ!! やば、鼻血ッ!!!

なかなか話が進まず申し訳ありません。

もう少し説明の回が続きます><

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